voice: 10201150010 テトラ 違う違う! ラウルの情念がまだ見えないよ! もう一度最初から!

voice: 10201150020 仁花子 は、はい……!

voice: 10201150030 テトラ 仁花子のラウルは、まだ迫力が全然足りてないんだ。 もっと怒りと嫉妬を燃やしな!

voice: 10201150040 仁花子 でも……怒りと嫉妬を燃やすって、 どうしたらいいかわからなくて……。

voice: 10201150050 voice: 10201150051 テトラ それを考えるのも、役者の仕事だよ。 はぁ……仕方ない。少し休憩して頭冷やしな。

voice: 10201150060 テトラさん、体調は大丈夫? キツくなったらすぐに言ってよ?

voice: 10201150070 テトラ 大丈夫。あたしも張り切ってるからね。 言ったろ? 伝えられることは、全部伝えるって。

voice: 10201150080 そっか……。 でも、仁花子の稽古はちょっと苦戦気味だね。

voice: 10201150090 テトラ ……仁花子は、役者に対する理屈はわかってるし、演技力もある。 だけど、自分の知らないものを演じられないんだね。

voice: 10201150100 嫉妬とか憎悪とか、あの子には一番遠い感情だろうしねぇ。

voice: 10201150110 大黒 ぐぎぎぎ……!

voice: 10201150120 仁花子 だーちゃん、壁に耳くっつけて、何してるの?

voice: 10201150130 大黒 なにって、隣の稽古場の様子を伺ってるのよ……!

voice: 10201150140 仁花子 隣って……レンさんとしぐれちゃんの稽古場か。

voice: 10201150150 大黒 我が主とふたりっきりとか、あのガキ許すまじ……!

voice: 10201150160 仁花子 ファントム役とクリスティーヌ役で 演技プランを練ってるんだから、しょうがないよ。

voice: 10201150170 大黒 そんな簡単な言葉じゃ片付けられないのよ……!

voice: 10201150180 voice: 10201150181 大黒 だって……この配役を決めたのは我が主……! どうして……どうして私をクリスティーヌにしなかったの……!?

voice: 10201150190 大黒 ああ……許せない……! このどす黒い想い、全力で演技にぶつけてやる……!

voice: 10201150200 仁花子 すごい……。 だーちゃんなら、きっと上手くラウルを演じられるんだろうな。

voice: 10201150210 大黒 自分の役……まだ自信が持てないの……?

voice: 10201150220 仁花子 あはは……こんなんじゃダメだよね。 テトラさんも、あんなに稽古つけてくれてるのに……。

voice: 10201150230 大黒 ……我が主が、あなたをラウルに選んだってことはね…… あなたが、その役を演じられると見抜いてるからよ……。

voice: 10201150240 仁花子 本当にそうなのかな……?

voice: 10201150250 大黒 我が主は、舞台の上で無駄なことはしない。

voice: 10201150260 仁花子 ……!

voice: 10201150270 大黒 Edenの役者なら、我が主を信じなさい。 ……あなたならできるわ。

voice: 10201150280 仁花子 うん……ありがとう、だーちゃん。

voice: 10201150290 仁花子 (レンさんがそう見定めてくれてるなら……  私も、それに全力で応えなきゃ……!)

voice: 10201150300 テトラ はい、そこまで! 驚いたよ……仁花子のラウル、格段に良くなってる。

voice: 10201150310 仁花子 ありがとうございます! きっと、だーちゃんのおかげです!

voice: 10201150320 だってさ。いいアドバイスしたみたいじゃない。

voice: 10201150330 大黒 舞台で、我が主の足を引っ張ることは許さない…… そう思っただけよ。