ユニ 第7話
「真理」へ近付き過ぎたユニに、世界の認識阻害は一層強く作用した。学びの改竄など受けいれられないユニは、世界に関する研究一切を放棄する。だが一端でも真理に迫ったユニは、結果より経過と勝ち誇った。


-------------- situation:
世界の真理<初めての友達
--------------

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 ユニから話があるということで、
{player}は今日も『象牙の塔』へ呼びだされていた。

voice: vo_adv_1110007_000
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 やあ、同志。
すまないね、わざわざ来てもらって。

voice: vo_adv_1110007_001
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】 君には随分と世話になった。
一応、報告をする義務があろうと思ってね。

voice: vo_adv_1110007_002
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 さて、伝えるべきは二点ある。
良いニュースと悪いニュースだ。
どちらから聞きたいかね?

Choice: (1) 良いニュース。
Choice: (2) 悪いニュース。
----- Tag 1 -----
voice: vo_adv_1110007_003
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 迷うことなくポジティブな方を選ぶものだ。
【chara 111011 face 2 (joy)】 君のそういうところ、嫌いじゃないぜ、ぼかあ。

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----- Tag 2 -----
voice: vo_adv_1110007_004
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 君ね、ジョークの定石を知らないのかい?
【chara 111011 face 1 (normal)】 覚えておきたまえ、
こういうときは良い方から頂戴するのが作法というものだ。

----- Tag 3 -----
voice: vo_adv_1110007_005
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 というわけで、まずは良いニュースからだ。
【chara 111011 face 2 (joy)】 いくぞ。
両手を挙げてワーイワーイと跳ねる準備をしたまえ。

voice: vo_adv_1110007_006
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 えー、なんと、ぼくの失くした手帳が戻ってきた。

Choice: (4) 本当に?
----- Tag 4 -----
voice: vo_adv_1110007_007
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 うむ、ほらここに。
先ほど名も知らぬ教員が持ってきてくれた。

voice: vo_adv_1110007_008
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】 やあ、ありがとう同志。
そんなに跳ねまわるほど喜んでくれて、ぼくも嬉しいよ。

Choice: (5) どこにあったの?
----- Tag 5 -----
voice: vo_adv_1110007_009
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 焼却炉の中らしい。
【chara 111011 face 1 (normal)】 たまたま用務員氏の目に入り、
誤って捨てられたのではと、学生課へ届け出たそうな。

voice: vo_adv_1110007_010
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 その話を聞いた瞬間、全身に怖気が走ったよ。
思いだしたんだ。つまり忘れていたんだ。
【chara 111011 face 6 (surprised)】 たしかにぼくが自ら足を運んで捨ててしまったことを。

voice: vo_adv_1110007_011
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 冗談じゃない。
見事に忘れていたんだぜ。
【chara 111011 face 4 (sad)】 ぼくは信用できない語り手じゃないか。

voice: vo_adv_1110007_012
ユニ:
【chara 111011 face 3 (anger)】 これは認識阻害なんて生易しい事象じゃない。
もはや記憶操作と呼べるレベルだ。
【chara 111011 face 6 (surprised)】 世界を保つシステムはぼくに対して警戒度をあげたと見える。

voice: vo_adv_1110007_013
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 気分が悪いの一語に尽きるが、【chara 111011 face 6 (surprised)】 まあ、いいさ。
この不快さもいずれ漂白されて忘れてしまうのだろう。
【chara 111011 face 1 (normal)】 今回の件は、世界からの警告だったと思うことにする。

voice: vo_adv_1110007_014
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 長いものには巻かれよう。
ぼくは大人になる。
世界を正すより自分を守らせてもらう。

voice: vo_adv_1110007_015
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 釈然としないが仕方ない。
【chara 111011 face 1 (normal)】 今後は神や世界を疑うことなく、
無知蒙昧に生きてゆくとしよう。

voice: vo_adv_1110007_016
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 ぼくは無神論者なのだけどね。

voice: vo_adv_1110007_017
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 まあ、兎にも角にも、手帳は戻った。
これにて本件は落着というわけだ。

voice: vo_adv_1110007_018
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 なべて世はこともなし。
【chara 111011 face 2 (joy)】 めでたしめでたしさ、いぇい。

Choice: (6) これで論文が捗るね。
----- Tag 6 -----
voice: vo_adv_1110007_019
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 ふむ……

voice: vo_adv_1110007_020
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 なるほど、君はまだ、ことの次第が把握できていないようだ。
【chara 111011 face 6 (surprised)】 いや、それならそれでいい。
神様に睨まれるのはぼく一人で十分だからな。

voice: vo_adv_1110007_021
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 それでは悪いニュースの方を伝えよう。
その論文についてだが、今回は白紙へ戻すことにした。

voice: vo_adv_1110007_022
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 理由かい? 単純だよ。
『世界にわだかまる根源的な虚構』。
あのテーマはぼくの手に余るということが判明したからさ。

voice: vo_adv_1110007_023
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 厳密には、あのテーマを世に説くのは、ということだがね。

Choice: (7) どういうこと?
----- Tag 7 -----
voice: vo_adv_1110007_024
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 ふむ、現実的な説明をするとだ。
研究テーマを改めるよう、学院からぼくに要請があったんだ。

voice: vo_adv_1110007_025
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 というより……
学院を通じて「学会から」要請があった、というべきだろうな。

voice: vo_adv_1110007_026
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 まあ、端的に換言するとだね、
ぼくのエントリーシートに審査員がバツを出したということさ。

voice: vo_adv_1110007_027
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 教務主任のマザー・ヒルダも気の毒に。
たいそう困惑した様子だったよ。
【chara 111011 face 1 (normal)】 おたくらは生徒に何を教えているんだと失笑されたらしい。

voice: vo_adv_1110007_028
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 曰く、ぼくの研究は、明らかに学問の埒外だということだ。
誇大妄想なら戯曲か文芸でやれと言われたらしい。

voice: vo_adv_1110007_029
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 聞く耳すら持たれないのは残念だが、
【chara 111011 face 1 (normal)】 ふん、予想通りといえば予想通りの反応だな。

voice: vo_adv_1110007_030
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 何故って、ぼくら下々が余計なことを考えぬよう、
いつだって世界は誰しもに等しく作用するのだから。

voice: vo_adv_1110007_031
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 それは学会の識者と呼ばれる層とて例外ではなかった。
【chara 111011 face 1 (normal)】 ぼくの論文がトリガーとなって彼らの認識阻害が解かれれば、
という期待はあったのだが──。

voice: vo_adv_1110007_032
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 ──残念、そうはならなかった。

voice: vo_adv_1110007_033
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 というわけだ、同志{player}。
世界の意思に従って、この研究は今日を限りだ。
【chara 111011 face 2 (joy)】 明日からはまた元のご近所考古学に励もうじゃないか。

voice: vo_adv_1110007_034
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 さ、新たな英気を養うため、
とりあえず本日はこれにて解散としよう。

Choice: (8) それでいいの?
----- Tag 8 -----
voice: vo_adv_1110007_035
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 何がだね。
【chara 111011 face 1 (normal)】 そりゃあ論文の書き直しは億劫だが、それさえ抜きにすれば、
ぼくの知的欲求はもう十分に満たされているよ。

voice: vo_adv_1110007_036
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 ……なんだね。
いや、本当だとも。
【chara 111011 face 4 (sad)】 いちいちそんな目で見るんじゃあないよ。

voice: vo_adv_1110007_037
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 ふむ……
誤解があるかもしれないから、もう少し補足しよう。

voice: vo_adv_1110007_038
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 いいかい、この撤退はね、必ずしも妥協の末ではないんだ。
言うなれば、ぼくは試合に負けたが勝負には勝ったのだよ。

voice: vo_adv_1110007_039
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 あえて言うぞ。【chara 111011 face 2 (joy)】 実に気分がいい。

voice: vo_adv_1110007_040
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 考えてもみたまえ。
世界がぼくに作用した、
【chara 111011 face 6 (surprised)】 つまりは、ぼくの企みを神様が邪魔したのだよ?

voice: vo_adv_1110007_041
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】 それは翻せば、
ぼくが正しく真理に迫ったことの証左だ。

voice: vo_adv_1110007_042
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 だってそうだろう。
【chara 111011 face 1 (normal)】 知られたくない秘密に近付かれたからこそ、
世界はぼくを牽制したんだ。

voice: vo_adv_1110007_043
ユニ:
【chara 111011 face 7 (special_a)】 分かるかい?
ぼくの立てた空想めいた仮説に、
神様がわざわざマルをくれたってことさ!

Choice: (9) 分からない。
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1110007_044
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 さようか。【chara 111011 face 6 (surprised)】 ではパラダイムシフトだ。
ぼくは以前、君にこう伝えたはず。
ぼくの目的は「知ること」そのものだと。

voice: vo_adv_1110007_045
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 暴くことや広めることが最終目的じゃあない。
ぼくのゴールはその手前。
知りさえすればそれでいいんだ。

voice: vo_adv_1110007_046
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 要するに。
世界が嘘つきだっていう大正解に辿りついてしまったぼくは、
もうこのゲーム、【chara 111011 face 2 (joy)】 「あがり」なのさ。

voice: vo_adv_1110007_047
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 賞品こそもらえなかったものの、ぼくの勝ちは揺るぎない事実。
【chara 111011 face 2 (joy)】 さあ同志、勝利の祝杯をひっそりあげよう。
世界に内緒でこの慶びを噛みしめようじゃないか。

voice: vo_adv_1110007_048
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】 いいんだ。ぼくは勇者でも英雄でもない。
世界を在るべき姿にだとか、失われた真実を取り戻せだとか、
そんな立派な功名心はもとより持ち合わせていないのさ。

voice: vo_adv_1110007_049
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】 明日からの余生を、ぼくは平穏に生きよう。
塔を下りて、かつて憧れた薔薇色の学園生活とやらに
ふたたび挑んでみるのも一興だ。

voice: vo_adv_1110007_050
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 一般授業、クラブ活動、放課後のガールズトーク……
【chara 111011 face 2 (joy)】 二人目三人目の友人はできるだろうか。
【chara 111011 face 7 (special_a)】 うむうむ、夢が広がるじゃあないか。ぼくは青春がしたい。

voice: vo_adv_1110007_051
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 そういえば近いうち奨学金制度も導入すると聞いたな。
【chara 111011 face 1 (normal)】 老人たちの仕送りに頼ってばかりもいられない、
一度説明会とやらに顔を出してみるか……

voice: vo_adv_1110007_052
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 かくしてゲームは終わった。
あとは主の思し召しに従おう。

voice: vo_adv_1110007_053
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 おそらく寛大なる神は、
ぼくがおとなしく忘れさえすれば
わざわざ裁きの雷は落とさないだろう。

voice: vo_adv_1110007_054
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 だったら世界にわだかまる虚構──認識阻害を受けいれて、
【chara 111011 face 1 (normal)】 実直な大衆と同じくすべての嘘を呑みこんでやるさ。

voice: vo_adv_1110007_055
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 世界がそれを真実って言うなら、そりゃあ世界の勝手だろう。

voice: vo_adv_1110007_056
ユニ:
【chara 111011 face 3 (anger)】 だけど、この勝負。
ぼくの中では、ぼくの勝ちだ。【chara 111011 face 2 (joy)】 乾杯。

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 勝ち誇った微笑を浮かべるユニ。
{player}に難しいことは分からないが、
ユニがそう言うならと納得して帰路につくのであった。

voice: vo_adv_1110007_057
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 ……ふむ。

voice: vo_adv_1110007_058
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 と、まあ、{player}君には
このぐらい言っておけば大丈夫だろう。

voice: vo_adv_1110007_059
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 彼は純粋だからな。
ぼくがすっぱり気持ちよく諦めてみせないと、
いろいろ青臭いことを考え出しそうだ。

voice: vo_adv_1110007_060
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】 …………あと、隠し事ヘタそう。

voice: vo_adv_1110007_061
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】 だが、まあ、彼に言ったことはおおむね事実だ。

voice: vo_adv_1110007_062
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 ぼくは世界の真理を暴かない。
勇者でも英雄でもないぼくは、
ただ知って独り胸のうちで愉悦に微笑むだけだ。

voice: vo_adv_1110007_063
ユニ:
【chara 111011 face 3 (anger)】 しかしだ、世界。
おまえの秘密に、ぼくは一瞬でも手をかけたんだぞ。

voice: vo_adv_1110007_064
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】 その事実をいずれぼくは忘れてしまうかもしれないけれど、
おまえの年表にはちっぽけな汚点として永劫残りつづける。

voice: vo_adv_1110007_065
ユニ:
【chara 111011 face 3 (anger)】 ざまあみろだ。