シナツ 第1話
リセットから解放されながらも、未だ過去の悪夢に苦しんでいたシナツ。街歩きの中でその悩みを打ち明けられた{player}は、彼女を誘って街外れの釣り場を訪れ、穏やかな時を共に過ごすのだった。


-------------- situation:
胸の内に残る棘
--------------

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シナツ:
【chara 135614 face 3 (anger)】 駄目だ……
どうあがいても、世界のリセットを止められない……!

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シナツ:
【chara 135614 face 4 (sad)】 もうやめてくれ……
いつまで戦い続ければ、私たちは未来にたどり着けるんだっ……!

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御者:
【chara 1 face 1 (normal)】 お客さん、お客さん!
ずいぶんうなされてたけど大丈夫かい?
ほら、もうすぐランドソルに着くよ。

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シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 っ……!
……ここは……?

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御者:
【chara 1 face 1 (normal)】 ランドソル行きの馬車の中だよ。ずいぶんひどい夢を見たようだねえ。
旅慣れてないと馬車の揺れはきついし、疲れたのかもしれないね。
もうすぐだから着いたらゆっくり休んでおくれ。

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 あ、あぁ……、ありがとう。

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 ……また、あの夢……

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 繰り返される世界のリセットはもう、終わった。
私たちは──皆それぞれの未来へ進めるようになった。
誰もが自分の力で進み始めているというのに。

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 それなのに……私はまだ、
未来の手前で、足踏みをしているのか……

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 ……なんて、不甲斐ないんだ……

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 その日、依頼の仕事を終えた{player}が
ギルドハウスへ戻ってくると、
ドアの前で行ったり来たりするシナツの姿があった。

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シナツ:
【chara 135612 face 1 (normal)】 留守のようだが……一応確かめてみるか?
【chara 135612 face 4 (sad)】 しかし、知らない相手が出てきたりしたら……なんと言えばいいんだ。
【chara 135612 face 7 (special_a)】 すらすらと明快な自己紹介はできない自信があるし。

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シナツ:
【chara 135612 face 7 (special_a)】 もし住所が違ったりでもしたら……それこそ赤っ恥どころではないぞ。
【chara 135612 face 4 (sad)】 先に入る墓を掘ってから行くべきか? それとももう、諦めて帰るか。
【chara 135612 face 7 (special_a)】 いや、ここでいきなり引き返したら余計に不審だし……

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 なんて、不甲斐ないんだ、私は──

Choice: (1) シナツさん?
----- Tag 1 -----
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シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 うわあ!?

Choice: (2) 温泉、どうでした?
----- Tag 2 -----
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シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 ああ、とてもよかった。
エリスやアイラとゆっくり語り合うこともできて……
とても、意義のある旅行だったとも。

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シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 それに、こちらの世界のトーゴクというのもまた、新鮮だったよ。
なじみの街のようで違う場所を訪れるというのはなかなかできない
体験だからね。

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シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 レイやキミがあの時、不思議そうな表情をしていた理由も
今なら理解できる。

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シナツ:
【chara 135612 face 1 (normal)】 本題だ。土産を買ってきた。【chara 135612 face 2 (joy)】 受け取ってくれたらうれしい。

Choice: (3) 木刀に、ペナントだ!
----- Tag 3 -----
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シナツ:
【chara 135612 face 1 (normal)】 あぁ……迷っていたら店員に勧められたんだ。定番品だとな。
【chara 135612 face 2 (joy)】 しかし私としても一押しだ。

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シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 職人の丹精した品だというから、土産物だと侮ることは
できないものだな……日々の修行にでも使ってくれ。

Choice: (4) ありがとうございます! 大切にします。
----- Tag 4 -----
Choice: (5) この後はまっすぐ帰るんですか?
----- Tag 5 -----
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シナツ:
【chara 135612 face 1 (normal)】 いや、ランドソルを少し見てから戻ろうと思っている。
【chara 135612 face 2 (joy)】 以前ここを訪れてから、変わったところもいろいろとあるだろう。
【chara 135612 face 6 (surprised)】 そうでなくとも、あの時はゆっくり見られなかったし……

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シナツ:
【chara 135612 face 1 (normal)】 ここで、私たちがこの先に進んでいくのに必要な──
私たちの世界をよりよく変えていくための方法を学んで帰りたい。
【chara 135612 face 2 (joy)】 大げさなものでなくても、小さな手掛かりでもいいんだ。

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シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 未来とは、そういう小さな積み重ねだと、私たちも学んだから。
【chara 135612 face 1 (normal)】 だから、もしキミがよければ……
もうしばらく街歩きに付き合ってくれないか?

Choice: (6) 案内なら任せてください。
----- Tag 6 -----
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シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 ……ありがとう。まったく、キミには助けられてばかりだ……

voice: vo_adv_1356001_024
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 大通りの人ごみに、賑やかな声……
【chara 135612 face 2 (joy)】 以前にも感じたが、やはり活気のある場所だな。
【chara 135612 face 6 (surprised)】 それに、少しずつ往来も変化している。

Choice: (7) 裏世界の人たちの行き来が増えましたよ。
----- Tag 7 -----
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コボルトのおばあさん:
【chara 9111 face 2 (joy)】 あらまぁ、素敵なタペストリー
お土産に買っていこうかしら。

voice: vo_adv_1356001_026
露店商:
【chara 1411 face 2 (joy)】 ぜひそうしとくれっ!
裏世界にもうちの評判が広まるなら、うれしい限りだよ。

voice: vo_adv_1356001_027
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 エリスから話は聞いている。
【chara 135612 face 2 (joy)】 なるほど、彼らが──

voice: vo_adv_1356001_028
シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 文化や種族の違いを受け入れ
お互いに手を取り合うことが、できるのか。
【chara 135612 face 6 (surprised)】 これもまた、ループを乗り越えた先で手に入れられた未来の一つ……

voice: vo_adv_1356001_029
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 これほどの変化に柔軟に対応できるとは
ランドソルの人々の強さには驚かされるな。
【chara 135612 face 2 (joy)】 ……いや、それは私の世界も同じことか。

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シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 自分たちの境遇を知っても、絶望することなく立ち上がり、
私についてきてくれた。
私の想像以上に、皆の心は強いのだろうな……

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シナツ:
【chara 135612 face 1 (normal)】 だが、感心してばかりでもいられない……
世界が未来を取り戻した今、私は先頭に立って
彼らを導かねばならないんだ。【chara 135612 face 3 (anger)】 いっそう気合を入れねばな。

Choice: (8) うん、だけどその前に……
----- Tag 8 -----
Choice: (9) シナツさんも少し、休んでほしいです。
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1356001_032
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 私のことなら心配には及ばない。
【chara 135612 face 1 (normal)】 管理者の立場はもうなくなったのだし
世界の問題は、片付いたのだから。

Choice: (10) でも、不安そうに見えるから。
----- Tag 10 -----
voice: vo_adv_1356001_033
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 ……【chara 135612 face 2 (joy)】 キミは鋭いな。
【chara 135612 face 4 (sad)】 いや、私が分かりやすすぎるのか?

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 どちらにしろ……隠し続けるのも無理な話か。
よければ少し、話を聞いてくれ。面白くはないと思うが──

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 キミたちの協力のおかげで、すべてが終わったはずなのに。
なのに──今でも時折、夢に見るんだ。
止められないリセットの光景を。

voice: vo_adv_1356001_036
シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 あの時の絶望が、ありありと蘇ってくる……
目が覚めれば夢だと気づくが、心は乱されたまま静まらない。

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シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 きっと私は……あの境遇から抜け出せたという現実を、
ちゃんと受け止め切れていないのだろう。

voice: vo_adv_1356001_038
シナツ:
【chara 135612 face 1 (normal)】 私一人が足踏みしたところで、世界はすでに前進し始めている。
【chara 135612 face 4 (sad)】 気持ちが切り替えられないなら、ただ追いつけなくなるだけだ。
それで済むのなら、私は役目を終えたのだと割り切れるんだが……

voice: vo_adv_1356001_039
シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 私はこれからも、私を慕う大勢の人を導いていかねばならない。
そのたびに、考えてしまうんだ。
私にその資格があるのだろうか、と……

voice: vo_adv_1356001_040
シナツ:
【chara 135612 face 4 (sad)】 ……すまない、{player}。
キミにとっては、聞かされても答えに困る話だろう。忘れてくれていい。

Choice: (11) ……出かけましょう、シナツさん!
----- Tag 11 -----
voice: vo_adv_1356001_041
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 えっ? 今から?
【chara 135612 face 1 (normal)】 一体何を──【chara 135612 face 4 (sad)】 あっ、ちょっと。
待ってくれ、はぐれたら困るんだ……!

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 {player}がシナツを連れて向かった先は、
森の中にある湖に作られた、小さな桟橋だった。

voice: vo_adv_1356001_042
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 ここは……釣り場?
【chara 135612 face 2 (joy)】 なるほど……向こうの店で、釣り道具も借りられるのか。

voice: vo_adv_1356001_043
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 読めたぞ。【chara 135612 face 2 (joy)】 キミは私を釣りに誘うつもりなんだな。
時には好きなことをして気晴らしを、と。
そう言ってくれているのだろう?

Choice: (12) たまには一息入れるのも大事ですから。
----- Tag 12 -----
voice: vo_adv_1356001_044
シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 ……なるほど、【chara 135612 face 1 (normal)】 確かにそうだな。
最近は、そんな時間を過ごすこともなかった。
【chara 135612 face 4 (sad)】 私はどうやら、そうやって休むのが下手らしい。

Choice: (13) 麦しゅわも、どうぞ。
----- Tag 13 -----
voice: vo_adv_1356001_045
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 えっ? あぁ、向こうの店で売っているのか……
【chara 135612 face 5 (shy)】 もしかして、誰かに聞いたのか?
私が、その、悩みすぎていた時のことを……

Choice: (14) そうじゃないけど……前に聞いたから。
----- Tag 14 -----
Choice: (15) 麦しゅわの聖騎士から、悩みに効くって。
----- Tag 15 -----
voice: vo_adv_1356001_046
シナツ:
【chara 135612 face 6 (surprised)】 そ、そうなのか……
【chara 135612 face 1 (normal)】 私はアイラのように普段から麦しゅわを飲むことはないが、
【chara 135612 face 2 (joy)】 ……そういうことならいただくよ。ありがとう。

--- Switch scene ---

story_still_135600101
voice: vo_adv_1356001_047
シナツ:
【chara 135611 face 2 (joy)】 ……ふふ。静かだな。
釣りをするときは心まで、自然と同化するくらいに静かにならなければ。
釣果を望む気持ちも焦りも、悩み事も忘れて。

voice: vo_adv_1356001_048
シナツ:
【chara 135611 face 6 (surprised)】 それに、麦しゅわも……【chara 135611 face 2 (joy)】 うん、悪くない。

voice: vo_adv_1356001_049
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 騒がしい空気では逆に緊張してしまう性分だから
店には行きづらいのだが……
【chara 135611 face 2 (joy)】 そうか、こういう場所で楽しむこともできるんだな。

voice: vo_adv_1356001_050
シナツ:
【chara 135611 face 2 (joy)】 誘ってくれてありがとう、{player}。
私だけでは、こんな過ごし方は思いつかなかった……

story_still_135600102
voice: vo_adv_1356001_051
シナツ:
【chara 135611 face 2 (joy)】 ふふ。少し気が楽になってきた。
キミの言う通り麦しゅわは悩みに効くらしい。
ふわふわして……魚は全然掛かってくれないが。

Choice: (16) 大丈夫ですか?
----- Tag 16 -----
voice: vo_adv_1356001_052
シナツ:
【chara 135611 face 6 (surprised)】 すまない、【chara 135611 face 2 (joy)】 心配には及ばないよ。
私は大丈夫だ。キミに迷惑をかけるようなことは……

voice: vo_adv_1356001_053
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 …………

Choice: (17) シナツさん?
----- Tag 17 -----
voice: vo_adv_1356001_054
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 いや、考えてみれば……
キミは私を心配して、ここに連れてきてくれたんだったな。

voice: vo_adv_1356001_055
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 キミに心の弱さを打ち明けておきながら……
【chara 135611 face 2 (joy)】 大丈夫だ、【chara 135611 face 4 (sad)】 なんて言っても説得力はないか。
今まではたぶん、大丈夫ではなかったんだな。

voice: vo_adv_1356001_056
シナツ:
【chara 135611 face 1 (normal)】 でも、今は。
少しだけ肩の荷が下りた心地だ。
【chara 135611 face 2 (joy)】 これは紛れもなく、キミのおかげだよ。

voice: vo_adv_1356001_057
シナツ:
【chara 135611 face 1 (normal)】 ……私は世界の管理者として、大きな責任を背負うことになった。
それに見合う力だって、振るうことができた。

voice: vo_adv_1356001_058
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 だがリセットに直面し、世界の真実を知って……
それから長い間、戦い続けてきた。
その戦いの中で、心がすり減っていくのを止められなかった。

voice: vo_adv_1356001_059
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 知ってしまった真実も、抱えた苦悩も、皆に明かすわけにはいかない。
冷静なふりをして、時に冷血を装って。
独りで戦うしかなかった。

voice: vo_adv_1356001_060
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 あぁ、そうだ……誰にも頼れない孤独。
思えばそれこそが、何よりも辛かった。
結局──そんなふうに感じる弱さすら、克服できなかったんだ。

voice: vo_adv_1356001_061
シナツ:
【chara 135611 face 4 (sad)】 不甲斐ないだろう?

Choice: (18) ……シナツさんは、弱くなんかないです。
----- Tag 18 -----
Choice: (19) 誰かを頼れるのも、強さだと思います。
----- Tag 19 -----
voice: vo_adv_1356001_062
シナツ:
【chara 135611 face 6 (surprised)】 ……そうか。なら私は……
【chara 135611 face 2 (joy)】 キミのおかげで、強くなれたのだろうな。

voice: vo_adv_1356001_063
シナツ:
【chara 135611 face 2 (joy)】 話を聞いてくれて、ありがとう。
心が少し晴れた気がする……

--- Switch scene ---

still display end
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 ……翌朝。
仕事に出かける支度をしていた{player}のもとに、
シナツが挨拶にやってきた。

voice: vo_adv_1356001_064
シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 おはよう、{player}。
帰る前にもう一度挨拶を……と思ってな。

voice: vo_adv_1356001_065
シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 昨夜は久しぶりにゆっくり休むことができたよ。
改めて、礼を言わせてくれ。

Choice: (20) また困った時は、釣りに行きましょう。
----- Tag 20 -----
voice: vo_adv_1356001_066
シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 ……そうだな、その時はまた、付き合ってくれ。
私も、キミの悩みを聞けるようにしておかねば。

voice: vo_adv_1356001_067
シナツ:
【chara 135612 face 2 (joy)】 住む世界が違っていても、私たちは友人同士。
近いうちにぜひ、キミも私たちの世界を見に来てほしい。
……皆会いたがっているはずだから。

Choice: (21) はい、ぜひ!
----- Tag 21 -----
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 昨日よりも晴れやかな声で{player}に別れを告げ、
シナツは自分の世界へと帰っていくのだった。