voice: 10301010010 ラモーナ みんな、わざわざ見送りに来てくれてありがとう。 今日もハンブルクで公演なのにすまないな。

voice: 10301010020 劇団員A 仲間の見送りを無視して、芝居なんてできないわ。

voice: 10301010030 劇団員B それよりホントに大丈夫? 日本でやってける? 銀河座ってトコのスカウトは信用できる?

voice: 10301010040 ラモーナ 問題ない。しっかりと見極めた。

voice: 10301010050 劇団員C 問題なのは、ラミーはさみしがり屋ってトコだよね~。

voice: 10301010060 ラモーナ おい、やめてくれ。 せっかく考えないようにしていたというのに。

voice: 10301010070 劇団員A いつでも帰ってきていいわよ。籍は残しておくから。

voice: 10301010080 ラモーナ ありがたいな。だが、聞かなかったことにする。 決心が鈍ってはいよいよ飛べなくなるからな。

voice: 10301010090 空港ナレーション ご案内します。ハンブルク発東京行き国際便。 ただいまよりお客様のご搭乗手続きを開始します。

voice: 10301010100 ラモーナ さあ、ラモーナ・ウォルフ挑戦の始まりだ。 向こうに着いて落ち着いたら手紙を書く。行ってくるぞ。

voice: 10301010110 ラモーナ (故郷が小さくなる心細さに、まぶたを閉じて未来を想う)

voice: 10301010120 ラモーナ (目的地は東京。  そこは――彼女も暮らしている場所だ)

voice: 10301010130 ラモーナ 水くさいぞカトリナ。我々に黙って出発だなんて。

voice: 10301010140 カトリナ 仲いいワケでもないし、伝えられたって迷惑でしょ。

voice: 10301010150 ラモーナ 同じ釜のヴルストを食べた仲だろう。 そもそもなぜ日本なんだ? ドイツにはお前の母上だって――

voice: 10301010160 カトリナ アタシがどこで何しようが勝手でしょ!? 結果を出さなきゃいけないの!

voice: 10301010170 ラモーナ 落ち着いてくれ、カトリナ。突っ走るな。 役者が孤立しては駄目だ。仲間が必要だ!

voice: 10301010180 カトリナ ああそう、仲間との絆を大切にね。じゃあね。

voice: 10301010190 ラモーナ カトリナ、すまなかった。お前の焦りに気づけたら もっとしてやれることがあったのだろうな。

voice: 10301010200 ラモーナ ……だが、後悔はここまでだ。 なぜならもうすぐ追いつけるのだから。

voice: 10301010210 ラモーナ ……しばらく待っていてくれ、カトリナ。 今度こそ、お前を助けられる人間になる。

voice: 10301010220 ラモーナ (この大演劇時代、役者のスカウトは世界中で行われていた)

voice: 10301010230 ラモーナ (歴史と伝統あるブロードウェイ、ウエストエンドのみならず、  ここ東京にも未来のダイスター候補を揃える劇団は数多い)

voice: 10301010240 ラモーナ (そんな数多ある星々のひとつが、東京上野に存在する巨大劇団。  その名を銀河座という)