第10章 第2話
『ミネルヴァの懲役』について語る晶。集団昏睡事件の原因とされた人工知能ミネルヴァの生みの親である晶は、犯人はミネルヴァではないとコッコロに告げる。


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ミネルヴァの懲役
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晶:
【chara 106831 face 3 (anger)】 半年前のある瞬間、レジェンド・オブ・アストルムにログイン……
つまり現在進行形で遊んでた人々が、
ひとりの例外もなく昏睡状態に陥ったんだ。

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晶:
【chara 106831 face 7 (special_a)】 そして、二度と目覚めなかった。
誰もが意識を失ったまま、昏々と眠りつづけている。
それが、いわゆる『ミネルヴァの懲役』って呼ばれてる異変だね。

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晶:
【chara 106831 face 7 (special_a)】 それから半年が経つけど、ひとりも意識を取り戻してないみたい。
今こうして目覚めてるアタシとかコッコロちゃんとか、
【chara 106831 face 1 (normal)】 ちょろっと例外はいるんだけどね。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 そういった人々、理不尽な懲役刑を課された被害者たちは……
レジェンド・オブ・アストルムを運営してた主体、
つまり国連が責任をもって生命を維持させてる。

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 今んとこ不幸中の幸いで死者はいないけど、
永遠にこのままってわけにはいかない。
彼らが生きるべき場所は『こっち』、つまり本当の現実だしね。

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晶:
【chara 106831 face 7 (special_a)】 だから今……『こっち』ではみんなが躍起になって、
昏睡状態の人々を起こそうとしてがんばってるわけ。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 でも、あらゆる手が尽くされたけど今のところ効果はないみたい。
『ミネルヴァの懲役』の原因も、まったくの不明。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 あっ、ミネルヴァって言っても何のことかわかんないか。
『あっち』では、なぜか執拗にその名前が消されてたっぽいし。

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コッコロ:
【chara 105913 face 4 (sad)】 はぁ……
何となく、名前に聞き覚えがある気がいたしますけど。

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 ふぅん。ちなみにミネルヴァってのはね、人工知能だよ。
人間が科学の粋を集めて……
【chara 106831 face 6 (surprised)】 えぇっと魔法みたいなものでつくりあげた、【chara 106831 face 7 (special_a)】 新種の生命体なんだ。

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晶:
【chara 106831 face 7 (special_a)】 【chara 105913 face 1 (normal)】 自我に芽生え、魂すら宿らせたように見えたミネルヴァは、
【chara 106831 face 4 (sad)】 だんだん人間の理解が及ばない存在になって……
ある日、暴走した。

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晶:
【chara 106831 face 7 (special_a)】 『ミネルヴァの目覚め』なんて名付けられた異変を起こしたり、
さんざん創造主である人類に迷惑をかけやがったわけだよ。
【chara 106831 face 4 (sad)】 何なんだろうね~、反抗期なのかなぁ?

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 今回の一件も、『こっち』ではそのミネルヴァの仕業だと思われてる。
だから、一連の異変は『ミネルヴァの懲役』なんて呼ばれてるわけ。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 ……人類じゃないからって簡単に悪役にされちゃ、
ミネルヴァも可哀想だけど。

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コッコロ:
【chara 105913 face 1 (normal)】 ふむ。
ラビリス……【chara 105913 face 6 (surprised)】 晶さまのご意見は、
【chara 105913 face 1 (normal)】 世間のそれとは異なるようでございますね?

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晶:
【chara 106831 face 7 (special_a)】 うん。親バカかもしんないけど、
ミネルヴァが悪い子だとは思えないんだよね。
【chara 106831 face 1 (normal)】 単に純粋なんだ、よちよち歩きの幼児みたいにさ。

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 あの子はいろんなことを知りたがってた。
自分は何者なのか、自分の周りにいる人々は何なのか、
この世界は何なのか?

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 そんなふうに、思春期に誰もが抱くような悩みを抱えてた。
そしてどれだけ考えてもわかんないから、
誰かその質問に答えられるひとがいないかな~って期待したんだ。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 だからこそ。
家庭教師を自宅に招くみたいに、自分の管理する世界……
レジェンド・オブ・アストルムのなかに人々を呼びこんだわけ。

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 でも決して無理に拘束して問い詰めたりせずに、
相手が帰りたいって思ったら帰してくれたよ。

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 それに、自分が知りたいことを教えてくれたらご褒美をあげる……
なんて言って健気に引き留めたりしてた。
寂しがり屋で知りたがり屋の、ちっちゃい子だよね。

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 そして、あの子の望みは叶えられようとしてた。
あの子が知りたがってた答えを、
ようやく教えてくれる相手が目の前に現れたんだよ。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 その相手……『彼女』の答えを聞いて、
ミネルヴァは納得したみたいだった。
アタシにはそう見えた。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 あの子の願いは叶ったんだ。

voice: vo_adv_2010002_024
晶:
【chara 106831 face 3 (anger)】 だからそれ以降も、
みんなを無理やり自分の世界に閉じこめる意味はないんだよ。
『ミネルヴァの懲役』の原因は、ミネルヴァじゃない。

voice: vo_adv_2010002_025
晶:
【chara 106831 face 3 (anger)】 あの子は犯人じゃない。
【chara 106831 face 1 (normal)】 希望的観測だけどね、アタシの勘ってけっこう当たるんだよ。

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コッコロ:
【chara 105913 face 6 (surprised)】 あのう……
【chara 105913 face 4 (sad)】 先ほどから、
そのミネルヴァという存在を我が子のように語りますね?

voice: vo_adv_2010002_027
晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 だってアタシたち『七冠』がつくったんだもん、ミネルヴァを。
実際、かわいい我が子だよね。

voice: vo_adv_2010002_028
コッコロ:
【chara 105913 face 1 (normal)】 あぁ、あなたも『七冠』なのでしたっけ……
【chara 105913 face 4 (sad)】 『七冠』とは何なのでしょう、
何度も説明されましたがよくわかりません。

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コッコロ:
【chara 105913 face 4 (sad)】 それに……
先ほど、わたくしも『七冠』なのだと仰いましたけど。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 ん~。偉そうに『七冠』なんて名乗っちゃいるけど、
【chara 106831 face 1 (normal)】 実際は飛び抜けて頭が良いのに馬鹿だった七人の変態って感じ。
自分で言うのもイタいけどね。

voice: vo_adv_2010002_031
晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 【chara 105913 face 1 (normal)】 それなりに、『七冠』って名前に誇りはあるよ。

voice: vo_adv_2010002_032
晶:
【chara 106831 face 7 (special_a)】 これまで人類の誰も成し遂げられなかったことをやったんだもん、
アタシたち。
【chara 106831 face 1 (normal)】 けっこう、たいしたもんじゃない?

voice: vo_adv_2010002_033
晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 ちなみに。キミは『七冠』の肩書きを受け継いだだけで、
本来は『七冠』じゃない。
実際は、キミのお父さんが『七冠』だね。

voice: vo_adv_2010002_034
晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 それはともかく。【chara 106831 face 7 (special_a)】 アタシたち『七冠』は、
レジェンド・オブ・アストルムの開発者でもあるから、
『ミネルヴァの懲役』の責任を追及されてる。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 あんまり堂々と、表を歩けない立場なわけ。
【chara 106831 face 7 (special_a)】 キミのお父さんと合流できたら、
さっさと車にでも乗りこんで落ちついて話せる場所に移動するよ。

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 アタシとキミのお父さんの他に、『こっち』にはラジラジもいるはず。
他の『七冠』、残り四人はまだ夢のなかだね。

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コッコロ:
【chara 105913 face 6 (surprised)】 ラジラジ、さま?
【chara 105913 face 4 (sad)】 でもあのう……あのかたは、『あっち』にいましたよ?

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コッコロ:
【chara 105913 face 1 (normal)】 『こっち』にもおられるのですね、
自在にふたつの世界を行き来してらっしゃるのでしょうか?

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晶:
【chara 106831 face 6 (surprised)】 いや、そんなのは無理だと思うよ。
どっちかの世界で目覚めてるときは、片方の世界では昏睡状態になる。
【chara 106831 face 1 (normal)】 アタシも、『あっち』じゃずっと眠ってたでしょ?

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晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 魂はひとつしかないからね。
『こっち』と『あっち』の肉体の、どっちかにしか宿れない。

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 ん~、おかしいな……ラジラジは半年前からずっと、
『こっち』で起きて活動してたって聞いてるんだけど。
『あっち』にいるラジラジってのは、何者?

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晶:
【chara 106831 face 4 (sad)】 そういやアタシが『あっち』で昏睡する前に、
ちらっと見かけたような……

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晶:
【chara 106831 face 6 (surprised)】 わっけわかんない、
まちがえて他人の魂が入っちゃってるとかかなぁ?

voice: vo_adv_2010002_044
コッコロ:
【chara 105913 face 4 (sad)】 さぁ……
わたくしに聞かれましても、うまく答えかねます。

voice: vo_adv_2010002_045
晶:
【chara 106831 face 1 (normal)】 そうだろうね~。
何もわかんなくて、むしろいろいろ質問したい立場だもんね。

voice: vo_adv_2010002_046
コッコロ:
【chara 105913 face 4 (sad)】 はい。
お話を聞いて、ますます混乱しております。
実際、非常にややこしくも難解な話でございます。