voice: 10304170010 緋花里 (弁慶は牛若丸に惹かれて、最後まで旅に付き添った。  それはきっと……牛若が自分を貫き続けた人だったから)

voice: 10304170020 緋花里 (そんな牛若丸として、私は暦さんの前に立たなきゃいけない)

voice: 10304170030 緋花里 (だったら、今の私に必要なものは……)

voice: 10304170040 別に……ドイツが来る前の銀河座に戻っただけだろ。

voice: 10304170050 緋花里 雪はすごいね。ずーっと変わらなくて。

voice: 10304170060 当たり前だ。

voice: 10304170070 緋花里 『自分の心に軸を持て』。 だよね、雪。

voice: 10304170080 緋花里 (牛若丸を演じきるために、  私はブレずに私を……与那国緋花里を貫く)

voice: 10304170090 緋花里 (そして今度の公演をきっと成功させる……!  みんなと一緒に最高の舞台にする!)

voice: 10304170100 緋花里 よしっ。 お参りも済んだことだし、次は義経の鎮霊碑に挨拶して……。

voice: 10304170110 緋花里 あ、記念に写真も撮っておきたいなー。 確かあっちに弁慶と義経が一緒に並んでる像が――

voice: 10304170120 ひばり あら。与那国さん?

voice: 10304170130 緋花里 あれ? お姉さん……!

voice: 10304170140 ひばり 奇遇ね。……でもないかしら。

voice: 10304170150 ひばり 真っ直ぐで一生懸命なあなたのことだもの。 お芝居のために義経ゆかりの地を訪ねてきたってところ?

voice: 10304170160 緋花里 すごい! その通りだよ! でも、お姉さんこそなんで……!

voice: 10304170170 ひばり 私も似たような理由。聞いているわよ。 銀河座の次の公演、義経を取り扱った作品なんでしょう?

voice: 10304170180 緋花里 もう次の公演の情報を調べてくれたんですね……! ありがとうございます!

voice: 10304170190 緋花里 やっぱり嬉しいです! 銀河座に興味を持ってもらえて!

voice: 10304170200 ひばり え、ええ。まあ、当然よ。

voice: 10304170210 ひばり (世界演劇リーグの人間としてね)

voice: 10304170220 緋花里 ……でも、また会えて良かった。お姉さんにはお礼を言いたかったんです。 この前はありがとうございました。

voice: 10304170230 ひばり 急にかしこまって、どうしたの?

voice: 10304170240 緋花里 『舞台はひとりでは作れない』。 お姉さんの言葉のおかげで、私、気づいたことがあったから。

voice: 10304170250 緋花里 ずっと悩んで迷ってたけど……次の舞台で私のやるべきこと。 答えが見つかったんです!

voice: 10304170260 ひばり 『答え』ね……。 よければ私に聞かせてもらえる?

voice: 10304170270 緋花里 それは……。

voice: 10304170280 ひばり できれば、役者ならお芝居で伝えてほしいところね。

voice: 10304170290 緋花里 えっ!? この場所で、いきなり!?

voice: 10304170300 ひばり ほら、義経のために 弁慶が即興で芝居を打ったエピソードがあるでしょう?

voice: 10304170310 緋花里 あっ。 確か『勧進帳』……。

voice: 10304170320 緋花里 (……よーし!)

voice: 10304170330 緋花里 『――帳の向こうに、ただひとりの役者がおりました』

voice: 10304170340 緋花里 『この者、名もなければ才もない。  ただ体ひとつで走り回るだけの、不器用な小娘にございます』

voice: 10304170350 緋花里 『分かりませぬ……!  なにゆえ私が選ばれたのか。何を為すべきかさえ……!』

voice: 10304170360 緋花里 『されど見ていてくれる者はおりました。  ひとり、ふたり、心をかけてくれる人がいて──』

voice: 10304170370 緋花里 『舞台を分ける主役が、この手を引いてくれました。  みんな、心に芯を持つ人たちでした』

voice: 10304170380 緋花里 『私はもう逃げませぬ! 共に舞台を作りたいから!  帳の向こうに立つことを恐れはいたしませぬ!』

voice: 10304170390 緋花里 『これは勧進の芝居にあらず!  ただただ心のありのままを見せる舞台にございます!』

voice: 10304170400 緋花里 ……みんなの信頼に応えたい。 それが今の私の決めた、自分の貫きたいことです!

voice: 10304170410 ひばり ふぅん……それは具体的に、どんな芝居を見せてくれるのかしら?

voice: 10304170420 緋花里 それは公演を見てのお楽しみ!

voice: 10304170430 ひばり ふふっ。 観劇できる日を楽しみにしているわ。

voice: 10304170440 緋花里 お姉さんにお礼を言えて、全部スッキリしたことだし。 私、帰って稽古を再開するさ!

voice: 10304170450 ひばり (与那国さん……前に会ったときとは顔つきが違う。  ひとつ壁を越えたようね)