voice: 10101090010 ここな あ、ねえねえ、カトリナちゃん。 ドイツではキャベツの酢漬けを食べるんでしょ?

voice: 10101090020 voice: 10101090021 カトリナ ああ、ザワークラウトね。 アタシはあんまり、だけど……。

voice: 10101090030 ここな そっかあ……キャベツ一玉買おうかなって思ったんだけど。

voice: 10101090040 カトリナ アタシはいらないわ。どうせ食べないし。

voice: 10101090050 ここな ……そういえばカトリナちゃんって、 お弁当も揚げ物ばっかりで、お野菜食べてないよね。

voice: 10101090060 voice: 10101090061 カトリナ 食べてるわよ? 日本の野菜ジュースは優秀で助かっているわ。

voice: 10101090070 ここな ……えぇ。

voice: 10101090080 ここな お野菜食べてないのに、そのツルピカお肌……。 いったい、どうなってるの……。

voice: 10101090090 カトリナ だから、食べてるってば。

voice: 10101090100 カトリナ (はあ……なんか調子狂うわね)

voice: 10101090110 カトリナ (……それにしても、  この子がさっき言ってた話、本当なのかしら……)

voice: 10101090120 カトリナ (センスが、突然目の前に現れるなんて……)

voice: 10101090130 ここな 静香ちゃんはね……、 私が何度もオーディションに落ちてた頃に出会ったの。

voice: 10101090140 カトリナ え……?

voice: 10101090150 ここな 何度も、オーディションで言われたんだ。 センスがない、センスがない、って……。

voice: 10101090160 審査員 悪くはないんだけど、センスがね……。

voice: 10101090170 審査員 センスがない。

voice: 10101090180 審査員 大事なのは客を沸かせるセンス!

voice: 10101090190 ここな そんな時……静香ちゃんが私の前に現れたの……。

voice: 10101090200 ここな センスがないって、また言われちゃった……。

voice: 10101090210 ここな 私じゃ、ダイスターになれないのかな……。

voice: 10101090220 ここな 友達にもお母さんたちにも絶対になれるって言っちゃったのに……。

voice: 10101090230 ここな 私じゃ……無理、なのかな……。

voice: 10101090240 ここな だめだ……! 私はダイスターになれる。 なれる……なれる……。

voice: 10101090250 ここな ……でも、本当に――

voice: 10101090260 静香 なれるよ。

voice: 10101090270 ここな え……?

voice: 10101090280 静香 見てたよ。あなたの演技。 私は結構いい線いってたと思う。

voice: 10101090290 ここな ……本当?

voice: 10101090300 voice: 10101090301 静香 でも、自信なさげにやるのはあり得ない。 もっと胸張ってさ、私はここだ! ってくらい強い気持ちでやらなきゃ。

voice: 10101090310 ここな 『ここだ』って……?

voice: 10101090320 静香 見てて!

voice: 10101090330 ここな え!?

voice: 10101090340 静香 『このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ』

voice: 10101090350 ここな あ、ハムレット……。

voice: 10101090360 ここな って、ちょ! こんなところでだめだよ! ……って、あれ?

voice: 10101090370 ここな (誰も……気づいていない?  この子……私以外の人には見えていないの?)

voice: 10101090380 ここな (でも、この子の演技は――)

voice: 10101090390 静香 『真に偉大なのは名誉のためにワラ一本にも命を懸けることだ』

voice: 10101090400 静香 『俺はどうだ!? 父を殺され母を汚され沸き立つはずの理性と血を――』

voice: 10101090410 ここな 素敵……。

voice: 10101090420 静香 どう?

voice: 10101090430 voice: 10101090431 ここな すごい……すごい!! そっか……そうやって演じればよかったんだ。

voice: 10101090440 静香 ここなもできるよ。

voice: 10101090450 ここな え……?

voice: 10101090460 静香 私は静香。あなたを誰よりも輝く、最高の役者に……、 ワールドダイスターにしてあげる。

voice: 10101090470 ここな ワールドダイスターに……。

voice: 10101090480 ここな 静香ちゃんはね……多分私が欲しかったものを、 全部持っている、私なんだ。

voice: 10101090490 voice: 10101090491 ここな 演技が上手で、堂々としていて格好いい私。 えへへ。静香ちゃんには恥ずかしくて言えないけど。

voice: 10101090500 カトリナ 理想の自分を作ってお手本にするセンス……ってこと?

voice: 10101090510 カトリナ (……それなら舞台に出てくる必要なんて、ないはずだけど)

voice: 10101090520 静香 ……私は、ここなのワールドダイスターに、 なりたいって気持ちに応えて……出てきたんだと思う。

voice: 10101090530 静香 自分が何者かなんてわからないけど……、 ここなの夢を応援したい、それだけなの。

voice: 10101090540 ぱんだ ……今回舞台に上がったのは?

voice: 10101090550 静香 ここなが芝居を成功させたがってたから。 でも……本当は出るべきじゃなかった。

voice: 10101090560 静香 私はあくまで、あの子が役者として、 舞台に立つために必要な存在だから。

voice: 10101090570 静香 だから……きっとこの先は、二度と出ないわ。

voice: 10101090580 知冴 ……もったいないね。

voice: 10101090590 ぱんだ でも、ひとつ納得がいきました。

voice: 10101090600 ぱんだ 人魚姫の王子を演じていた時も、 きっとここちゃんは、おシズちゃんを通して演じていたんですね。

voice: 10101090610 ぱんだ だから、オーディションの時と普段の演技に差が――

voice: 10101090620 静香 ……で、これは何?

voice: 10101090630 知冴 これって?

voice: 10101090640 静香 なんで私がわざわざ着替えてみせないといけないのよ。

voice: 10101090660 ぱんだ うんうん! 着せ替え自由。しかもかわいい。これはいいセンスっ!

voice: 10101090670 静香 はあ?

voice: 10101090680 ぱんだ 次いってみましょー!

voice: 10101090690 静香 なんでよ!!

voice: 10101090700 ここな たっだいま~。

voice: 10101090710 カトリナ はあ、重かった……。

voice: 10101090720 静香 ……! ここなが帰ってきたわ! 私、もう行くから――

voice: 10101090730 ぱんだ おっと! まだまだです!

voice: 10101090740 ぱんだ お楽しみはこれからなんですから!

voice: 10101090750 voice: 10101090751 知冴 もう少し遊んで行ってよ。 興味があるんだ、キミに。

voice: 10101090760 静香 ……っ! ぱんだが、でしょ!