voice: 1300320010 カトリナ ひとりっきりの休日なんて、いつぶりかしら。 最近は、いっつも誰かと一緒だったし……。

voice: 1300320020 カトリナ (……そんなの、ドイツにいたころは考えられなかったわね。  自分でも驚きだわ)

voice: 1300320030 ラモーナ おお……! カトリナ! カトリナじゃないか!

voice: 1300320040 カトリナ げっ、ラモーナ……。

voice: 1300320050 ラモーナ こんなところで会うなんて、奇遇だな。 今日は休みか?

voice: 1300320060 voice: 1300320061 カトリナ ええ、そうよ……。 ヒマだし、ちょっと街をぶらついてたの。

voice: 1300320070 ラモーナ ますます奇遇だな。 ヒマを持て余していたのは、私も同じだ。

voice: 1300320080 voice: 1300320081 ラモーナ ……どうせなら、一緒にお茶でもどうだ? ただ街をぶらつくよりは有意義かもしれないぞ。

voice: 1300320090 カトリナ ええ、いいわよ。

voice: 1300320100 ラモーナ ……。

voice: 1300320110 カトリナ どうかしたの?

voice: 1300320120 voice: 1300320121 ラモーナ ……いや、なんでもない。 近くにいい喫茶店があるんだ、そこに行こう。

voice: 1300320130 カトリナ 不味かったら怒るわよ。

voice: 1300320140 ラモーナ ははは、満足してもらえることを祈ろう。

voice: 1300320150 カトリナ ここのお茶、けっこうイケるわね。

voice: 1300320160 ラモーナ そう言ってもらえてホッとした。

voice: 1300320170 ラモーナ ……こうして誘ってはみたものの、 断られると思ったよ。

voice: 1300320180 カトリナ なによ。元々は誘う気なかったってわけ?

voice: 1300320190 voice: 1300320191 ラモーナ そういうわけじゃない。 正直、お前には避けられていると思っていた。

voice: 1300320200 カトリナ ……そういう気分だっただけよ。

voice: 1300320210 ラモーナ 私に対して、そんな気分になること自体が珍しいのでは?

voice: 1300320220 カトリナ アンタ、いちいち疑り深いわね……。

voice: 1300320230 voice: 1300320231 ラモーナ それぐらい驚いたということだ。 ……嬉しいほうの感情だからな。

voice: 1300320240 voice: 1300320241 カトリナ ……この前、昔の写真を見てたのよ。 ドイツの劇団にいたころ、アンタと撮った写真よ。

voice: 1300320250 カトリナ その写真を見てたら、いろいろ思い出しちゃったの。

voice: 1300320260 ラモーナ ああ……そんなこともあったな。 あの写真なら、私もまだ持っている。

voice: 1300320270 voice: 1300320271 ラモーナ あのころは楽しかった。 お前の卓越した演技には、よく驚かされたよ。

voice: 1300320280 カトリナ それも、ひどい失敗をしたあの日までだったけどね。

voice: 1300320290 ラモーナ カトリナ……改めて言うが、あれはお前だけのせいでは……。

voice: 1300320300 voice: 1300320301 カトリナ わかってる。でも、アタシがアタシ自身を許せなかった。 そのつらさに耐えきれなくなって、逃げ出しちゃった。

voice: 1300320310 voice: 1300320311 カトリナ それくらい、自分のことだけに精一杯だったの。 だから、近くにいる人の優しさにも気づけなかった……。

voice: 1300320320 ラモーナ カトリナ……。

voice: 1300320330 voice: 1300320331 カトリナ 今さらだけど……あの時は、ありがとう。 アンタの伸ばしてくれた手には、感謝してる。

voice: 1300320340 voice: 1300320341 ラモーナ ……いいんだ。あの時も言ったろう? 過ぎたことを、気に病み続ける必要はないと。

voice: 1300320350 voice: 1300320351 ラモーナ 私がそうしたいと思ったから、そうしたまでだ。 もし今、あの時と同じことが起きても、そうするつもりだよ。

voice: 1300320360 カトリナ そういうおせっかいなところ、昔から好きじゃない。

voice: 1300320370 ラモーナ ははは、これは性分だからな……。

voice: 1300320380 カトリナ それにね、もうあんなことは起こらないわ。 アタシが今いる、シリウスではね。

voice: 1300320390 ラモーナ ……そうか。そう言えるのは、幸せなことだな。

voice: 1300320400 カトリナ ええ。アタシもそう思う。

voice: 1300320410 ラモーナ 祖国から離れた地でこそ見つけられたんだな。 自分の真の居場所というものを。

voice: 1300320420 カトリナ 相変わらず、仰々しい物言いね。

voice: 1300320430 ラモーナ ふふっ、これもまた性分……私なのさ。

voice: 1300320440 カトリナ 知ってる。