voice: 10302030010 演出家 ここに集められた者が『白雪姫』の内定者だ。 これより配役を発表する。

voice: 10302030020 一同 はい!

voice: 10302030030 (緋花里、フィンランド、ドイツ。  残りはここ最近、センスを磨いてきた連中)

voice: 10302030040 (そして——)

voice: 10302030050 (——話題性抜群の暦サンか)

voice: 10302030060 (オーディションは会心の出来だった。  念のため保険に他も受けたが問題ない)

voice: 10302030070 (白雪姫はワタシがもらう!  銀河座は実力主義だ、悪く思うなよ)

voice: 10302030080 演出家 ラモーナ・ウォルフ、王子と狩人。 両者は同一人物という設定だ。男役でも上手く演じ分けろ。

voice: 10302030090 ラモーナ いいだろう。

voice: 10302030100 緋花里 ラモさんの王子!? しにカッコいいさー!

voice: 10302030110 (アイツが白雪姫のガラじゃないのは想定通り。  ここからだ)

voice: 10302030120 演出家 次、クレア・アダムス。鹿島志穂。フランカ・コッポラ。 クァン・ソーンカム。アマル・ハキーム——

voice: 10302030130 演出家 ——与那国緋花里。

voice: 10302030140 緋花里 はい!

voice: 10302030150 (緋花里も脱落。呼ばれた名前はここまで6人分。  要はこびと役だ。ワタシが呼ばれることは——)

voice: 10302030160 演出家 そして、王雪。以上7名、七人のこびと!

voice: 10302030170 な……!?

voice: 10302030180 (な、なにーィ!?  このワタシがこびとだとォ!?)

voice: 10302030190 (おかしい、会心の出来だったんだぞ!  なら誰が白雪姫を——)

voice: 10302030200 (——そうか、そういうことかァッ!?)

voice: 10302030210 演出家 次、千寿暦! お前は——

voice: 10302030220 (やはり、やはりそうか!  家柄と話題性が大事なのか!)

voice: 10302030230 (見損なったぞ、銀河座!  そうまでしてワタシに主役を与えない気か!?)

voice: 10302030240 演出家 ——白雪姫の継母。悪役だ。 前回のかぐや姫とは真逆だが、やれるな?

voice: 10302030250 ご期待に応えますわ。

voice: 10302030260 何!? じゃあ誰が白雪姫なんだ!? ワタシでも暦でもないなら誰が演る!?

voice: 10302030270 演出家 静かに。発表を続ける。 アビゲイル・バーンス、魔法の鏡。

voice: 10302030280 演出家 そしてリリヤ・クルトベイ。 白雪姫だ。

voice: 10302030290 リリヤ わかった。

voice: 10302030300 (なッ、なにィ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!???)

voice: 10302030310 voice: 10302030311 緋花里 見て見て、七人のこびとの踊り考えた! 腕を腰に当てておしりフリフリ。そしてキメポーズ!

voice: 10302030320 こびと……。ワタシがこびと……。

voice: 10302030330 (クソッ、フィンランドの存在を完全に忘れていた!)

voice: 10302030340 (毎回ヤツは目立ってたが脇役ばかりだ。  主役抜擢はあり得ない話じゃない!)

voice: 10302030350 リリヤ 鏡がよかったけど、白雪姫……。 素肌を出せるシーンが少ないから、苦労するかも。

voice: 10302030360 voice: 10302030361 緋花里 でも演出家の先生言ってたよ。 ……オホン!

voice: 10302030370 緋花里 『竹取物語での神秘的な月の使者、見事だった。  今回はお前の実力で勝負する。抜かるなよ』

voice: 10302030380 緋花里 確かな実力! ほめられててうらやましいさー。

voice: 10302030390 実力……。

voice: 10302030400 (ワタシに主役の実力がないと言いたいのか。  役柄を選ばず演じて、それなりには評価も——!)

voice: 10302030410 MC その他大勢、海外出身のダイスター候補が活躍中です。

voice: 10302030420 MC その他大勢——

voice: 10302030430 それが、世間における王雪の評価なのか……。

voice: 10302030440 緋花里 どしたの、雪?

voice: 10302030450 ……なんでもない。 実力があるならうまくやれ。

voice: 10302030460 リリヤ まあ、美しいからなるようになる。こびともがんばって。

voice: 10302030470 voice: 10302030471 緋花里 うん! 七人のこびとで爆笑を取るさー! 雪も踊ろう! ほら、わんつー!

voice: 10302030480 その前に頼みがある。 緋花里、ワタシの背を叩いて気合いを入れろ。

voice: 10302030490 緋花里 ええ!? 突然のバイオレンス! なんで!?

voice: 10302030500 いいからやれ!

voice: 10302030510 voice: 10302030511 緋花里 わ、わかった。 そこまで言うなら……いくよ!

voice: 10302030520 お、おいちょっと待て! 思いっきりはやめ——

voice: 10302030530 かッ~~~~~~~~ッ!!!

voice: 10302030540 緋花里 思いっきりいっちゃった! 大丈夫ね!?

voice: 10302030550 いっ、息ができない! 痛すぎる! 本気で叩きやがって、このパワー系バカ!

voice: 10302030560 緋花里 頼まれたからやったのに怒られてる! 理不尽!?

voice: 10302030570 いや、いい! これでいい。 おかげで目が覚めた……。

voice: 10302030580 (ワタシはまだまだ実力不足だ。  甘えもおごりも、今ので潰した)

voice: 10302030590 (世間が認めないって言うんなら  役を完璧に仕上げて、認めさせてやる!)