カスミ(シスター) 第4話
夢の中、{player}と二人きりの雨宿りをするかすみ。雨がやみ、出ていこうとする彼を、その袖を掴んで引き止める。彼女の小さな勇気は、その先の未来を──真実を、少しだけ変えたかもしれない。
-------------- situation:
数センチは遠すぎる
--------------
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
館にまつわる怪奇事件を解決し、
まずまずの繁盛をみせるカスミの探偵事務所。
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
{player}は今日も助手として、
その業務を手伝っていた。
voice: vo_adv_1374004_000
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
ふぅ……これでよし、と!
【chara 137412 face 2 (joy)】
今回も無事、事件解決だ!
Choice: (1) コーヒーを淹れるよ。
----- Tag 1 -----
voice: vo_adv_1374004_001
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
いや、私が淹れよう。
たまには感謝の気持ちを示させてほしい。
【chara 137412 face 5 (shy)】
そ……それで…………
Choice: (2) どうしたの? 僕をじっと見つめて。
----- Tag 2 -----
voice: vo_adv_1374004_002
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
あ、いや、なんでもない……
【chara 137412 face 5 (shy)】
……いや……やはり……
なんでもなくはない。
voice: vo_adv_1374004_003
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
助手くんには、いつか尋ねようと思っていたんだ。
気になること──いや、不思議なこと。
理屈に合わないことがあってね。
voice: vo_adv_1374004_004
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
助手くんはいつも、いろいろと忙しい身だろう?
なのに、どうしてこう頻繁に、この事務所に来てくれるんだい。
【chara 137412 face 3 (anger)】
もしかして──
voice: vo_adv_1374004_005
カスミ:
【chara 137412 face 3 (anger)】
私と会いたいからなのかい?
voice: vo_adv_1374004_006
カスミ:
【chara 137412 face 5 (shy)】
──なんて聞けるわけがないだろう!!
voice: vo_adv_1374004_007
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
……ええと、その、お金に困っているのかい?
Choice: (3) うん。
Choice: (4) カスミちゃんに会いたいから。
----- Tag 3 -----
voice: vo_adv_1374004_008
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
そ、そうか……それは……失礼、へんなことを聞いてしまった。
私で力になれることがあるなら、遠慮なく相談してくれたまえ。
できるかぎり融通はしてあげたい……
Jump to tag 5
----- Tag 4 -----
voice: vo_adv_1374004_009
カスミ:
【chara 137412 face 5 (shy)】
~~っ! ……い、いやいや! まったく!
そういうところだよ助手くんは!
言葉選びが素直すぎるというか、その、誤解を招きやすいというんだっ。
voice: vo_adv_1374004_010
カスミ:
【chara 137412 face 5 (shy)】
か、勘違いをして……べつの意味に捉えてしまう女性だっているだろう。
気をつけたまえ!
----- Tag 5 -----
voice: vo_adv_1374004_011
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
…………
【chara 137412 face 6 (surprised)】
……と、【chara 137412 face 1 (normal)】
お湯は沸いたかな……
voice: vo_adv_1374004_012
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
……助手くんは、いつも素直だよ。
【chara 137412 face 4 (sad)】
だが、素直すぎるがゆえ、難解ということもあるのだね……
名探偵といえど、この謎は手に負えない。いったい助手くんは──
voice: vo_adv_1374004_013
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
──本当は私のことを、どう思っているのだろう。
voice: vo_adv_1374004_014
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
はぁ……
もしも、真実を映す鏡なんてものが、この世にあったらいいのだがね……
voice: vo_adv_1374004_015
カスミ:
【chara 137411 face 6 (surprised)】
……って、あるじゃないか!
ここに! この杖の先に!
voice: vo_adv_1374004_016
カスミ:
【chara 137411 face 6 (surprised)】
……もしもこれで、こっそり助手くんを映したならば……
【chara 137411 face 4 (sad)】
い、いやいや! 何を考えているんだ私は!
人の心を覗き見などシスターとしてあるまじき思考じゃないか!
voice: vo_adv_1374004_017
カスミ:
【chara 137411 face 3 (anger)】
落ち着くんだ。こういうときは……【chara 137411 face 2 (joy)】
そう、祈るんだ!
目をとじて……唱える……
悪しき心よ、去りたまえ……【chara 137411 face 3 (anger)】
どっかいっちゃいたまえ……
voice: vo_adv_1374004_018
カスミ:
【chara 137411 face 4 (sad)】
……ちらり。まあその、【chara 137411 face 1 (normal)】
多少はね……
これはそう、うん、
探偵と助手という仕事上の関係を、円滑に保つために必要なことで──
Choice: (6) なんだか遅いみたいだけど、大丈夫?
----- Tag 6 -----
voice: vo_adv_1374004_019
カスミ:
【chara 137411 face 6 (surprised)】
わああっ! 助手くん!
【chara 137411 face 4 (sad)】
いや、ちょっとこの杖と鏡を片付けようと──
【chara 137411 face 6 (surprised)】
ん?
--- Switch scene ---
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
通り雨の公園で、{player}は
下校中のかすみと雨宿りをしていた。
voice: vo_adv_1374004_020
かすみ:
【chara 101431 face 1 (normal)】
……ふぅ……
すごい通り雨でしたね……
voice: vo_adv_1374004_021
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
ちょうどこの前出たばっかりの、『真実事件簿』の新刊のお話。
先輩と、できてよかったです。
Choice: (7) 雨、すっかりやんだみたいだね。
----- Tag 7 -----
voice: vo_adv_1374004_022
かすみ:
【chara 101431 face 1 (normal)】
……あ、えっと……はい。
もうしばらく降るかなって思ってましたけど
意外と早かったですね……
Choice: (8) 鞄の本が濡れなくて、本当によかったよ。
----- Tag 8 -----
voice: vo_adv_1374004_023
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
はい、危ないところでした……えへへ。
voice: vo_adv_1374004_024
かすみ:
【chara 101431 face 1 (normal)】
…………
学校の帰り道に、いっしょに雨に降られて、
【chara 101431 face 2 (joy)】
二人でいっしょに、雨宿りしていた時間。
voice: vo_adv_1374004_025
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
先輩が雨を眺める横顔を、私が眺めていた時間。
【chara 101431 face 1 (normal)】
どれくらいだったのかな。【chara 101431 face 2 (joy)】
あっというまに終わっちゃった気がするな。
voice: vo_adv_1374004_026
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
先輩は雨が早く上がって、喜んでくれた。
早く帰りたい私のために。
早くやめばいいですねって、私が言ったから。でも、本当は──
voice: vo_adv_1374004_027
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
ずっとやまなければいいな、って思ってた。
【chara 101431 face 2 (joy)】
雨のベールに包まれたみたいな、二人っきりの世界で、
いつまでも、おしゃべりをして、笑って──
voice: vo_adv_1374004_028
かすみ:
【chara 101431 face 1 (normal)】
そういえば、笑ってたの、私ばっかりだったよね。
【chara 101431 face 4 (sad)】
しゃべってたのも……私ばっかり……
voice: vo_adv_1374004_029
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
そ、そうそう! あの小道具、面白かったですよね。
『真実の鏡』。
隠してた本心まで見えちゃうっていう、トリックでしたけど──
Choice: (9) じゃあ、家まで送っていくよ。
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1374004_030
かすみ:
【chara 101431 face 1 (normal)】
……はい。
voice: vo_adv_1374004_031
かすみ:
【chara 101431 face 1 (normal)】
先輩はいつも優しい。
【chara 101431 face 4 (sad)】
でも──あの小説に出てくる『真実の鏡』があったなら──
voice: vo_adv_1374004_032
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
──あったなら。
きっと怖くて、覗けないだろうな。
Choice: (10) そろそろ行こうか。
----- Tag 10 -----
voice: vo_adv_1374004_033
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
……あの……えっと……
Choice: (11) 手を差し伸べる。
----- Tag 11 -----
voice: vo_adv_1374004_034
かすみ:
【chara 101431 face 6 (surprised)】
……いま、先輩の、優しいその手を取ったら──
voice: vo_adv_1374004_035
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
終わっちゃう。
二人の時間が。
今日もまた、なにも進まないままで。
voice: vo_adv_1374004_036
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
でも、進むってことは、
それは私が見たくない──見るのが怖い真実に近づくってことだ。
voice: vo_adv_1374004_037
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
推理小説みたいに、真実を解き明かしてしまったら……
先輩の気持ちを……はっきりと聞いてしまったら……
voice: vo_adv_1374004_038
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
そのとき終わってしまうのは、私の物語だ。
voice: vo_adv_1374004_039
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
私が、勝手に紡いで、勝手に夢見て、
勝手にハッピーエンドを思い描いていた──
私の、私だけの物語。そのものなんだ。
voice: vo_adv_1374004_040
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
私は、そんな終わりに向かって、ページをめくっているのかな。
voice: vo_adv_1374004_041
かすみ:
【chara 101431 face 3 (anger)】
……ううん。違うよ。これは推理小説じゃない。
voice: vo_adv_1374004_042
かすみ:
【chara 101431 face 3 (anger)】
現実というこの世界に、私は生きているんだ。
ページを順番にめくるなんて、お行儀のいいことをしなくたっていい。
理由なんて、理屈なんて、もういらない。
voice: vo_adv_1374004_043
かすみ:
【chara 101431 face 3 (anger)】
だから、私は──
--- Switch scene ---

voice: vo_adv_1374004_044
かすみ:
【chara 101431 face 5 (shy)】
あのっ!
もうちょっとだけ、おしゃべりしていきませんか!
Choice: (12) 早く帰らなくていいの?
----- Tag 12 -----
voice: vo_adv_1374004_045
かすみ:
【chara 101431 face 5 (shy)】
早く帰りたかったです。
でも、それよりも──
voice: vo_adv_1374004_046
かすみ:
【chara 101431 face 4 (sad)】
……目をそらしちゃいそう。
【chara 101431 face 3 (anger)】
でも……逃げていたら、変わらないよね。
だから、──先輩との『続き』のために……!
voice: vo_adv_1374004_047
かすみ:
【chara 101431 face 5 (shy)】
わ、たし……! 先輩とおしゃべりがしたいです。
先輩と、素敵なお話しの続きをしたいです。
続きを……したいです……!
Choice: (13) 僕もそう思ってた。
----- Tag 13 -----

voice: vo_adv_1374004_048
かすみ:
【chara 101431 face 6 (surprised)】
……!
先輩……も……?
Choice: (14) よかった。
----- Tag 14 -----
voice: vo_adv_1374004_049
かすみ:
【chara 101431 face 5 (shy)】
……それって……
Choice: (15) かすみちゃんとしゃべるのは楽しいから。
----- Tag 15 -----

voice: vo_adv_1374004_050
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
……!
はいっ……!
私も……! 私も楽しいですっ! とっても……!
voice: vo_adv_1374004_051
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
……ああ……先輩は──
voice: vo_adv_1374004_052
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
やっぱり、優しいなあ。
本当は、私に合わせて、そう言ってくれてるだけかもしれない。
でも──
voice: vo_adv_1374004_053
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
なんの言い訳もいらない。どんな理屈もつけなくたっていい。
私がいっしょにいたいから。
ただそんな理由だけで、先輩といられる日……!
voice: vo_adv_1374004_054
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
それじゃあ、先輩っ。
もうちょっと座って、二人の感想会、続けましょう。
そうそう、『真実の鏡』の、その続き──
voice: vo_adv_1374004_055
かすみ:
【chara 101431 face 2 (joy)】
「真実は、自分たちの手で創るもの」
というお話のところっ。
--- Switch scene ---
still display end
voice: vo_adv_1374004_056
アメス:
【chara 190011 face 2 (joy)】
敬虔なる我が信徒よ。
はちゃめちゃかわいい恋の女神アメス様に祈りを捧げたまえ~
voice: vo_adv_1374004_057
アメス:
【chara 190011 face 2 (joy)】
……はーい、お疲れさま。
まずは──やるじゃない、カスミちゃん。
あんなに健気な姿見たら、あたしも応援したくなっちゃうわ♪
voice: vo_adv_1374004_058
アメス:
【chara 190011 face 1 (normal)】
にしても、不思議な子よね~?
あっちとこっちでずいぶん印象が違うもの。
voice: vo_adv_1374004_059
アメス:
【chara 190011 face 1 (normal)】
でもね。あんたはきっと分かってるはずよ。
あの子があの子自身の理想の姿を演じてるからといって、
その全部を嘘とはいえないってこと。
voice: vo_adv_1374004_060
アメス:
【chara 190011 face 1 (normal)】
憧れの自分の姿に、なりたいって気持ち。
ありのままであんたを好きだって想い。
それは、どっちも彼女の真実──なのかもね?
voice: vo_adv_1374004_061
アメス:
【chara 190011 face 2 (joy)】
つまり。
真実は一つじゃないかもしれない、ってことよ。
voice: vo_adv_1374004_062
アメス:
【chara 190011 face 2 (joy)】
あんたが解き明かす日がいつか来るのかもしれないわね?
頑張りなさいよね、助手くん♪
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1374004_063
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
……う……んっ……
【chara 137412 face 6 (surprised)】
わぁっ! 私ったら、助手くんの袖をつかんだまま眠って……
Choice: (16) 僕も眠ってたみたい。
----- Tag 16 -----
voice: vo_adv_1374004_064
カスミ:
【chara 137412 face 6 (surprised)】
ああ、私は鏡で助手くんの心を覗こうとして、
そのまま眠ってしまっていたのか。
voice: vo_adv_1374004_065
カスミ:
【chara 137412 face 4 (sad)】
結局助手くんの心を覗き見することはできなかったけど、
【chara 137412 face 1 (normal)】
それでいいんだよね。
voice: vo_adv_1374004_066
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
あのね、助手くん。
今回のいろいろな事件を経験して、私は思ったのさ。
真実は、やたらと追究するものではない、ってね。
voice: vo_adv_1374004_067
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
覚えてるかい。あの日の幽霊騒ぎ──
私は初め、あの男性の幽霊を力ずくで排除しようとしてしまった。
voice: vo_adv_1374004_068
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
でも、あのとき、どこからか迷い込んだ猫がじゃまをして。
おかげで私は、一息ついて、自分を取り戻すことができた。
【chara 137412 face 2 (joy)】
あれはもしかしたら、キーリなんじゃないかって。
voice: vo_adv_1374004_069
カスミ:
【chara 137412 face 2 (joy)】
キーリは、本当はまだそばにいて、
いつも私を見守ってくれている気がするんだ。
本当に大切なときに、私が推理を間違えないようにさ。
voice: vo_adv_1374004_070
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
私の中には、いつもキーリがいて、ときどき私とおしゃべりをしている。
【chara 137412 face 2 (joy)】
これは、本当だよ。
つまりそれは、キーリは本当に『いる』ってことに他ならない。
voice: vo_adv_1374004_071
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
それは、キーリがここに存在しているかどうか、
とは違うものなんだ。
voice: vo_adv_1374004_072
カスミ:
【chara 137412 face 2 (joy)】
助手くんなら分かってくれるよね。
voice: vo_adv_1374004_073
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
もちろん、私は真実の信奉者だ。
それは、これからもずっと変わらないよ。
けれどいまは、その追究を焦る必要はない、って思ってる。
voice: vo_adv_1374004_074
カスミ:
【chara 137412 face 1 (normal)】
ありのままの事実ではない──ただ、そうでありたいという気持ち。
人が願い、祈ったものを──そうして、心に生まれたものを──
voice: vo_adv_1374004_075
カスミ:
【chara 137412 face 2 (joy)】
真実と呼ぶ。
そんな定義も、いいんじゃないかな。ときにはね。