voice: 10201070010 仁花子 テトラさん、お水持ってきました! ゆっくり飲んでください!
voice: 10201070020 テトラ ありがと……。 様子を尋ねたこっちが、逆に心配かけちまったね……。
voice: 10201070030 仁花子 気にしないでください……。 もう、咳は止まりましたか?
voice: 10201070040 テトラ ああ、大丈夫。 ときどき出る発作みたいなもんでね。少し休めば治まるんだ。
voice: 10201070050 仁花子 あの……もしかして…… さっき言ってた病気って、まだ……。
voice: 10201070060 テトラ ああ、治ってない。 今は小康状態ってやつさ。
voice: 10201070070 仁花子 だ、だったら無理しちゃダメですよ! もし、テトラさんに何かあったら……。
voice: 10201070080 テトラ そうも言ってられない。 連尺野初魅って役者と出会っちまったからね。
voice: 10201070090 テトラ あたしの、役者としての技術全てを初魅に伝えたいんだ。 きっとそれが、あたしにとって最後の仕事なんだよ。
voice: 10201070100 仁花子 レンさんが、自分と同じものを目指しているからですか……?
voice: 10201070110 テトラ ……一番の理由は、あの子を放っておけないからかもね。
voice: 10201070120 テトラ 初魅が暴れたせいで、Edenに内輪揉めが起きたって言ったろ? そのせいで、劇団のファンが激減しちまったんだよ。
voice: 10201070130 仁花子 でも、私がEdenに入ってから観た舞台は、 けっこうお客さんが入ってましたよ……?
voice: 10201070140 テトラ 初魅が脚本を書いた舞台がウケたのさ。 青ヶ島を舞台にした『孤島』って演目が、それなりに評価されてね。
voice: 10201070150 テトラ けど、連日満員とは言えない客入りだろ? 経営状態も、まだまだ油断できない有様さ。
voice: 10201070160 仁花子 そ、そんな状態で、新人の私が入ってよかったのかな……。
voice: 10201070170 テトラ ひとりくらい養う余力はあるって言ったはずだよ。 新人役者は、んなこと気にする必要ない。
voice: 10201070180 仁花子 はい……。
voice: 10201070190 テトラ そんなわけで、今はとても大事な時期なんだ。 あたしも寝込んでる訳にはいかないってことさ。
voice: 10201070200 テトラ ……余計なこと聞かせちまったね。 こんなこと話すつもりなかったんだが……。
voice: 10201070210 仁花子 今の話、私は聞けて良かったです。 劇団に対する想いが、強くなった気がするので!
voice: 10201070220 テトラ ふふっ、あんたは本当に素直だね。 そう言ってくれると、多少は救われるよ。
voice: 10201070230 テトラ さて、あたしはそろそろ引き上げるとするか。 仁花子も、遅くならないうちに帰るようにね。
voice: 10201070240 仁花子 はい。お疲れ様です!
voice: 10201070250 仁花子 ……私、がんばらなきゃ。 レンさんのためにも、テトラさんのためにも……!