幕間・ⅩⅥ
現実での対応について話し合うラビリスタと覇瞳皇帝。ラビリスタは今回の事態の後悔と共に自身の目標を語る。覇瞳皇帝は彼女の意志を受け、自らの願いを話す。二人は次に進むため己を鼓舞するのだった。
-------------- situation:
幕間・ⅩⅥ
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ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
世界の終わりは、多くの者にとって唐突で。
何が起きたか、事態を理解することも不可能だった。
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
──ただ数名。
類稀な力を持つ、創造者達を除いては──
voice: vo_adv_2116098_000
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
…………
voice: vo_adv_2116098_001
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
所詮は、うたかたの夢──
弾けて消える様は泡のようにあっけなくて……儚いものね。
voice: vo_adv_2116098_002
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
あれれ?
珍しいねー
真那がそんなふうに感傷的になるなんて。
voice: vo_adv_2116098_003
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
挑発しないで頂戴、晶。
【chara 106914 face 4 (sad)】
目論見が失敗して気分が悪いのは、お互い様なのだから。
voice: vo_adv_2116098_004
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
それに、私はね。
手間暇かけてあれこれ整備した街が、
あっさり消えてしまったことに文句を言いたいだけよ。
voice: vo_adv_2116098_005
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
……あはは。
このデフラグとリビルド──『再々構築』が終わったら。
もーっと便利な世界になってるかもしれないよ?
voice: vo_adv_2116098_006
ラビリスタ:
【chara 106815 face 1 (normal)】
真那が丹誠込めたデータは、
ちゃんとサーバーのログに蓄積されてるはずだからね。
voice: vo_adv_2116098_007
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
……フン。
そんなもの、不確定要素が強すぎるわ。
あなたと違って、私は楽観視はしないタチなの。
voice: vo_adv_2116098_008
ラビリスタ:
【chara 106815 face 1 (normal)】
……まぁね。
【chara 106815 face 4 (sad)】
そもそも、『向こう』でサーバーがどうなってるかわからないし……
voice: vo_adv_2116098_009
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
利権まみれの国連だって、愚か者ばかりな訳じゃない。
この事態を認識したら、すぐに動くでしょう。
voice: vo_adv_2116098_010
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
何より、大人しくしていた『幻境竜后』も
動き出したみたいだし……
……ああもう。頭が痛いわ。
voice: vo_adv_2116098_011
ラビリスタ:
【chara 106815 face 6 (surprised)】
そうだねぇ。
オクトーくんが頑張ってくれなきゃ、詰んじゃってたところだよ。
【chara 106815 face 4 (sad)】
……この世界に来てないからって、警戒の優先度を下げすぎだったね……
voice: vo_adv_2116098_012
ラビリスタ:
【chara 106815 face 7 (special_a)】
……それに。
アタシにも、ミネルヴァにも悟られずに
安全装置のプログラムを書き換えてただなんてさ。
voice: vo_adv_2116098_013
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
つまり幻境竜后は前の『再構築』の、
もっと前から仕込みをしていた……ということになるわね。
【chara 106914 face 4 (sad)】
やはり、ミネルヴァを手に入れるためかしら……?
voice: vo_adv_2116098_014
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
どうかなー
『彼女』は価値観とか倫理観とかいろいろ、独特だからね。
【chara 106815 face 2 (joy)】
七冠らしいっていえばそうなんだけど。
voice: vo_adv_2116098_015
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
なんにせよ、ミネルヴァは行方知れずで……
このまま『現実』に戻ったら、
街のインフラを整備したとき以上に面倒なことになるわね。
voice: vo_adv_2116098_016
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
ああ、まったく──この私が、ミネルヴァを使いこなしたら。
一日目に主要国家のサイバーセキュリティを陥落して。
二日目に全世界の通信網を、【chara 106914 face 1 (normal)】
三日目には仮想通貨を支配できたのに。
voice: vo_adv_2116098_017
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
それで、新しい世界を創ったら。
神は七日目にお休みになられるのかな?
voice: vo_adv_2116098_018
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
私なら、五日もあれば十分よ。
【chara 106914 face 2 (joy)】
神も時代に合わせなくちゃだし?
創世も、週休二日でこなさなくちゃね。
voice: vo_adv_2116098_019
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
あはは。
そんな軽口を叩く余裕があるなら。
手ぶらで『現実』に還っても、問題無さそうだね。
voice: vo_adv_2116098_020
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
あちらに残した私の信奉者たちが、
私の身体をきちんと守っていればね。
【chara 106914 face 4 (sad)】
国際警察の手にでも落ちていたら、最悪だわ。
voice: vo_adv_2116098_021
ラビリスタ:
【chara 106815 face 1 (normal)】
確かにねえ。
やっとこっちで脱獄したのに、
【chara 106815 face 2 (joy)】
あっちでも牢獄生活になっちゃうもんねぇ。
voice: vo_adv_2116098_022
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 6 (surprised)】
あちらでの牢獄暮らしを
心配しなくてはならないのは、あなたも同じではないの?
【chara 106914 face 1 (normal)】
一度現実に戻った後、何か手を打ってはいるでしょうけど──
voice: vo_adv_2116098_023
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
やー、あのときは時間が無さすぎだったし。
こっちだって、とても万全とはいえないよ。
アタシの身体が無事かどうかは……『長老』次第、かなぁ。
voice: vo_adv_2116098_024
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
『嚮導老君』、ねぇ。
【chara 106914 face 1 (normal)】
疑いなく有能ではあるけれど……堅物すぎるし、厭世的すぎるわ。
【chara 106914 face 6 (surprised)】
当てにしていいものかしら。
voice: vo_adv_2116098_025
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
相変わらず長老が苦手だねー
確かにちょっと、子煩悩かもしれないけどさ。
voice: vo_adv_2116098_026
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
ああでも。
真那も結構、親戚の子には甘いよねー
voice: vo_adv_2116098_027
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
…………
voice: vo_adv_2116098_028
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
苦手なのは、長老だけじゃなくて……その弟子もよ。
この私を仰ぎ見ることもせず、馴れ馴れしくして。
【chara 106914 face 1 (normal)】
あなたでなければ、とっくに首と胴を泣き別れさせてあげているわ。
voice: vo_adv_2116098_029
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 2 (joy)】
──ああ、別に。
今からでも、遅くないかしら……?
voice: vo_adv_2116098_030
ラビリスタ:
【chara 106815 face 6 (surprised)】
もー
こんな不安定な空間で喧嘩したって
共倒れになるだけでしょー
voice: vo_adv_2116098_031
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
それなら安い挑発をやめなさい。
まったく……
voice: vo_adv_2116098_032
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
……世界が『再々構築』されてしまう前に。
楔のひとつでも入れられないかと足掻いてみて──得られたものが
あなたとのこんな、つまらないおしゃべりの時間だけなんてね。
voice: vo_adv_2116098_033
ラビリスタ:
【chara 106815 face 1 (normal)】
開発者同士の座談会とか、よくあるやつだし?
前はたまにインタビューとか受けたこともあるけれど……
【chara 106815 face 4 (sad)】
今じゃそんなの、喜んで読んでくれるプレイヤーも少なそうだなぁ。
voice: vo_adv_2116098_034
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
そうね。
向こうでは、私たちは大犯罪者扱いでしょうし。
【chara 106914 face 2 (joy)】
ま……そんな低俗な連中の反応、私にとってはどうでもいいけれど。
voice: vo_adv_2116098_035
ラビリスタ:
【chara 106815 face 1 (normal)】
誰かが喜んでくれるかどうかは、
アタシにとっては大事なことのひとつだよ。
【chara 106815 face 4 (sad)】
……ほんとうにもうずっと、悔いることばっかりだ。
voice: vo_adv_2116098_036
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 6 (surprised)】
さっきの言葉をそのまま返すみたいだけど──
珍しいわね、晶。
【chara 106914 face 1 (normal)】
あなたがそんなに、感傷的になるなんて。
voice: vo_adv_2116098_037
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
そう?
アタシはだいたいこんな感じだよ。
キミに見せてなかっただけでね。
voice: vo_adv_2116098_038
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
……キミに一杯食わされて、『再構築』なんて事態になって。
少年たちをひどい目に遭わせてしまって。
【chara 106815 face 7 (special_a)】
それに、今のこの状況だって──……
voice: vo_adv_2116098_039
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
クレープを配り歩きながら、アバターに追加パッチを配布しても。
あなたと数人の仲間たちだけじゃ、手が足りなかったみたいね。
voice: vo_adv_2116098_040
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 6 (surprised)】
たとえば、【chara 106914 face 1 (normal)】
食料の流通を支配するとか。
配った追加パッチを、強制的に使わせる軍隊を組織するとか。
【chara 106914 face 4 (sad)】
あなたが本気を出せば、他にやりようはあったでしょうに……
voice: vo_adv_2116098_041
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
手段に囚われて、結局は後悔するだけなんて。
【chara 106914 face 1 (normal)】
衆愚に寄り添いすぎていれば、あなたまで愚物に堕ちてしまうわよ?
voice: vo_adv_2116098_042
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
買いかぶられても困るな。
【chara 106815 face 1 (normal)】
真那みたいな君主制は、とてもじゃないけどアタシには無理だよ。
【chara 106815 face 2 (joy)】
それにそのやり方じゃ、救えないモノもあるし……医者としてはね。
voice: vo_adv_2116098_043
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 6 (surprised)】
……?
voice: vo_adv_2116098_044
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
あーあ。
戦いが終わって、もう少しだけでいいから時間があったら……
リノちゃんたちと一緒に、クレープを配り終わって。
voice: vo_adv_2116098_045
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
それからペコリーヌちゃんやコッコロちゃん、レイちゃんやマホちゃん、
他のみんなにも頼んで……認識の修正で歪められてしまった真実を、
世界のみんなに知らせることができたのに。
voice: vo_adv_2116098_046
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
……理解に苦しむわね。
布令を万民に知らしめたいなら、
【chara 106914 face 1 (normal)】
それこそ、王の如き強権が必要なのではなくて?
voice: vo_adv_2116098_047
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
それじゃあ感情的に納得してもらえないんだよ~
【chara 106815 face 1 (normal)】
頭ごなしってのは、どうしても反発を招いちゃうから。
真那もイヤでしょそういうの。
voice: vo_adv_2116098_048
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
それについては同意するけれど。
その前の、感情的な納得って……
voice: vo_adv_2116098_049
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 2 (joy)】
……ああ、なるほど。
確かにこれは、あなたにとって今後の火種になるわね。
voice: vo_adv_2116098_050
ラビリスタ:
【chara 106815 face 6 (surprised)】
いやいや。
知らんカオしないでよ~、共同開発者なんだから。
voice: vo_adv_2116098_051
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 2 (joy)】
仮にもし、あなたに時間があったとしても──
人々の認識の修正をどうにかするには、一苦労だったでしょうね。
私たちが組んだだけあって、それなりによくできた世界だったもの。
voice: vo_adv_2116098_052
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
……そうだね。
アタシたち七冠はもちろん、
【chara 106815 face 1 (normal)】
国連、ウィズダム、スポンサー、外部の協力者……
voice: vo_adv_2116098_053
ラビリスタ:
【chara 106815 face 7 (special_a)】
レジェンドオブアストルムの開発には、
いろんなひとのいろんな思惑が絡み合っていて。
【chara 106815 face 4 (sad)】
中には、良くないものがあったのは否定しない。【chara 106815 face 1 (normal)】
けど……
voice: vo_adv_2116098_054
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
それでもアタシ個人は、
プレイヤーみんなに楽しんでもらいたかった。
仮初の世界を、好きになってもらいたかった。
voice: vo_adv_2116098_055
ラビリスタ:
【chara 106815 face 4 (sad)】
『懲役』なんてものが起きて。
思ったような遊びの舞台を提供できたとは言えないけれど。
【chara 106815 face 2 (joy)】
でも……住めば都、ってやつなのかな。
voice: vo_adv_2116098_056
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
みんな、この世界に愛着を持ってくれて。
最後には、「帰りたくない」なんてことまで言ってくれて。
開発者冥利に尽きるよ、本当に。
voice: vo_adv_2116098_057
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
──ゲームは心を救うものであってほしいと、アタシは願ってる。
【chara 106815 face 7 (special_a)】
医療の発展で、大抵のケガや病気は治せるようになったけど、
傷ついた心を救うのは、どんなケガを治すより難しい。
voice: vo_adv_2116098_058
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
だから……アタシたちの作るゲームが、その助けになればって。
voice: vo_adv_2116098_059
ラビリスタ:
【chara 106815 face 7 (special_a)】
そんなゲームを作るためなら。
そのためなら……
【chara 106815 face 3 (anger)】
どれほどに難しい路でも模索し、解をあきらかにしてみせる。
voice: vo_adv_2116098_060
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 6 (surprised)】
……あなた、そんな目的を隠していたの?
【chara 106914 face 4 (sad)】
なら、もっと早く言いなさいな。
voice: vo_adv_2116098_061
ラビリスタ:
【chara 106815 face 2 (joy)】
あはは。
やーだって、言ったら笑われちゃいそうだし?
こんな青くさい、願いごとの話。
voice: vo_adv_2116098_062
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
本気なら、笑ったりはしないわよ。
その程度には、あなたのことを評価しているわ。
voice: vo_adv_2116098_063
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
──私は。
【chara 106914 face 4 (sad)】
私の願いは……
voice: vo_adv_2116098_064
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
世界を、この瞳に映したい。
【chara 106914 face 1 (normal)】
遥かな高みから有象無象の営みを眺めたい。
voice: vo_adv_2116098_065
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 2 (joy)】
森羅万象。一切合切。
遍く全てを識り、私自身が理と成りたい。
そう──
voice: vo_adv_2116098_066
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 2 (joy)】
永遠に。
神のように。
母なる星のように。
voice: vo_adv_2116098_067
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
レジェンドオブアストルムは、そのための第一歩。
【chara 106914 face 4 (sad)】
こんなところで、躓くわけにはいかない──
voice: vo_adv_2116098_068
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 4 (sad)】
たとえこの先、どのような障害が待ち受けていても。
【chara 106914 face 5 (shy)】
蹂躙し、粉砕し、覇を唱え──
苦難に満ちた千里の道すら、越えてみせるわ。
voice: vo_adv_2116098_069
ラビリスタ:
【chara 106815 face 7 (special_a)】
アタシたちの作ったレジェンドオブアストルムは、
まだゲームオーバーになったわけじゃない。
【chara 106815 face 3 (anger)】
まだ、やらなくちゃいけないことがある。
voice: vo_adv_2116098_070
覇瞳皇帝:
【chara 106914 face 1 (normal)】
……ええ、そうね。
そのためにも……
まずは、あちらで生き延びることを考えなくてはね──