voice: 10102080010 望有 はい、そこまで。 10分休憩よ。そのあと、シーン12から通しでやるから。

voice: 10102080020 一同 はい!

voice: 10102080030 カトリナ はぁ……はぁ……。

voice: 10102080040 ここな カトリナちゃん、大丈夫? お水持ってこようか?

voice: 10102080050 カトリナ 大丈夫……ここなは先に休憩してて。 ちょっと息整えたら、すぐ行くから……。

voice: 10102080060 ここな うん、何かあったら言ってね!

voice: 10102080070 カトリナ、すごい気迫だね。 ちゃんと私は主役だって顔、できてるじゃない。

voice: 10102080080 望有 ええ、そうね……。

voice: 10102080090 ……気になることがあるって感じだね?

voice: 10102080100 望有 ……私の心配しすぎかもしれません。

voice: 10102080110 カトリナ ……今の、どういう意味?

voice: 10102080120 カトリナ……。

voice: 10102080130 カトリナ はっきり言って。 アタシの演技に気になるところがあるなら――

voice: 10102080140 望有 何も問題ないわ。 舞台の演出について考えてただけ。

voice: 10102080150 カトリナ 本当に……?

voice: 10102080160 望有 ええ。あなたの演技に合わせたプランを いろいろ考えているところよ。

voice: 10102080170 カトリナ そう……それならよかったわ。 どんな演出プランでも、最高の演技をしてみせるから。

voice: 10102080180 望有 ……。

voice: 10102080190 稽古場の片付け、これで完了っと。 みんなも寮に戻ってったし、私たちも帰ろっか。

voice: 10102080200 望有 はい……。

voice: 10102080210 ……カトリナのこと、やっぱり気になってるんでしょ。 心配事なら、私にもちゃんと伝えてよ。

voice: 10102080220 望有 ……主役に抜擢されてから、あの子の熱意は凄まじいです。 誰にも負けない気迫が漲ってるし、パフォーマンスも上がってる。

voice: 10102080230 望有 できれば、それに水を差したくない。 だけど……今のカトリナは、役にのめり込みすぎてる気がする。

voice: 10102080240 それが不安の原因ね……。 でも、まだそうだって決まったわけじゃないでしょ?

voice: 10102080250 望有 ……このまま何事もないなら、それでいいんです。 舞台のためにも、カトリナのためにも……。