ヴァイオレット 第3話
一夜明け、ヴァイオレットは身嗜みを整えようとして誤って川に落ちてしまう。死者の身であることに落ち込むも、{player}の優しさに改めて恋心と願いを自覚し、自分の感情に向き合うと決める。
-------------- situation:
嘆きも、喜びも、願いも
--------------
ナレーション：
【chara 0 face 1 (normal)】
不測の事態により{player}と共に
野宿をすることになったヴァイオレット。
翌日、彼女が目を覚ますと──
voice: vo_adv_1331003_000
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
日差しが眩しい……
【chara 133111 face 1 (normal)】
やはり、この明るさには慣れませんね……
voice: vo_adv_1331003_001
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
騎士様は──【chara 133111 face 1 (normal)】
まだ、眠っていらっしゃる。
やはり、お疲れのご様子ですわ……
【chara 133111 face 4 (sad)】
昨日わたくしが、ご迷惑をおかけしてしまったせいで。
voice: vo_adv_1331003_002
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……今のうちに、せめて身嗜みだけでも……
voice: vo_adv_1331003_003
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
昨日は気にする時間もありませんでしたが……
【chara 133111 face 4 (sad)】
今のわたくしは髪の手入れも、湯あみもできていない。
【chara 133111 face 6 (surprised)】
匂いは……【chara 133111 face 4 (sad)】
問題ない、はずですが……
voice: vo_adv_1331003_004
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
こちらの川なら、顔を洗うくらいはできそうですわね。
【chara 133111 face 1 (normal)】
よかった……
voice: vo_adv_1331003_005
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
…………
【chara 133111 face 2 (joy)】
きれい……
voice: vo_adv_1331003_006
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
こちらの世界では、水からすらも生命力が感じられるのですね。
【chara 133111 face 6 (surprised)】
それに……今水中で光ったのは、お魚でしょうか？
【chara 133111 face 1 (normal)】
もう少し、近くで見たら──……
voice: vo_adv_1331003_007
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
きゃっ……！
voice: vo_adv_1331003_008
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
……わたくし、は……
voice: vo_adv_1331003_009
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
あぁ……水面が見える……
わたくしは、川に落ちてしまったのですね……
voice: vo_adv_1331003_010
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
既に一度死している身。
溺れ死ぬことは、ありませんが……
voice: vo_adv_1331003_011
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
これ以上、騎士様を心配させるわけにはまいりません。
早く、陸に上がらないと……
voice: vo_adv_1331003_012
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
──……？
この感覚……どこかで……
voice: vo_adv_1331003_013
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……水は凍えるように冷たく、手足も動かなくなって……
なすすべもなく沈んでいく……
【chara 133111 face 4 (sad)】
この感覚を──わたくしは、知っている？
voice: vo_adv_1331003_014
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
──前にも、このようなことがあったはず。
【chara 133111 face 4 (sad)】
けれど……思い出そうとすると、胸が苦しい……
voice: vo_adv_1331003_015
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
まるで、心の奥まで静かに凍てついていくような……
この気持ちは、一体……
voice: vo_adv_1331003_016
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……まさか、生前の──……？
Choice: (1) ヴァイオレットさん！
----- Tag 1 -----
voice: vo_adv_1331003_017
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……！
騎士、様……？
voice: vo_adv_1331003_018
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
いえ──【chara 133111 face 4 (sad)】
騎士様は、お休みになられているはず。
【chara 133111 face 1 (normal)】
きっと騎士様をお慕いするあまり、幻聴が聞こえて──
Choice: (2) ヴァイオレットの手を掴む。
----- Tag 2 -----
voice: vo_adv_1331003_019
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……！
voice: vo_adv_1331003_020
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
幻では、ない……？
【chara 133111 face 4 (sad)】
まさか、わたくしを追って飛び込んで……？
わたくしの、ために……
voice: vo_adv_1331003_021
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
わたくしは……この手を、掴んでも良いのでしょうか……？
voice: vo_adv_1331003_022
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
一度死に、あの世へ渡った者でも……
生きた者の手を取っても……
共に生きたいと、願っても良いのでしょうか……？
voice: vo_adv_1331003_023
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……騎士様？
どうして沈んでいくのですか……？
…………もしや騎士様は、泳ぐことが……！？
voice: vo_adv_1331003_024
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
騎士様、しっかりなさってください！
Choice: (3) 浮かび上がろうともがく。
----- Tag 3 -----
voice: vo_adv_1331003_025
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
お、お待ちください！
やみくもに暴れては、かえって……【chara 133111 face 4 (sad)】
きゃっ！
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1331003_026
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
はぁ、はぁ……
Choice: (4) 深くなくて助かった……
----- Tag 4 -----
voice: vo_adv_1331003_027
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
はい……
もし深い場所でしたら、この身は浮きあがれず……
共に、水底へ沈んでいたことでしょう。
voice: vo_adv_1331003_028
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 2 (joy)】
ですが、こうして川から浮かび上がれたのはあなたのお陰です。
本当にありがとうございます、騎士様。
Choice: (5) 野営したところに戻りましょう。
----- Tag 5 -----
voice: vo_adv_1331003_029
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 2 (joy)】
ええ。
今は、少しでも陽のあたる場所にまいりましょう。
--- Switch scene ---
still display end
voice: vo_adv_1331003_030
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……騎士様？
焚火の準備をして、どうかなされたのですか？
Choice: (6) ヴァイオレットさんの手、冷たかった。
----- Tag 6 -----
Choice: (7) だから、体を温めないと……
----- Tag 7 -----
voice: vo_adv_1331003_031
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
あっ……
voice: vo_adv_1331003_032
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
そ、それは……
……申し訳ありません、騎士様。
voice: vo_adv_1331003_033
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
お気持ちは大変うれしいのですが……
この身の冷たさは……今の出来事のせいではなく。
わたくしが死者だから、なのです。
voice: vo_adv_1331003_034
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……で、ですが、【chara 133111 face 1 (normal)】
お気遣いがうれしいのは本当ですわ！
それに、たとえ体は平気でも、服は乾かさねばなりません。
voice: vo_adv_1331003_035
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
それで……その……
わたくし……服を、脱ぎたいのですが。
【chara 133111 face 6 (surprised)】
申し訳ありませんが、お手伝いいただけますか……？
voice: vo_adv_1331003_036
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
ありがとうございます。
普段はルルィたちに手伝ってもらうので、どうしても……
voice: vo_adv_1331003_037
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 2 (joy)】
ええ、その……背中のボタンをはずしていただくだけで十分ですわ。
【chara 133111 face 1 (normal)】
そうすれば、あとはわたくし一人で──
voice: vo_adv_1331003_038
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
えっ……上着を、貸していただけるのですか……？
【chara 133111 face 4 (sad)】
そ、そんな……殿方の上着を借りるなど……
はしたなくは、ありませんか……？
voice: vo_adv_1331003_039
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
…………では、お言葉に甘えてお借りしますわね。
その……【chara 133111 face 2 (joy)】
ありがとうございます、騎士様……
ナレーション：
【chara 0 face 1 (normal)】
ヴァイオレットと{player}は
しばし黙って服を乾かすのだった。
voice: vo_adv_1331003_040
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
先程はお見苦しいものをお見せし、大変失礼しました……
………………
voice: vo_adv_1331003_041
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
背中とはいえ……殿方に、それも騎士様に
肌を見せてしまうなんて……顔から火が出てしまいそう……！
背中に傷など、なければ良いのですが……
voice: vo_adv_1331003_042
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……ですが……【chara 133111 face 1 (normal)】
騎士様からお借りした上着は、
【chara 133111 face 2 (joy)】
とても、温かかった……
voice: vo_adv_1331003_043
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
先程、水の中で差し伸べていただいた手も。
【chara 133111 face 2 (joy)】
騎士様が与えてくださるものは、何もかもが温もりに満ちている。
voice: vo_adv_1331003_044
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
まるで、あの手をずっと待ちわびていたような……
【chara 133111 face 6 (surprised)】
これも、かつての記憶なのでしょうか……？
voice: vo_adv_1331003_045
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……そもそも、先ほど水中で感じたものは一体……
Choice: (8) ヴァイオレットさん……？
----- Tag 8 -----
voice: vo_adv_1331003_046
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
は、はい！
【chara 133111 face 6 (surprised)】
……ええと、騎士様？
その、手に持っているお魚は……？
Choice: (9) ついでに焼いたんだけど、食べる……？
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1331003_047
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
あっ……
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1331003_048
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
ええ。
……実は、この体は空腹をあまり感じないのです。
voice: vo_adv_1331003_049
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
それに、その……【chara 133111 face 1 (normal)】
他のものはきちんと消化ができるか不安ですし、
【chara 133111 face 6 (surprised)】
特に果物は、お腹の中で芽が出てしまうかもと……
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1331003_050
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
騎士様……
【chara 133111 face 1 (normal)】
あの時の言葉を気にしてくださったのですね……
voice: vo_adv_1331003_051
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 2 (joy)】
……ありがとうございます。
お言葉に甘えて、いただきますわ。
voice: vo_adv_1331003_052
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
……ランドソルでは、このようにしてお魚を食べるのですね。
Choice: (10) ジオ・ニヴルヘルでは食べないの？
----- Tag 10 -----
voice: vo_adv_1331003_053
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
ジオ・ニヴルヘルではあまり、『生きた』お魚は手に入らないので。
【chara 133111 face 1 (normal)】
それに、火といえば鬼火ですし……
voice: vo_adv_1331003_054
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
わたくしたちが住む世界には、幽霊やゾンビといった、
毎日食べなくても平気な者も多く……
【chara 133111 face 2 (joy)】
だからか、食事に関しても方法や考えがまばらなのです。
voice: vo_adv_1331003_055
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
ですが……それはあくまで、ジオ・ニヴルヘルの事情です。
今は、わたくしもこのお魚を食べてみたいと思っておりますわ。
voice: vo_adv_1331003_056
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 2 (joy)】
叶うなら……お腹いっぱいになるくらいに。
voice: vo_adv_1331003_057
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
それでは、いただきますわね……
はむっ……
voice: vo_adv_1331003_058
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
…………【chara 133111 face 2 (joy)】
おいしい……
voice: vo_adv_1331003_059
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 2 (joy)】
新鮮な……先程まで生きていた魚の、焼きたての身。
ふっくらしていて、柔らかくて……
素朴なのに、とてもおいしいですわ……
voice: vo_adv_1331003_060
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 6 (surprised)】
やはり、騎士様のようにたくさんは食べられない……
【chara 133111 face 1 (normal)】
ですが、おいしいと思うことはできる。
voice: vo_adv_1331003_061
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
この身は冷たくとも、生き物を愛し、喜び、
共に感情を分かち合うことはできる……
voice: vo_adv_1331003_062
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
騎士様への想いが、抑えきれないものであるならば。
せめて、少しでもこの方に近づきたい……
voice: vo_adv_1331003_063
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 4 (sad)】
同じ温もりを持った手で、【chara 133111 face 1 (normal)】
この方に触れてみたい……！
Choice: (11) 食べ終えたら、城に戻りましょう。
----- Tag 11 -----
voice: vo_adv_1331003_064
ヴァイオレット：
【chara 133111 face 1 (normal)】
ええ。
グレイスも心配していると思います。
【chara 133111 face 2 (joy)】
ですが……この後の道のりは、きっと大丈夫ですわ。
ナレーション：
【chara 0 face 1 (normal)】
自分の中にある願いを自覚したヴァイオレット。
簡単には叶わないと理解しつつも、
その瞳には未来への希望が芽生えていた。
