voice: 1301420010 天才チャーハニストってのはなんなんだよ……。

voice: 1301420020 緋花里 こんなに美味しいチャーハンを作る雪は、 絶対すごい人に決まってるってことだよ!

voice: 1301420030 voice: 1301420031 ラモーナ ああ、その通り。料理には料理人の人格が出る。 私はこのチャーハンに深みを感じたのだ。人としてのな。

voice: 1301420040 単なるチャーハンだぞ? 何をバカな――

voice: 1301420050 緋花里 バカじゃない! すっごいことさー!

voice: 1301420060 voice: 1301420061 緋花里 余り物の食材を即興で美味しくした! それって演劇で言うところのエチュードさ!

voice: 1301420070 緋花里 エチュードはとっても難しい! 引き出しが少なかったり 対話がヘタだと、ぜんぜんひとつにまとまらない!

voice: 1301420080 ラモーナ だが、雪のチャーハンは違った。 あらゆる食材が自らの個性を主張しつつ、まとまっている。

voice: 1301420090 ラモーナ いやはや、まったく驚いたよ。見事なバランス感覚だ。 料理スキルが役者としての力量に直結するとはな……。

voice: 1301420100 そ、そうか……?

voice: 1301420110 voice: 1301420111 緋花里 うん! だから雪はいろんな役ができる! 私もうまくなりたいさー。

voice: 1301420120 ラモーナ ぜひ教えてくれないか? お前を見事な人格者に成長させた、過去について。

voice: 1301420130 し、仕方がないな……? そんなに聞きたいなら話してやる……。

voice: 1301420140 ワタシの実家は、中国の山奥・貴州にある農家だ。 父親は拳法師範もしているが……それで稼げる時代じゃない。

voice: 1301420150 必然、貧しい家庭を支えるため両親は働きに出ていた。 料理が上達したのは、親の代わりに鍋を振ってたからだろう。

voice: 1301420160 演劇に出会ったのは、そんな貧乏を続けていた頃だ。

voice: 1301420170 演劇なら、ダイスターなら。子どもでも稼げる。 学もなく家柄もないワタシでも、家族を助けられる。

voice: 1301420180 だったらワタシが目指すのは――演劇だ。

voice: 1301420190 演劇の学校にも、劇団にも通えなかった。 見よう見まねで兄弟姉妹たちと練習を繰り返した。

voice: 1301420200 今からすれば、我流のひどいものだった。 だが、天はワタシを見落とさなかった。

voice: 1301420210 かくして入った劇団で、幾度か舞台に立った。 ワタシは認められたが、まだ足りなかった。

voice: 1301420220 もっと家族を楽にしてやりたい、貧乏を脱したい。 そのためにはもっと稼げる劇団でないといけない。

voice: 1301420230 ――そして見つけたのだ。 探していたカネのなる木。いや、金の星を。

voice: 1301420240 ラモーナ それが銀河座だったというワケか。 ここまで家族のために心を砕いていたとはな……。

voice: 1301420250 緋花里 ううっ……! 大家族だって聞いてたけど、 こんなに悲しい話だとは思わなかったさー!

voice: 1301420260 緋花里 雪! なんでも言って! わたしがんばるさー!

voice: 1301420270 フン、心配など無用だ! お前らのチカラなんて 借りずとも、ダイスターになって稼いでやるからな!

voice: 1301420280 ……調子が狂って喋りすぎたじゃないか。 まったく……。

voice: 1301420290 ……。

voice: 1301420300 ……お前は同情してほしいのか? 不幸な境遇を切り売りして稼ぎたいのか?

voice: 1301420310 ……違うだろ。ワタシは芝居で稼ぐ。 この銀河座で勝ち上がり、のし上がるんだ。

voice: 1301420320 そうじゃなきゃ家族を楽にできない。家族に胸を張れない。 だから絶対、負けるワケにはいかない……。

voice: 1301420330 voice: 1301420331 ……やってやるぞ、王雪。やってやるぞ、銀河座! そして見てろよ全世界、ワタシがダイスターになってやる!