voice: 10102100010 望有 『人魚姫』の公演も近づいてきたわ。 いよいよ、今日からゲネプロもスタートするわよ。

voice: 10102100020 望有 ゲネプロでは稽古とは思わず、 すべて本番と思って挑むように。わかったわね。

voice: 10102100030 一同 はい!

voice: 10102100040 望有 カトリナ、少しいい?

voice: 10102100050 カトリナ 今じゃなきゃダメ? 稽古に集中したいから、あとにしてほしいんだけど。

voice: 10102100060 望有 なら、ひとつだけ。 自分自身を信じなさい。

voice: 10102100070 カトリナ え……?

voice: 10102100080 望有 それだけよ。じゃあ、始めましょう。

voice: 10102100090 望有 では、続いて王子と隣国の姫が出会うシーン。 人魚姫の嫉妬心を煽る大事な場面よ、そこを意識して。

voice: 10102100100 ここな・八恵 よろしくお願いします!

voice: 10102100110 ぱんだ やっぱあのふたり、いい演技するなー。

voice: 10102100120 知冴 ステージの使い方も上手い。 ボスの演出も上手く自分のものにしてるね。

voice: 10102100130 カトリナ 演出も、自分のものに……。

voice: 10102100140 voice: 10102100141 カトリナ (アタシの演技は、自分のものになってる……?  大丈夫、そうなってるはずだわ。選ばれたのはアタシなのよ)

voice: 10102100150 カトリナ (台本を読み込んで、アタシなりに構築した人魚姫。  それを柊さんは認めて、舞台の中に盛り込んでくれた)

voice: 10102100160 カトリナ (だったら、あとは求められた演技をアップデートしていくだけ。  それはちゃんとできてる。これ以上ないくらい完璧に)

voice: 10102100170 カトリナ (でも、それってアタシの演技なの?  なぜ、柊さんはあんなこと言ったの?)

voice: 10102100180 カトリナ (アタシが演じたかった人魚姫って……)

voice: 10102100190 カトリナ アタシって、どんな人魚姫になりたかったのかしら。

voice: 10102100200 ぱんだ ……カトりん、なんか言いました?

voice: 10102100210 カトリナ なんでもないわ……。 次、アタシの出番よね。行ってくる。

voice: 10102100220 カトリナ (あれ、ここってどこだっけ。  アタシ、どこにいるんだっけ)

voice: 10102100230 カトリナ (……ダメ! 今は舞台の上なのよ!  もっと集中を……センスを磨いて……!)

voice: 10102100240 カトリナ (そうよ、アタシは人魚姫!  この舞台の……主役……)

voice: 10102100250 カトリナ (どうして……?  センスが……上手く使えない……)