第12章 第12話
キャルの王宮での記憶。大量のおにぎりを抱え帰還したキャルに『陛下』は冷たい言葉を浴びせるも、気まぐれにおにぎりを食べ、ふと秘めた過去を口にする。それだけのことをキャルはうれしく思うのだった。
-------------- situation:
奉仕の理由
--------------
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
その後……
キャルは運びきれないほどのおにぎりを持たされて、帰途についた。
その歩みは遅く、どこかを怪我したかのようだった。
voice: vo_adv_2012012_000
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
…………
voice: vo_adv_2012012_001
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
はぁ……
また今日も、普通にごはんだけ食べて帰ってきちゃったわ。
voice: vo_adv_2012012_002
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
あたしの目的は監視と、暗殺なのに。
仲良くなってどうするのよ。
voice: vo_adv_2012012_003
キャル:
【chara 106012 face 1 (normal)】
でも。楽しくって、幸せで、何もかもキラキラ輝いてて……
【chara 106012 face 4 (sad)】
眩しくって、
自分のほんとの目的も見えなくなって、忘れちゃいそうだわ。
voice: vo_adv_2012012_004
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
先延ばしにしてても仕方ない、いつかは終わりがくるのに。
ずるずる居座って、関係を長引かせても、
あとで地獄を見るだけなのに。
voice: vo_adv_2012012_005
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
あたしはいつか、あいつらを裏切るのに。
voice: vo_adv_2012012_006
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
やだなぁ……
何であたしばっかり、こんな酷い人生を歩まなきゃいけないのよ?
voice: vo_adv_2012012_007
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
お帰りなさい、キャル。
今日も遅かったのね。
voice: vo_adv_2012012_008
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
あっ……へ、『陛下』!
すみませんっ、
【美食殿】の連中の目を盗んで姿を消すのに手間取ってしまって!
voice: vo_adv_2012012_009
ユースティアナ:
【chara 106911 face 6 (surprised)】
……ふぅん?
【chara 106911 face 1 (normal)】
【美食殿】ねぇ、食べ歩きが目的のギルドだっけ?
voice: vo_adv_2012012_010
ユースティアナ:
【chara 106911 face 3 (anger)】
くっだらない、
他にいくらでも有意義な時間の使いかたがあるでしょうに。
【chara 106911 face 4 (sad)】
いつでも俗物どもは、暇そうで羨ましいわ。
voice: vo_adv_2012012_011
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
は、はぁ……
【chara 106012 face 1 (normal)】
あの、『陛下』が公務の時間でもないのに、
玉座の間にいるのは珍しいですね。
voice: vo_adv_2012012_012
キャル:
【chara 106012 face 1 (normal)】
何をしているのでしょう、
【chara 106012 face 2 (joy)】
あたしにお手伝いできることはありますか?
voice: vo_adv_2012012_013
ユースティアナ:
【chara 106911 face 6 (surprised)】
あなたに? 私が手伝えるかって?
【chara 106911 face 1 (normal)】
何様のつもりなの、キャル?
voice: vo_adv_2012012_014
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
あっ……【chara 106012 face 4 (sad)】
ご、ごめんなさい陛下!
出過ぎた申し出でした!
voice: vo_adv_2012012_015
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
いいけどね。【chara 106911 face 3 (anger)】
身の程は弁えなさい。
【chara 106911 face 1 (normal)】
私はこの世を統べる神で、あなたはそんな私が戯れに拾った野良猫。
目障りなようなら、【chara 106911 face 3 (anger)】
踏みつぶすわよ。
voice: vo_adv_2012012_016
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
は、はい……
もちろん弁えております、たいへん失礼いたしました。
voice: vo_adv_2012012_017
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
……あなた、食べ物のにおいがするわね。
voice: vo_adv_2012012_018
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
あっ、ごめんなさい!
【chara 106012 face 4 (sad)】
いつもどおり、【美食殿】の連中と食事をしてきたのですが!
食べきれない感じで、余りそうなぶんは持ち帰ってきたんです!
voice: vo_adv_2012012_019
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
お、おにぎりなんですけど……
『陛下』、食べます?
あんまり食事を摂っておられないようなので、心配です。
voice: vo_adv_2012012_020
ユースティアナ:
【chara 106911 face 4 (sad)】
だって、所詮は架空のデータよ?
満腹感も何もかも錯覚でしょ、食べる意義を感じないわ。
もともと、体内に異物を取りこむ食事という行為が嫌いだしね。
voice: vo_adv_2012012_021
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
は、はぁ……
すみません、あたしったらまた余計なことを。
voice: vo_adv_2012012_022
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
お米、美味しかったから『陛下』にも食べてもらいたくて……
おにぎり、余計にたくさん握ったんだけど。
無駄になっちゃったわね、あはは。
voice: vo_adv_2012012_023
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
こんな展開、予想できたじゃないの。
何やってるんだろ、あたし。
voice: vo_adv_2012012_024
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
でも、『陛下』……あたし、何もかもがつまらないみたいに、
いっつも不満そうなあなたを……
ほんのすこしでも、笑顔にしてあげたいの。
voice: vo_adv_2012012_025
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
むかぁし、何も楽しいことがなくって……
俯いて不満ばっかり吐き捨ててたあたしに、
希望を与えてくれたのは『陛下』だから。
voice: vo_adv_2012012_026
ユースティアナ:
【chara 106911 face 6 (surprised)】
キャル。【chara 106911 face 1 (normal)】
気が変わったわ。
おにぎり、ひとつだけ私にちょうだい。
voice: vo_adv_2012012_027
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
……へっ?
おにぎり食べるんですか、『陛下』?
voice: vo_adv_2012012_028
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
うん。
【chara 106911 face 2 (joy)】
あなたがいつも、あんまりにも幸せそうだからさ……
久しぶりに、私も食事というものをしてみたくなったわ。
voice: vo_adv_2012012_029
ユースティアナ:
【chara 106012 face 1 (normal)】
【chara 106911 face 1 (normal)】
興味本位の気まぐれよ、
【chara 106911 face 6 (surprised)】
べつに私におにぎりを献上したくないっていうなら構わないけど。
実際、そんなにお腹も空いてないしね。
voice: vo_adv_2012012_030
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
い、いえいえ! 【chara 106012 face 1 (normal)】
どうぞどうぞ!
美味しいですよ、【chara 106012 face 2 (joy)】
あたしたちが自分で刈り入れて精米したんです!
それを丁寧に炊いて、おっきな具を入れて程良い感じに握って……!
voice: vo_adv_2012012_031
ユースティアナ:
【chara 106911 face 6 (surprised)】
何を興奮してるのよ……変な子ね。
【chara 106911 face 3 (anger)】
いいから、さっさと寄越して。
voice: vo_adv_2012012_032
キャル:
【chara 106012 face 1 (normal)】
は、はい!
どうぞっ、召し上がれ~♪
voice: vo_adv_2012012_033
キャル:
【chara 106012 face 2 (joy)】
えへへ。
どうですか? 美味しいでしょう?
【chara 106012 face 1 (normal)】
炊きたてのお米を握ってすぐ帰ってきたから、まだ温かいんですよ!
voice: vo_adv_2012012_034
ユースティアナ:
【chara 106911 face 3 (anger)】
黙りなさい。
うるさいわよ、キャル。
voice: vo_adv_2012012_035
キャル:
【chara 106012 face 4 (sad)】
ひっ!
ごめんなさいっ、あたしったら調子に乗っちゃって……!
voice: vo_adv_2012012_036
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
いいわ。食事は静かに独りで手早く済ますもの、
って幼少期から叩きこまれてるから。
何か、食べてるときに近くで喋られると落ち着かないだけだしね。
voice: vo_adv_2012012_037
キャル:
【chara 106012 face 2 (joy)】
あはは。【chara 106012 face 1 (normal)】
あたしも同じです。
何か、ごはんはいつも独りで食べてたなぁ……
voice: vo_adv_2012012_038
キャル:
【chara 106012 face 1 (normal)】
親は仕事とかで、いつも不在だったし。
そのへんのお店で、【chara 106012 face 4 (sad)】
出来合いのものを買ってもそもそ食べてた。
voice: vo_adv_2012012_039
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
あっ……もちろん陛下とあたしはぜんぜん同じじゃなくて、
【chara 106012 face 4 (sad)】
『陛下』は単に高貴な身の上だからそういう礼儀作法?
【chara 106012 face 6 (surprised)】
みたいなのがあったんだと思いますけど!
voice: vo_adv_2012012_040
ユースティアナ:
【chara 106911 face 4 (sad)】
そうね。
堅苦しくてナンセンスな伝統と規則で、雁字搦めな家で育ったわ……
だからこそ、自由になりたかった。
voice: vo_adv_2012012_041
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
自分の欲しいもの、好きなもので埋め尽くされた理想郷で、
存分に人生を謳歌したかったのよ。
【chara 106911 face 4 (sad)】
そう……最初は、ただそれだけだったのにね。
voice: vo_adv_2012012_042
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
えっと、『陛下』……?
voice: vo_adv_2012012_043
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
ふふ。失言よ、忘れなさい。
【chara 106911 face 2 (joy)】
おにぎり、いただくわね。
voice: vo_adv_2012012_044
ユースティアナ:
【chara 106911 face 6 (surprised)】
はむっ、あら、これって中身は梅干し?
【chara 106911 face 3 (anger)】
酸っぱいのは好きじゃないわ。
voice: vo_adv_2012012_045
キャル:
【chara 106012 face 1 (normal)】
あっ、それなら……【chara 106012 face 2 (joy)】
こっちは鰹節ですよ! お好きですか?
【chara 106012 face 1 (normal)】
梅干しのやつはあたしにください、『陛下』はこっちをどうぞ!
voice: vo_adv_2012012_046
キャル:
【chara 106012 face 2 (joy)】
梅干しのやつは、あたしが食べる……もぐもぐ♪
voice: vo_adv_2012012_047
ユースティアナ:
【chara 106911 face 6 (surprised)】
お行儀が悪いわね。
私が口をつけた食べかけよ、捨てなさいよ。
voice: vo_adv_2012012_048
キャル:
【chara 106012 face 6 (surprised)】
え~? でも、もったいないですもん。
【chara 106012 face 1 (normal)】
お米をつくる苦労をちょっとでも知っちゃったから、
一粒も無駄にできないというか。
voice: vo_adv_2012012_049
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
何よそれ。
……【chara 106911 face 6 (surprised)】
あら、本当に美味しいわね。
voice: vo_adv_2012012_050
キャル:
【chara 106012 face 2 (joy)】
そうでしょう? えっへっへ♪
いやぁ、苦労してお米を収穫した甲斐があったかも!
voice: vo_adv_2012012_051
ユースティアナ:
【chara 106911 face 1 (normal)】
何よ、ばかに上機嫌じゃないの。
【chara 106911 face 2 (joy)】
……ほんと、あなたって変な子ね。