ユニ 第5話
失くした手帳を探すユニと{player}。男女で行動する二人に、女学院の乙女たちが色めきたつ。恋という概念についてユニは身体接触を伴う考察を行ったが、高まる鼓動と羞恥に戸惑うばかりだった。
-------------- situation:
思春期の生物学とその周辺
--------------
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
例によってユニからの手紙で、
{player}は『象牙の塔』に呼び出されていた。
voice: vo_adv_1110005_000
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
やあ友人、ようこそ我が家へ。
voice: vo_adv_1110005_001
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
きょう来てもらったのはほかでもない。
まずはこれに少々目を通してもらおうか。
Choice: (1) 渡された手帳を読んでみる。
----- Tag 1 -----
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1110005_002
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『その日、筆者は遭難していた』
voice: vo_adv_1110005_003
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『碧の深淵に至るフィールドワークのため、
危険を顧みぬ冒険行に身を投じた私だったが──』
voice: vo_adv_1110005_004
ユニの手記:
【chara 1 face 4 (sad)】
『しかして往く道は険しく、風は吹き乱れ、
暗き空には魔竜の咆哮さえ響きわたっていた』
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1110005_005
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『……ような気がする』
voice: vo_adv_1110005_006
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『なにぶん古い話なので、
記憶に若干の不鮮明な部分はある。
筆者は過去に拘らない女だった』
Choice: (2) これは一体?
----- Tag 2 -----
voice: vo_adv_1110005_007
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
おや、忘れたのかね。
君と初めて出逢った日の備忘録だよ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
ぼくはメモ魔だからな、あらゆる事実をありのまま書き留めている。
Choice: (3) 道は険しく風は吹き乱れ?
Choice: (4) 暗き空には魔竜の咆哮が?
----- Tag 3 -----
----- Tag 4 -----
voice: vo_adv_1110005_008
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
多少の脚色は致し方あるまいよ。
ピクニックじみた平穏な旅を著述しても読者は飽く。
【chara 111011 face 2 (joy)】
筆者はエンターテインメントを重んじる女なのだ。
voice: vo_adv_1110005_009
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
細かいことはいいから、早く続きを読みたまえ。
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1110005_010
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『決死の強行軍の果て、あえなく私は力尽きた』
voice: vo_adv_1110005_011
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『大自然の猛威の前では、人の子の命など儚いものだ』
voice: vo_adv_1110005_012
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『目を閉ざし、静かに召されのときを待つ筆者の姿は、
さながら聖女のごとく美しかったという』
voice: vo_adv_1110005_013
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『さながら聖女のごとく美しかったという』
--- Switch scene ---
still display end
voice: vo_adv_1110005_014
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
なんだね。
無言で誌面から顔を上げるんじゃあないよ。
voice: vo_adv_1110005_015
ユニ:
【chara 111011 face 3 (anger)】
いいから。
文章とこちらを交互に見比べてないで、
いいからさっさとその先を読みたまえ。
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1110005_016
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『筆者の姿は、さながら聖女のごとく美しかったという。
やがて、その美しさに惹かれたのだろう、
吸い寄せられるようにのこのこやって来た男が一人』
voice: vo_adv_1110005_017
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『種族はヒューマン。
白馬にこそ乗っていなかったものの、
まあまあナイトっぽい格好はしていた』
voice: vo_adv_1110005_018
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『ともあれ彼のもたらした神秘の奇跡によって、
私は九死に一生を得たのである。
端的に換言すれば、ゴチになった』
voice: vo_adv_1110005_019
ユニの手記:
【chara 1 face 1 (normal)】
『かくして、この青年こそが、
のちに筆者と名を連ねる
共同研究者{player}である』
--- Switch scene ---
still display end
voice: vo_adv_1110005_020
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
なんだね。
真顔でおもむろに首を捻るんじゃあないよ、共同研究者。
voice: vo_adv_1110005_021
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
まあいい。
おおよそは把握してもらえたと思う、そろそろ本題に入ろう。
voice: vo_adv_1110005_022
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
その手帳をなくした。
voice: vo_adv_1110005_023
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
いや、いま君が持っているそれは、
事前に魔法で複写しておいたバックアップなのだが、
【chara 111011 face 4 (sad)】
そいつのオリジナルがな、どうも見当たらないのだ。
voice: vo_adv_1110005_024
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
まあ、バックアップが手元にあるのだから、
差しあたって作業に支障があるわけではない。
voice: vo_adv_1110005_025
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
とは言えだ。
永らく使い込んだ気に入りのアイテムがないというのは、
【chara 111011 face 4 (sad)】
ルーティーンが崩れるようでなんとも具合が悪くてな。
Choice: (5) 探しに行こう。
Choice: (6) あきらめよう。
----- Tag 5 -----
voice: vo_adv_1110005_026
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
おお、率先して申し出てもらえるとは有り難い。
【chara 111011 face 2 (joy)】
実は今、いかにして自然にさりげなく、
騙し騙し君を捜索活動に巻き込もうか考えていたところだ。
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----- Tag 6 -----
voice: vo_adv_1110005_027
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
ぶははははは!
voice: vo_adv_1110005_028
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
あー面白かった。
【chara 111011 face 1 (normal)】
さて、突拍子もない冗談は横へ置き、
さっそく捜索活動を始めようじゃないか。
----- Tag 7 -----
voice: vo_adv_1110005_029
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
まあ、安心したまえ。
ある程度の心当たりはあるんだ。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
今日は所用があって、昼休み、新校舎の方へ赴いた。
voice: vo_adv_1110005_030
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
その際ひょんなことから、
教務主任のマザー・ヒルダは接吻するとき目を閉じない派、
との知見を得たので、例の手帳を開いてメモを取っている。
voice: vo_adv_1110005_031
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
その後、この部屋へ戻ってきたとき、手帳がないことに気付いた。
【chara 111011 face 1 (normal)】
つまり、紛失ポイントはその間のどこかだ。
【chara 111011 face 2 (joy)】
さあ探しに行くぞ、付いて来たまえ同志。
Choice: (8) 二手に分かれた方がいいのでは?
----- Tag 8 -----
voice: vo_adv_1110005_032
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ふむ、一見効率的な提案だ。だが待ってほしい。
voice: vo_adv_1110005_033
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
まだ生物学的なエビデンスは得ていないが、
現状ぼくの主観で推測するかぎり、君は──。
voice: vo_adv_1110005_034
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
おとこのこ……だよね?
voice: vo_adv_1110005_035
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ああいや結構。
物的証拠は見せなくてよろしい、【chara 111011 face 1 (normal)】
ベルトは締めておきたまえ。
voice: vo_adv_1110005_036
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
『特例』のぼくが随伴していれば例外を主張できようが、
本来ならば、男子と言う生き物が当学内に立ち入ることは
原則禁止とされている。
voice: vo_adv_1110005_037
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
すでに放課した時刻だが、校舎には残っている生徒もいるだろう。
【chara 111011 face 1 (normal)】
道徳的観点から、君を単独で徘徊させるわけにはいかない。
【chara 111011 face 4 (sad)】
端的に換言すれば、通報沙汰だ。
voice: vo_adv_1110005_038
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
なに、逆の場合?
なるほど、つまり、ぼく一人で探しに行けばいいと?
voice: vo_adv_1110005_039
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
えーやだ退屈。
voice: vo_adv_1110005_040
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
ううむ……無いな……
voice: vo_adv_1110005_041
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
やれやれ、参ったぞ。
心当たりがすべて外れた。
voice: vo_adv_1110005_042
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ここへ至るまで、
昼休みと同じ経路を辿ってきたのは間違いないはず。
【chara 111011 face 1 (normal)】
……となると、理論的にはもう他に探すべき場所がない。
Choice: (9) どうしよう?
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1110005_043
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ふむ、この場合……
まずは第三者に拾われたと考えるのが建設的だろう。
【chara 111011 face 1 (normal)】
しかし、総務に問い合わせたが遺失物拾得の届けはないらしい。
voice: vo_adv_1110005_044
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
かと言って、あれを盗んでゆく物好きがいるとも思えない。
あんなぼろぼろの手帳、古物商に持ちこんだところで
1ルピの価値もないのは明らかだ。
voice: vo_adv_1110005_045
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
ううむ、八方塞がり。
しかし、嘆いたところで無いものは無い。
【chara 111011 face 1 (normal)】
ここは一度『塔』へ戻って、魔法的な捜索手段を──。
voice: vo_adv_1110005_046
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
うん?
あれは……このクラスの生徒たちか?
教室にも入ってこないで、ひそひそと何を……
voice: vo_adv_1110005_047
女生徒1:
【chara 2911 face 1 (normal)】
まあ! いつぞやの殿方ですわ!
voice: vo_adv_1110005_048
女生徒2:
【chara 3111 face 1 (normal)】
まあ! 隣りにいらっしゃるのはユニ博士ですわ!
voice: vo_adv_1110005_049
女生徒1:
【chara 2911 face 1 (normal)】
あのお二人、随分と仲がおよろしいご様子ですけれど……
【chara 2911 face 2 (joy)】
ふふ、もしかして、深いご関係でいらっしゃるのかしら?
voice: vo_adv_1110005_050
女生徒2:
【chara 3111 face 2 (joy)】
そうね、きっとそうなのだわ。
ふふ、もうプロポーズはされたのかしら……やん素敵!
Choice: (10) 何の話をしているんだろう。
----- Tag 10 -----
voice: vo_adv_1110005_051
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ふむ、漏れ聞こえる範囲から推察するに……
どうやら彼女らは、
君とぼくとの関係性に、ある特定の意味を感受したようだ。
voice: vo_adv_1110005_052
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
見当違いも甚だしいが、【chara 111011 face 1 (normal)】
いや、責めてはやるな。
voice: vo_adv_1110005_053
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
仕方あるまい。彼女らの生後年数を考えれば、
すでに生物として種を残す準備は始まっているのだからな。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
思考に桃色のフィルターが掛かりがちなのは自然の摂理だ。
voice: vo_adv_1110005_054
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
学会ではそれを思春期と呼んでいる。
【chara 111011 face 2 (joy)】
恋に恋するお年頃、とも言うらしい。
【chara 111011 face 1 (normal)】
幸か不幸か、ぼくには未だその兆しが顕れないようだけど。
voice: vo_adv_1110005_055
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ふむ……ときに後輩。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
君はどうだね、恋とやらをしたことがあるか?
Choice: (11) よくわからない。
----- Tag 11 -----
voice: vo_adv_1110005_056
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
然り、よくわからない。
実のところ、ぼくもだ。
voice: vo_adv_1110005_057
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
恋──頻繁に聞く語だ、
むろん意味するところは理解している。
voice: vo_adv_1110005_058
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
子を為したいという絶対的欲求の前段階。
知的生物にのみ顕れる高次な複合的感情群。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
甘くて切なくてちょっぴりほろ苦い気持ち。
voice: vo_adv_1110005_059
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
だが、語として理解しているだけだ。
なんとも実感が伴わない。
voice: vo_adv_1110005_060
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
知識は二度、身体に入る。
意味を知ったときと、本質を知ったときだ。
voice: vo_adv_1110005_061
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
そう定義するなら、
ぼくはまだ恋とやらの本質が分からないのだよ。
voice: vo_adv_1110005_062
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
なんでも聞くところによると、雌雄の身体的接触によって
急激な血圧上昇や精神高揚などを招くと云うね。
voice: vo_adv_1110005_063
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
端的に換言すれば、触れ合うとどきどきする。
ということらしい。らしいぞ。らしいのだ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
さて、どうだろうか?
voice: vo_adv_1110005_064
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
いや、だから……
試してみるかね?
と言っているのだが……
Choice: (12) 手を握る。
----- Tag 12 -----
voice: vo_adv_1110005_065
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ほわっ!?
voice: vo_adv_1110005_066
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
お、おお……いきなりだな、おい……驚いたぞ……
voice: vo_adv_1110005_067
ユニ:
【chara 111011 face 5 (shy)】
加えて君、この距離感は……少々近すぎではないだろうか……
voice: vo_adv_1110005_068
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
いや……べつに、嫌というわけではない。
ないのだが、【chara 111011 face 5 (shy)】
その、なんだ、妙な落ち着かない心地が……
voice: vo_adv_1110005_069
女生徒1:
【chara 2911 face 5 (shy)】
きゃああああくっついてる! 不純異性交遊だわ!
voice: vo_adv_1110005_070
女生徒2:
【chara 3111 face 5 (shy)】
いやああああ見詰め合って囁き合ってる! 婚前交渉だわ!
voice: vo_adv_1110005_071
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
あ、あばばば……
なにやら外野がにわかに色めきたっている……!
voice: vo_adv_1110005_072
ユニ:
【chara 111011 face 5 (shy)】
な、なんだ、この無図痒い衝動は……
謎の焦燥感が思考を満たしてゆくぞ……
ううぅ……やめよう後輩……実験中止だ、結合解除!
voice: vo_adv_1110005_073
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
はふう……まったく、なんだこの状況は。
手帳探しから大きく脱線しているではないか。
voice: vo_adv_1110005_074
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
やれやれ、
わけもなく動転したせいで、肌に著しい火照りを感じ──。
voice: vo_adv_1110005_075
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
うん?
血圧上昇……精神高揚……
voice: vo_adv_1110005_076
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
いや、まさかな……まさかだ、うむ。
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
謎の羞恥感情に戸惑って
つい眉間に皺を刻んでしまう、
いまだ思春期前のユニであった。