イリヤ(ニューイヤー) 第4話
夢の中。年明けに長命ゆえの孤独感を募らせていたイリヤのもとへ、{player}が正月らしい品々とお雑煮を持って駆けつける。その優しさに感じ入るイリヤの顔は、いつしか柔らかく微笑んでいた。


-------------- situation:
血よりもあたたかいもの
--------------

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 ランドソルでお正月を堪能しつくした
イリヤと{player}は、
充実した面持ちで古城へと帰り着いた。

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イリヤ:
【chara 120912 face 4 (sad)】 ふぅ、やっと我が城へ帰り着けたのじゃ。
【chara 120912 face 6 (surprised)】 やはりこの姿じゃと歩幅が狭くて、帰り道がやけに遠く感じるのう。

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イリヤ:
【chara 120912 face 5 (shy)】 まあ、おかげでこやつとより長く時を過ごせたと思えば、
この姿も捨てたものではないが……

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イリヤ:
【chara 120912 face 4 (sad)】 しかし未来ある民草のためとはいえ、
真の姿は手放してしまった……
【chara 120912 face 6 (surprised)】 また元に戻る方法を考えなければならぬな。

voice: vo_adv_1209004_003
イリヤ:
【chara 120912 face 4 (sad)】 ……ほれ、お主、なにを満足げに突っ立っておる。
わらわがこの姿に戻ったのは、お主の提案の結果じゃろ?

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イリヤ:
【chara 120912 face 4 (sad)】 引き続きエスコートじゃ、エスコート。
【chara 120912 face 1 (normal)】 向こうしばらくは、わらわのそばから離れるでないぞ。

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イリヤ:
【chara 120912 face 6 (surprised)】 ……ん? なにやら部屋が妙に明るいような……
どこぞのカーテンが開けっ放しになっておらぬか?

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イリヤ:
【chara 120912 face 4 (sad)】 うぅっ、ま、眩しいのじゃ……!
【chara 120912 face 6 (surprised)】 ──って、光っているのはお主かっ!?

--- Switch scene ---

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 ──年明けすぐのある夜。人々が家路につく中、
イリヤはひとり、展望台から街の光を見下ろしていた。

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イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 ふむ。
どうりで街がどことなく閑散としておったわけじゃ。
【chara 104431 face 1 (normal)】 ……もう年が明けておったのじゃな。

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イリヤ:
【chara 104431 face 4 (sad)】 はぁ、憂鬱じゃ。
この時期の肌寒さは、なぜだかいつにも増して骨身に染みる。

voice: vo_adv_1209004_009
イリヤ:
【chara 104431 face 4 (sad)】 ……長命ゆえの人恋しさなぞ、とうに忘れたつもりじゃったが。
毎年毎年、忘れたそばから帰ってきおって。
まるでわらわの家族気取りじゃなぁ……孤独というやつは。

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イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 あるいはこれも、あやつと出会って心を許してしまったせいか。
【chara 104431 face 4 (sad)】 柄にもなく感傷的になってしまうのう……

Choice: (1) イリヤ!
----- Tag 1 -----
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イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 ぎゃああぁっ!?
な、ななな、なんじゃっ!?
──お主かっ!!

voice: vo_adv_1209004_012
イリヤ:
【chara 104431 face 4 (sad)】 人が黄昏れておるときに……
きゅっ、急に話しかけるでないわっ!

voice: vo_adv_1209004_013
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 し、しかも、
よりにもよってこやつのことを考えておったところに……
【chara 104431 face 4 (sad)】 ええい、どんな顔をしたらいいのじゃ……

Choice: (2) 黄昏れてたの?
----- Tag 2 -----
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イリヤ:
【chara 104431 face 4 (sad)】 ……み、耳ざといやつじゃの。
普段はボケっとしておるのに、こういうときだけは……

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イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 まあ、わらわはお主よりよっぽど長い時を生きておるからな。
【chara 104431 face 1 (normal)】 それだけ振り返ることが多いのじゃ。

voice: vo_adv_1209004_016
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 そんなことより……
お主にも家で帰りを待つ家族がいるのであろう?

voice: vo_adv_1209004_017
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 もうとっくに日も落ちておるし、空気も冷える一方じゃ。
【chara 104431 face 4 (sad)】 このような場所をうろついてないで、早く帰ったほうがよかろう。

Choice: (3) イリヤはどうするの?
----- Tag 3 -----
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イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 わ、わらわは……
この展望台からの夜景が気に入っておってな。

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イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 特にこの季節に眺める街明かりは、
空気が澄んでおって格別な味わいがあるからのう。

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イリヤ:
【chara 104431 face 2 (joy)】 世界征服に先立って、
まずはこの絶景を独り占めしてやろうというわけじゃ。

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イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 これを見納めたら、わらわも帰る。
お主も気兼ねなく家族のもとへ帰るがよい。
……ほら、さっさと行かぬか。

Choice: (4) ……ここで待ってて!
----- Tag 4 -----
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イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 なんじゃと? ここで待てとは、どういう……
──お、おい、お主!

voice: vo_adv_1209004_023
イリヤ:
【chara 104431 face 4 (sad)】 ええい、相も変わらず落ち着かんやつじゃのう。
せめてなにをするかぐらい伝えたらどうなのじゃ……

voice: vo_adv_1209004_024
イリヤ:
【chara 104431 face 4 (sad)】 あっ、お主!
どこへ行っておったのじゃ?
【chara 104431 face 6 (surprised)】 それにその大荷物はいったい……

voice: vo_adv_1209004_025
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 背負っておるのは……正月飾り、か?
玩具のたぐいと思しきものもあるようじゃが……

voice: vo_adv_1209004_026
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 それになんじゃ、その……手に持った鍋は?

Choice: (5) お雑煮も持ってきた。
----- Tag 5 -----
voice: vo_adv_1209004_027
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 ぞ、雑煮じゃと?
民草がこの時期に、こぞって食うておるやつか?
……まだ温かい、どころかアツアツではないか。

voice: vo_adv_1209004_028
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 まさか、お主……
一度家へ帰って、戻ってきたのか?

Choice: (6) 一緒に夜景が見たくて……
----- Tag 6 -----
voice: vo_adv_1209004_029
イリヤ:
【chara 104431 face 6 (surprised)】 ………………
【chara 104431 face 2 (joy)】 くっ、ふふっ──はっはっはっ!

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イリヤ:
【chara 104431 face 2 (joy)】 おっ、お主というやつは、つくづく型破りじゃな!
いつなんどき、なにをしでかすか知れたものではないのう!

voice: vo_adv_1209004_031
イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 夜景見たさに雑煮の入った鍋を抱えて、
年明け間もない街を走り回っておるやつなぞ……
【chara 104431 face 2 (joy)】 はははっ、わらわも初めて見たのじゃ。

voice: vo_adv_1209004_032
イリヤ:
【chara 104431 face 2 (joy)】 お主のような面白おかしい者と出会えようとは……
ふふ、長生きはするもんじゃのう。

voice: vo_adv_1209004_033
イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 ……よかろう。初笑いをもらった礼じゃ。
お主にだけ特別、わらわとこの絶景を眺める栄誉に
あずからせてやろう……ただし条件がある。

voice: vo_adv_1209004_034
イリヤ:
【chara 104431 face 2 (joy)】 その雑煮、冷めぬうちにわらわにもよこすがよい。
ここから見える景色はいずれわらわが支配するのじゃから、
見物料の先払いというわけじゃ。特別に一杯でよいぞ。

--- Switch scene ---

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voice: vo_adv_1209004_035
イリヤ:
【chara 104431 face 5 (shy)】 ──ふあぁ……温かいのじゃ。
まるでうまい血を吸ったときのような……
体が芯から温まっていく心地がするぞ。

voice: vo_adv_1209004_036
イリヤ:
【chara 104431 face 2 (joy)】 うむ、うむ。旨味が染みわたっておる。実に美味じゃの。
お主の母君か父君か知れぬが、よい腕をしておる。

voice: vo_adv_1209004_037
イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 いずれわらわが世界征服をなした暁には、
専属の料理人として雇ってやってもよいぐらいじゃ。

Choice: (7) ホットのトマトジュースもあるよ。
----- Tag 7 -----
voice: vo_adv_1209004_038
イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 そんなものまで……わざわざそのポットに入れてきたのかの?
また手の込んだことを。
【chara 104431 face 2 (joy)】 しかし、気が利いておるな。褒めてやろう。

voice: vo_adv_1209004_039
イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 ……ふぅ。やはりよい眺めじゃな。
何度となく見てきた夜景も、こうしてお主とともに見やると、
また違った趣があるのう。

voice: vo_adv_1209004_040
イリヤ:
【chara 104431 face 2 (joy)】 街明かりの一つ一つが、とても暖かい色に見える……
【chara 104431 face 6 (surprised)】 遠くで輝いておると思っておったものが、
【chara 104431 face 1 (normal)】 今日になって急に近しくなったように感じるのじゃ。

voice: vo_adv_1209004_041
イリヤ:
【chara 104431 face 1 (normal)】 不思議なものじゃの。
今は気に入っておるとしても、いずれは見飽きると思っておったのに。
【chara 104431 face 5 (shy)】 お主がそばにおれば……退屈せぬ。

voice: vo_adv_1209004_042
イリヤ:
【chara 104431 face 2 (joy)】 ふふ、ほんとうに愉快なやつじゃ。
今年もとくとわらわを楽しませるがよいぞ。
願わくば来年も、そのまた次も。

voice: vo_adv_1209004_043
イリヤ:
【chara 104431 face 5 (shy)】 ……期待して待っておくからのう。

--- Switch scene ---

still display end
voice: vo_adv_1209004_044
アメス:
【chara 190011 face 4 (sad)】 うぅっ……なんだか涙が出てきちゃったわ。
いつも気高くて元気いっぱいなイリヤさんに、
こんな一面があったなんて……

voice: vo_adv_1209004_045
アメス:
【chara 190011 face 1 (normal)】 人間は誰しも長生きをしたがるものだし、
それが贅沢な願いだとは思わないけど……
【chara 190011 face 4 (sad)】 長生きすることで、生まれる苦しみなんてものもあるのね。

voice: vo_adv_1209004_046
アメス:
【chara 190011 face 2 (joy)】 でも……今のイリヤさんには、あんたがいる。
ひとりぼっちなんかじゃない。きっとそうよね?

voice: vo_adv_1209004_047
アメス:
【chara 190011 face 2 (joy)】 少なくともこのとき、イリヤさんはそう思えたはず。
……あんたのおかげでね。
ふふ、これからも大切にしてあげなさいよ?

voice: vo_adv_1209004_048
アメス:
【chara 190011 face 1 (normal)】 あっ、それと……これ言い忘れてたわ。
【chara 190011 face 2 (joy)】 あけましておめでと~、今年もよろしく~!
それじゃね~

--- Switch scene ---

voice: vo_adv_1209004_049
イリヤ:
【chara 120911 face 4 (sad)】 う、うん……?
【chara 120911 face 6 (surprised)】 なんじゃ、気づかぬ間に寝てしまったようじゃな。

voice: vo_adv_1209004_050
イリヤ:
【chara 120911 face 6 (surprised)】 しかし……【chara 120911 face 5 (shy)】 なんだか良い夢を見た気がするのう。
胸の奥がじんわり温まったような心地なのじゃ。

voice: vo_adv_1209004_051
イリヤ:
【chara 120911 face 1 (normal)】 こやつも幸せそうな顔で寝こけておる。
……これ、お主、起きぬか。こんなところで寝たら風邪をひくぞ。

Choice: (8) ……イリヤが大きくなってる?
----- Tag 8 -----
voice: vo_adv_1209004_052
イリヤ:
【chara 120911 face 2 (joy)】 まだ寝ぼけておるのか?
わらわの体は縮んでしまったじゃろう……【chara 120911 face 6 (surprised)】 に……?
ん? んん~?

voice: vo_adv_1209004_053
イリヤ:
【chara 120911 face 2 (joy)】 お、おお……! どうしたことじゃ!
わらわの体が……真の姿に戻っておるではないか!

voice: vo_adv_1209004_054
イリヤ:
【chara 120911 face 2 (joy)】 なんという僥倖じゃ!
これも良い夢を見たおかげかのう?

voice: vo_adv_1209004_055
イリヤ:
【chara 120911 face 1 (normal)】 なんにせよ、今しばらくはこの幸せを堪能させてもらうとしよう。

Choice: (9) やっぱりすごくきれい。
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1209004_056
イリヤ:
【chara 120911 face 2 (joy)】 うむうむ、そうじゃろうそうじゃろう♪
すかさずその言葉が出てくるとは、
お主、寝起きの割に冴えておるな。

voice: vo_adv_1209004_057
イリヤ:
【chara 120911 face 1 (normal)】 せっかくわらわの真の姿に再びまみえたのじゃから、
この機会に余すことなく褒め称えるがよいぞ。
【chara 120911 face 2 (joy)】 なんなら年中そうしてもよい。

voice: vo_adv_1209004_058
イリヤ:
【chara 120911 face 2 (joy)】 ふふ、お主といるとやはり退屈せぬな。
……わらわがいつぞや抱えていた湿っぽい気持ちなぞ、
どこかへ吹き飛んでしまったわ。

voice: vo_adv_1209004_059
イリヤ:
【chara 120911 face 1 (normal)】 今年と言わず、来年も、そのまた来年も……
末永くよろしく頼むぞ。
【chara 120911 face 2 (joy)】 わらわの一番の眷属よ!

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 この後しばらくして、結局イリヤは子供の姿に戻ってしまったが、
{player}と幸せな正月を過ごし、
主人と眷属の絆はより一層深まったのであった。