voice: 10203180010 しぐれ 意見を聞いてるって……。 でも……双葉さんは、もう……

voice: 10203180020 初魅 ……あの子は、まだいる。 この私の中に……

voice: 10203180030 初魅 私は、今でも双葉に審査してもらっているんだ。 これでいいのか……お前は喜んでくれるか……とな

voice: 10203180040 …………

voice: 10203180050 初魅 ……私が小学校を卒業した直後に……双葉は亡くなった。 原因は、単純な事故だった……

voice: 10203180060 初魅 あの子は、あっさりいなくなってしまったんだ……

voice: 10203180070 初魅 しばらくは、何も手がつかなかった。 あの頃の私は、泣くことしかできなくて……ボロボロだった

voice: 10203180080 仁花子 レンさん……

voice: 10203180090 初魅 だが……悲しんでいるだけじゃダメだと気づいた。 こんな姿を見せてばかりじゃ、双葉は笑ってくれないと思ってな

voice: 10203180100 初魅 いつもの日常を取り戻してから、しばらくして……。 中学校の文化祭で、また演劇をすることになったんだ

voice: 10203180110 初魅 久しぶりに演技に取り組みながら……双葉に誓った言葉を思い出した

voice: 10203180120 初魅 自分が思う、最高の演技をすることだけ考える……。 そうして、自分のやりたい演技を突き詰めていった

voice: 10203180130 初魅 劇が終わった時……私は演技を絶賛され、拍手喝采を浴びていた

voice: 10203180140 初魅 その瞬間、双葉を鮮明に思い出したんだ。 私の演技を観て笑う、あの子の笑顔を……

voice: 10203180150 初魅 双葉が、すぐそばにいてくれるような気がした……

voice: 10203180160 初魅 自分が満足する演技……それを続けていければ、 双葉はずっと笑っていてくれる。私の中で、ずっと……

voice: 10203180170 初魅 そう思ったからこそ……私は、今も演技を続けている

voice: 10203180180 大黒 我が主の行動の源は……双葉さんの笑顔……

voice: 10203180190 そんなの、全然知らなかったよ……

voice: 10203180200 己の思うがままに、自由で尊大に振る舞う役者……。 それが、初魅だと思ってた……

voice: 10203180210 でも、それが全部……妹さんの笑顔のためだったなんて……

voice: 10203180220 初魅 締まらない話だと、自分でも思う。 だから、ずっとひた隠しにしてきた……

voice: 10203180230 初魅 これは私のプライバシー……語る必要のないこと……。 そう言い訳して、逃げ回っていたんだ

voice: 10203180240 初魅 自分の弱いところを、知られたくないだけなのに……

voice: 10203180250 初魅 信じて、ずっとついてきてくれたお前達に……。 壁を作って、踏み込ませないようにしていた……

voice: 10203180260 初魅 本当に、すまなかった……。 全部、私が弱いせいだ

voice: 10203180270 ……初魅は、弱くなんかないよ

voice: 10203180280 むしろ……すっごく強いんじゃないかな。 自分の弱さを、こうしてさらけ出せたんだから

voice: 10203180290 初魅 え……?

voice: 10203180300 voice: 10203180301 しぐれ ……そもそも、秘密なんて誰にでもありますしねぇ。 それを隠したいって思うのは、普通じゃないですかぁ?

voice: 10203180310 voice: 10203180311 大黒 私なら……自分の弱みを話すだなんて、怖くてできない……。 それを選べた時点で、我が主はすごい方なんです……!

voice: 10203180320 仁花子 ……レンさんは私達を信じて、 自分の中の大事なものを、全部話してくれました

voice: 10203180330 仁花子 私は、それがとっても嬉しいです……!

voice: 10203180340 初魅 お前達……

voice: 10203180350 それに双葉さんだってきっと思ってるよ。 初魅にひとりで苦しんでほしくないって

voice: 10203180360 だから自分のことを、そんな風に責めないであげてよ

voice: 10203180370 ……まだ、意見を聞けるような存在じゃないかもしれないけど、 アタシたちだって付いてるんだからさ

voice: 10203180380 初魅 ……容

voice: 10203180390 初魅 (そうか……今は、双葉以外にもいてくれるんだな……。 私と共に、笑ってくれる人たちが……)

voice: 10203180400 初魅 (それに……)

voice: 10203180410 双葉 わかるよ。お姉ちゃんの一番のファンだもん

voice: 10203180420 初魅 (ひとりで苦しむ……か。 確かに……双葉はそんなことを願わないだろう)

voice: 10203180430 初魅 私は、囚われていたのかもしれない。 自分で勝手に作り上げた、幻想の双葉に……

voice: 10203180440 初魅 自分が望むものを書いているつもりになって、 ただただ、幻想に振り回されていた……

voice: 10203180450 初魅 そんなものじゃ、本当の双葉は喜ぶはずがないのにな……

voice: 10203180460 それがわかったなら、やるべきことはひとつでしょ

voice: 10203180470 今度こそ、初魅のやりたい劇をやろう

voice: 10203180480 初魅 ……ああ。そうしよう!