voice: 10301160010 ラモーナ 『月の使者よ、よく聞きなさい!  この命に代えても、姫様を連れてはいかせない!』

voice: 10301160020 『……操、あなたにいとまを出します。  私のもとを去って、別の人生を送りなさい』

voice: 10301160030 voice: 10301160031 ラモーナ 『イヤです。操は姫様のそばに居ると誓ったのです。  どうしてそんなことをおっしゃるんですか……!』

voice: 10301160040 『あなたには、幸せになってほしいから。』

voice: 10301160050 演出家 うーむ……。

voice: 10301160060 先生、何か気になった点はありますの?

voice: 10301160070 演出家 いや、どちらの演技が悪い訳ではない。 必要な要素は満たしている。それゆえ難しいんだ……。

voice: 10301160080 ラモーナ (先生はそう言うが、原因は私の演じる操だ。  私の中の操が……かぐや姫に触れることを恐れている)

voice: 10301160090 voice: 10301160091 ラモーナ (もっと操の気持ちに寄り沿わねばいけない。  何があろうと姫を守る一途さを貫かねばならない)

voice: 10301160100 演出家 いったん休憩を挟んでも――

voice: 10301160110 voice: 10301160111 『操、あなたにいとまを出します。  私のもとを去って、別の人生を送りなさい!』

voice: 10301160120 voice: 10301160121 ラモーナ (納得いくまで詰める気だな……?  であれば受け止めて、認めさせてみせる!)

voice: 10301160130 ラモーナ 『イヤです! 操は姫様のそばに居ると誓ったのです!  どうしてそんなことをおっしゃるんですか!』

voice: 10301160140 あなたには……!

voice: 10301160150 voice: 10301160151 ラモーナ (ん? 言葉に詰まるようなシーンでは……。  待て、この違和感は……センスの呼び声か!)

voice: 10301160160 『あなたには……幸せになってほしいから。  よく付き従ってくれました、から……』

voice: 10301160170 ラモーナ すまない、ストップだ。いったん休憩にしよう。

voice: 10301160180 どうしてですの……!? 私はまだやれますわよ!

voice: 10301160190 ラモーナ 私の目をごまかせると思わないことだ。 体調管理も役者の仕事のうちだぞ。

voice: 10301160200 問題ありませんわ。練習を続けましょう。 この程度でくたばるつもりはありませんから。

voice: 10301160210 ラモーナ 聞いていたのか!? 意固地が過ぎるぞ、暦!

voice: 10301160220 演出家 そろそろ休むか?

voice: 10301160230 voice: 10301160231 いえ。先生が納得されるまで、あらゆるパターンを試します。 付き合っていただけますわね、ウォルフさん。

voice: 10301160240 ラモーナ (暦は十全にかぐや姫に徹している。  無理をさせているのは私のせいだ)

voice: 10301160250 ラモーナ (これが暦の背負っている重責か。  減らすどころか、負担を増やしているとは)

voice: 10301160260 ラモーナ あ、ああ……。もちろんだ。

voice: 10301160270 ラモーナ 今回の『竹取物語』は、かぐや姫と操、 ふたりの出会いと別れ、絆の物語だ。

voice: 10301160280 voice: 10301160281 ラモーナ 暦の気合いに応えたい。 だが、今の私は……何者にもなれていない。