voice: 10202060010 大黒 我が主……今日はありがとうございました。
voice: 10202060020 初魅 なんだ、突然?
voice: 10202060030 大黒 こんな素晴らしい風景を見せてくださったことに、お礼が言いたくて……。
voice: 10202060040 大黒 スマホばかり見ていたら、きっとこの美しさに気づけませんでした。 主が没収してくれたおかげです……!
voice: 10202060050 初魅 買いかぶり過ぎだ。
voice: 10202060060 初魅 妬いていただけさ。こう見えて、私は嫉妬深いんだ。 デート相手が、他の誰かに夢中だなんて許せないからな。
voice: 10202060070 大黒 ふふっ……我が主は、やはりお優しいです……。
voice: 10202060080 初魅 ちなみに……私は、デートにサプライズを盛り込みたい主義だ。
voice: 10202060090 大黒 ということは……今日も何か用意されてるんですか?
voice: 10202060100 初魅 もちろんだ。 ちょうどいい、今ここで発表しよう。
voice: 10202060110 大黒 発表……?
voice: 10202060120 初魅 執筆中の新作舞台だが……。 大黒、お前に主役を任せようと考えている。
voice: 10202060130 大黒 私が……主役……!?
voice: 10202060140 初魅 ふふっ……ちゃんと、サプライズとして機能したようだな。
voice: 10202060150 大黒 で、ですが……本当に私なんですか……?
voice: 10202060160 初魅 なんだその狼狽えかたは。 主役を演じるのは、初めてというわけではないだろう?
voice: 10202060170 大黒 で、ですが……我が主の書き下ろしたオリジナルなのに……、 主を差し置いて、私が主役だなんて……!
voice: 10202060180 初魅 確かに私は、舞台の全権を握りたいと考えている。 だが、それは主役を張ることばかりではない。
voice: 10202060190 初魅 演出家として役者を統率し、極上の舞台を作り上げる……。 それもまた、私の理想のひとつだからな。
voice: 10202060200 大黒 でも私はまだ、役者として未熟です……。 以前テトラさんに指摘されたことも、掴めていませんし……。
voice: 10202060210 初魅 ああ……『オペラ座の怪人』の稽古でのことか? 『周りの演技を気にしすぎだ、自分の表現に集中しろ』だったな。
voice: 10202060220 大黒 ……主が魂を込めて書き上げた脚本。その主役……。 未熟な私に、その資格があるのでしょうか……。
voice: 10202060230 初魅 作者である私が、お前を主役にすると言っている。
voice: 10202060240 初魅 書き上げる過程で、それしかイメージできなくなった。 この物語の主役は、私でも他の誰でもない。大黒、お前だ。
voice: 10202060250 初魅 お前が演じてこそ、次の舞台は完成する。
voice: 10202060260 大黒 私が……演じてこそ……。
voice: 10202060270 初魅 大任だ。受けるプレッシャーも大きい。 他の者より、稽古内容もハードになるだろう。
voice: 10202060280 大黒 …………。
voice: 10202060290 初魅 だが、お前ならやれるな?
voice: 10202060300 大黒 ……はい。それが、我が主の命ならば……!
voice: 10202060310 大黒 私は、どんなことでも致します。 主の命ずるままに……!
voice: 10202060320 初魅 ……今はそれでいい。 お前の演技、楽しみにしているぞ。
voice: 10202060330 大黒 もったいなきお言葉です……。 ありがとうございます……!
voice: 10202060340 初魅 おっと、これも言っておかねばな。
voice: 10202060350 大黒 はい……? まだ何か……?
voice: 10202060360 初魅 主役の相方……もうひとりのメインキャストだが、 しぐれにするつもりだ。無駄な諍いは起こすなよ。
voice: 10202060370 大黒 げっ……。
voice: 10202060380 初魅 何か異論でも?
voice: 10202060390 大黒 あ、いえ! なんでもありません! 今のはつい漏れ出たというか……!
voice: 10202060400 初魅 はははっ! 本音を出したお前の姿は、やはり魅力的だな!
voice: 10202060410 大黒 わ、忘れてください……。