voice: 10501140010 観客たち 「次の劇団は……Eden?」「この間、欧州の賞をとったとか」 「『忘れられた神の慟哭と飢え』……なんだか気になるタイトルね」
voice: 10501140020 審査員I 次はEden……この劇団を率いる連尺野初魅という女性は、 演劇界の異端児とも言えますね。
voice: 10501140030 審査員J ああ、だからホロスコープシーズンの際に、私からの通達を無視したのね? ふふ……面白いけれど、見合う実力はきちんとあるのかしら?
voice: 10501140040 審査員K しかし、『プロメテウス賞』を受賞した実績のある劇団だ。 私の勘だが……この劇団には、何かある。
voice: 10501140050 審査員J 楽しそうね。それじゃ、見せてもらうとしましょうか。 あなたが買うほどの、輝きがあるかを。
voice: 10501140060 初魅 『ここは、どこだ。私は、何者だ……。 何も分からない。全て、忘れてしまったのか……』
voice: 10501140070 初魅 『……そうだ、思い出した。 私は、自分の名前を探して旅をしていたのだ』
voice: 10501140080 容 『道案内をしようか』
voice: 10501140090 初魅 『……誰だ』
voice: 10501140100 容 『牡牛座だよ。僕は君が行きたい場所を知っている。 安心して、かつては神の貴婦人を背中に乗せたこともあるんだ!』
voice: 10501140110 初魅 『何故誰も彼も、私をウラヌスと呼ぶ? 私はそのような名前ではない。私をその名で呼ぶな!』
voice: 10501140120 初魅 『……なんなのだ? その名を聞くたびに、私に怒りの念が湧き上がってくる。 それどころか、全てを破壊したくなる……!』
voice: 10501140130 初魅 『何故だ……私は……』
voice: 10501140140 観客A (主役の怒りと戸惑いの演技、こっちにまで伝わってくるみたい……!)
voice: 10501140150 観客B (牡牛座役も良いわ。 彼女の演技で、主役の悲壮感がより引き立っているもの……)
voice: 10501140160 審査員K (…………。 正統的な世界演劇リーグに、このような残酷なテーマを選ぶとは)
voice: 10501140170 審査員K (……前代未聞、としか言いようがない)
voice: 10501140180 初魅 『私の本当の名は『凶星』……かつて名高い神だったが、 人々に忘れられ神格が歪んだ者の末路』
voice: 10501140190 初魅 『数多の星を喰らう怪物……それが、私だと? そんな……。 だが、確かにこの記憶は……、ああ……! 私はなんてことを……!』
voice: 10501140200 容 『ここが君の居場所でないっていうのなら、探しに行こうよ』
voice: 10501140210 容 『きっとどこかに、君が居ることを許される場所が、 ひとつくらいあるはずさ。この世界は広いんだから』
voice: 10501140220 容 『さあ、顔をあげて。僕も一緒に行こう』
voice: 10501140230 容 『神でも、怪物ですらもなくなった…… 君が今ここに居る理由を探すために。』
voice: 10501140240 初魅 『ああ……。 …………ありがとう』
voice: 10501140250 審査員たち ……。
voice: 10501140260 審査員J (先鋭的な演出と確かな演技が重厚な舞台を形作っている……、 あの題材でここまでの物に仕上げるなんて……正直、驚きだわ)
voice: 10501140270 審査員I ……一見荒唐無稽かつ残忍、途中の主役交代や与えた台本からの逸脱、 そのような定石を崩す行為、ともすれば侮辱的とすらも取れてしまう。
voice: 10501140280 審査員I けれど、評価せずにはいられない舞台でした。 その全ての演出が緻密に練られ、役者それぞれが輝く……奇妙な瞬間だった。
voice: 10501140290 審査員I 正直、称賛以外の言葉が出ない……素晴らしい舞台でした。
voice: 10501140300 初魅 称賛の言葉、痛み入る。
voice: 10501140310 審査員K だからこそ問いたい……キミはなぜ、この舞台に立ったのか?
voice: 10501140320 審査員K このような舞台をわざわざやることを選んだ……。 そして舞台が、キミたちの演技は何かを訴えたいのではないか?
voice: 10501140330 審査員K ……何かこの場で、言いたいことがあるのだろう? 審査員代表として責任は私が負う……言ってみると良い。
voice: 10501140340 初魅 (流石は名優だ……お見通しというわけか)
voice: 10501140350 初魅 私は……貴方がたが作り上げた、センスを至上とした風潮に異を唱える。
voice: 10501140360 初魅 真の舞台というものは、演出や小道具、照明など、 全てが役者の演技と結びつき、強く引き立て合うことでのみ完成する。
voice: 10501140370 初魅 センスなど、副次的な要素に過ぎない。
voice: 10501140380 初魅 貴方たちはそれを至上とする考え方を形成した……。 それは全ての役者にとって、ノイズとなってしまっている。
voice: 10501140390 初魅 今、ここに我々は宣戦布告する! 必ずや、貴方たちが作り上げた虚像を打破してみせると!
voice: 10501140400 審査員K なるほど……そうか、そう来るか。 やはり私の勘は間違っていなかった……面白いな、キミたちは。