アラクネ 第1話
{player}たちに負け、洞窟で目覚めたアラクネは記憶を失っていた。その後、かつて傷つけた者とかけがえのない友人になるが罪は彼女を忘れてはいない。そんなとき、彼女は光と出会ったのだった。
-------------- situation:
逃れられない過去
--------------
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
{player}たちに敗れた後、気づけば彼女は洞窟にいた。
今は記憶を失い、自らの罪と向き合うことも忘れてしまった哀れな存在。
彼女の名は──アラクネ。
voice: vo_adv_1360001_000
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
…………
voice: vo_adv_1360001_001
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
……暗い。
ああ、とても暗い……
voice: vo_adv_1360001_002
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
ここは、どこなのでしょう……
洞窟……?
voice: vo_adv_1360001_003
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
石が、冷たい……
体が、とても重いです……
voice: vo_adv_1360001_004
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
わたしは……どうしたいのでしょう?
どこへ行けばいいのでしょう?
そもそも……
voice: vo_adv_1360001_005
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
わたしは、誰……?
voice: vo_adv_1360001_006
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
わからない……わからない……
voice: vo_adv_1360001_007
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
あのっ……誰か、いませんか……?
どなたでもいいのです……
聞こえているのなら、お返事をください……
voice: vo_adv_1360001_008
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
…………
voice: vo_adv_1360001_009
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
誰も、いらっしゃらないのですね……
わたしは、一人なのですね……
voice: vo_adv_1360001_010
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
わたしは、どうすればいいのでしょうか……
わたしは、誰なのでしょうか……
voice: vo_adv_1360001_011
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
教えてください……
誰か……誰か……
voice: vo_adv_1360001_012
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
…………
voice: vo_adv_1360001_013
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
どれほどの時間が経ったのでしょう……
二日? 三日? それとももっと……?
voice: vo_adv_1360001_014
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
ただでさえ、なにも分からないのに。
時間の感覚まで、分からなくなってしまったみたい……
voice: vo_adv_1360001_015
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
あぁ……眠い……眠いのに、眠るのが恐ろしい……
目が覚めたとき、わたしは一人なのだと思い知らされることに、
もう耐えられないのです……
voice: vo_adv_1360001_016
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
──……光。
voice: vo_adv_1360001_017
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
まぶしい光……あたたかい光……
【chara 136011 face 4 (sad)】
でも……遠い光……
voice: vo_adv_1360001_018
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
あの光へ向かえば、何かが変わるかも……
【chara 136011 face 1 (normal)】
もう一人でいなくてすむかも……
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
そしてアラクネは一人、
光に魅せられたかのように、洞窟の外へと向かっていったのだった。
voice: vo_adv_1360001_019
ヤマト:
【chara 130011 face 3 (anger)】
……ずいぶんナリは変わっちまったみたいだが……
魔力までは誤魔化せないよ。
今度こそ、オケラになるまで刻んでやるからね!
voice: vo_adv_1360001_020
レディ・アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
ええと……
あなたがたは……わたしのことを、ご存じなのでしょうか?
Choice: (1) あなたは、アラクネさん……ですよね?
----- Tag 1 -----
voice: vo_adv_1360001_021
レディ・アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
あら……くね?
【chara 136011 face 4 (sad)】
ごめんなさい。
聞き覚えが、なくて……
voice: vo_adv_1360001_022
ヤマト:
【chara 130011 face 3 (anger)】
何ふざけたこと言ってんだい!
じゃあまさか、アタシらの顔も忘れたってのか!?
voice: vo_adv_1360001_023
レディ・アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
わたし、記憶を失ってしまったみたいで。
何もわからないんです……
自分のことも、家族のことも。
voice: vo_adv_1360001_024
ヤマト:
【chara 130011 face 8 (special_b)】
どうも、人違いだったみたいだね。
【chara 130011 face 4 (sad)】
アンタみたいなヤツ、アタシらは知らないよ。
voice: vo_adv_1360001_025
レディ・アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
知らない……【chara 136011 face 4 (sad)】
そうですか。
残念です……
voice: vo_adv_1360001_026
ナーナ:
【chara 136212 face 4 (sad)】
……っ。
このひとのお名前、『アラクネ』っていうの……?
voice: vo_adv_1360001_027
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
はい、たぶん……
そう、呼ばれています。
voice: vo_adv_1360001_028
ナーナ:
【chara 136212 face 6 (surprised)】
え? たぶんって、どゆこと?
voice: vo_adv_1360001_029
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
実は、記憶がないのです。
お恥ずかしいこと、ですが。自分のこともよくわからず……
ご迷惑でしたら、どうかこのまま捨てていってくださいませ。
voice: vo_adv_1360001_030
ナーナ:
【chara 136212 face 4 (sad)】
えっと、えっと……
voice: vo_adv_1360001_031
ナーナ:
【chara 136212 face 4 (sad)】
おとなしそうだし、やさしそうだし。
やっぱり……ちがう、よね?
ナーナたちを操った、あの蜘蛛の魔物……『レディ・アラクネ』とは。
voice: vo_adv_1360001_032
ナーナ:
【chara 136212 face 3 (anger)】
そ、そんなの聞いたらますますほっとけないよっ。
【chara 136212 face 4 (sad)】
えーと、んーと、【chara 136212 face 1 (normal)】
じゃあ『あらくね』だから……
【chara 136212 face 2 (joy)】
あーちゃんって呼ぶね!
voice: vo_adv_1360001_033
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
あーちゃん、ですか?
voice: vo_adv_1360001_034
ナーナ:
【chara 136212 face 4 (sad)】
その名前だと、みんなぶるぶるしちゃうと思うし!
【chara 136212 face 1 (normal)】
本当の名前を思い出すまで、【chara 136212 face 2 (joy)】
ね! あーちゃん!
voice: vo_adv_1360001_035
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
ん……はぁ、はぁ……
voice: vo_adv_1360001_036
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
……眠い。
騎士さまとなーちゃんのおかげで、眠れるようになりましたのに……
最近は、また……
voice: vo_adv_1360001_037
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
お二人には笑われてしまうでしょうか……
悪夢を見るから、眠るのが怖いなどと言ったら。
voice: vo_adv_1360001_038
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
……ですが、怖かったのはきっと、あの方々も同じはず。
【chara 136011 face 4 (sad)】
先日、わたしに怒りをぶつけてきた方々も……
voice: vo_adv_1360001_039
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
悪行を働いていたときの記憶は、わたしにはありません……
一部の方は許してくださいましたが、
わたしが『アラクネ』であることに変わりはない。
voice: vo_adv_1360001_040
アラクネ:
【chara 136011 face 3 (anger)】
過去のわたしが行ったという悪事……
ジオ・ゲヘナの方々がわたしを責めたくなるのは当然のこと……
voice: vo_adv_1360001_041
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
その結果、わたしが眠れなくなってしまったのだとしても、
皆さまのせいではありません……
あぁ、ですが……
voice: vo_adv_1360001_042
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
ですが、わたしはどうすればよいのでしょうか……?
voice: vo_adv_1360001_043
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
どのように生きていけばよいのでしょうか……?
voice: vo_adv_1360001_044
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
何度考えても答えが見つかりません……
頭の中で、何度も自分に問い続けていますのに……
voice: vo_adv_1360001_045
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
あっ……
voice: vo_adv_1360001_046
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
疲れと空腹で、もうこれ以上は歩けません……
voice: vo_adv_1360001_047
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
わたしは、なにを探して歩き続けてきたのでしょうか……
わたしは、なにを見つけたら満足するのでしょうか……
voice: vo_adv_1360001_048
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
わたしには……生きている意味が、あるのでしょうか……
voice: vo_adv_1360001_049
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
もう、目を開けたくない……
もう、なにも感じたくない……
このまま、わたしは……わたしは……
voice: vo_adv_1360001_050
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
…………
voice: vo_adv_1360001_051
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
……まぶしい。
これは……光……?
Choice: (2) アラクネさんっ!
----- Tag 2 -----
voice: vo_adv_1360001_052
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
あたたかい、光……わたしの、光……
voice: vo_adv_1360001_053
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
ん……焚火……?
【chara 136011 face 6 (surprised)】
誰が……?
Choice: (3) よかったです。目が覚めて。
----- Tag 3 -----
voice: vo_adv_1360001_054
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
騎士さま……
もしかして、わたしを助けてくださったのですか?
【chara 136011 face 4 (sad)】
どうして……?
Choice: (4) 目の前で倒れた人を放ってはおけない。
----- Tag 4 -----
voice: vo_adv_1360001_055
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
優しいのですね、騎士さまは……
Choice: (5) スープを作ったから、よかったら飲んで。
----- Tag 5 -----
voice: vo_adv_1360001_056
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
感謝いたします、騎士さま。
……ん……はぁ……【chara 136011 face 2 (joy)】
おいしいです。とても。
ここ何日かは、あまり食事もしていなかったものですから……
Choice: (6) 倒れたときの土が体に……拭きますね。
----- Tag 6 -----
voice: vo_adv_1360001_057
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
そのようなことを騎士さまにしていただくわけには……
【chara 136011 face 4 (sad)】
それに、わたしの体がきれいでも汚れていても、
きっと誰も気にもとめないでしょうし……
Choice: (7) 僕はきれいなアラクネさんが見たいから。
----- Tag 7 -----
voice: vo_adv_1360001_058
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
騎士さま……
【chara 136011 face 2 (joy)】
では、その……よろしくお願いいたします。
voice: vo_adv_1360001_059
アラクネ:
【chara 136011 face 5 (shy)】
あ……ふぅ……ん……
騎士さまに触れられていると、気持ちいいです……
voice: vo_adv_1360001_060
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
……そういえば……
今は、悪夢を……見なかった?
ひょっとして……この方が、傍らにいてくださったから……
voice: vo_adv_1360001_061
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
……少し、騎士さまに聞いていただきたいことがあるのですが、
よろしいでしょうか?
voice: vo_adv_1360001_062
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
お恥ずかしいことなのですが……
わたしはこの先、どう生きていけばよいのか分からないのです。
voice: vo_adv_1360001_063
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
騎士さまたちのおかげで、友達と呼べる方はできました。
ですが……わたしは変わらず、空っぽの存在のまま。
voice: vo_adv_1360001_064
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
記憶を取り戻すべきなのかもしれませんが……
わたしにとって過去のわたしは、あまりに恐ろしい存在で……
今のわたしはなにも持っていない、体が大きいだけの、小さな女……
Choice: (8) 大丈夫。きっと答えは見つかる。ただ……
----- Tag 8 -----
Choice: (9) その悩みは自分自身でしか解決できない。
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1360001_065
アラクネ:
【chara 136011 face 4 (sad)】
はい、分かってはいるのです……騎士さまのおっしゃることは……
でも……自分で探す力すら、わたしにはもうないのです……
Choice: (10) お腹もまだ空っぽみたいだしね。
----- Tag 10 -----
voice: vo_adv_1360001_066
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
これは、そのっ……【chara 136011 face 4 (sad)】
申し訳ありません。
真剣な話をしていたのに、わたしの体ったら……
あむっ……【chara 136011 face 2 (joy)】
スープ、おいしいです。
Choice: (11) ……大丈夫。僕がそばにいます。
----- Tag 11 -----
voice: vo_adv_1360001_067
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
騎士さま……
Choice: (12) お腹が鳴ったのもスープを飲んだのも……
----- Tag 12 -----
Choice: (13) 体が生きたいと言っている証。
----- Tag 13 -----
voice: vo_adv_1360001_068
アラクネ:
【chara 136011 face 6 (surprised)】
生きたい、証……
生き方が分からないわたしなのに……?
Choice: (14) 今は生き方が分からなくてもいい。
----- Tag 14 -----
Choice: (15) 体が生きたがっていることを覚えていて。
----- Tag 15 -----
voice: vo_adv_1360001_069
アラクネ:
【chara 136011 face 2 (joy)】
……なんだか、あたたかくなってきました。
心も、体も。
voice: vo_adv_1360001_070
アラクネ:
【chara 136011 face 1 (normal)】
……思えば、騎士さまは最初に会ったときから優しく接してくれました。
今は、心の奥に残っていた氷が、少しずつ溶けていくようです。
voice: vo_adv_1360001_071
アラクネ:
【chara 136011 face 2 (joy)】
言葉だけではなく、
騎士さまというあたたかな存在がわたしを照らしてくれている……
voice: vo_adv_1360001_072
アラクネ:
【chara 136011 face 2 (joy)】
あなたは、光です。
冷たくて、真っ暗なところにいたわたしを照らしてくれる光……
Choice: (16) 僕の身体は、光ってないけど……?
----- Tag 16 -----
voice: vo_adv_1360001_073
アラクネ:
【chara 136011 face 2 (joy)】
構いません。
騎士さまの光を感じられるのは、
わたしにとっての幸いになるはずですから。
Choice: (17) そばにいるから、少し眠っていいですよ。
----- Tag 17 -----
voice: vo_adv_1360001_074
アラクネ:
【chara 136011 face 2 (joy)】
ありがとうございます。
スープも、ごちそうさまでした。
voice: vo_adv_1360001_075
アラクネ:
【chara 136011 face 2 (joy)】
では……お言葉に甘えて、少し眠ることにいたします。
voice: vo_adv_1360001_076
アラクネ:
【chara 136011 face 2 (joy)】
……おやすみなさいませ、光の人。
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
今の存在として目覚めてから、ぐっすりと眠ったことなどなかった。
だがアラクネはこのとき、心の底から安堵して眠りについたのだった。