voice: 1305920010 いろは 本日は研究会へとお招きいただき、ありがとうございます。 こちら、我が家のシェフが作ったお土産の和菓子となります。
voice: 1305920020 voice: 1305920021 ラモーナ あ、ああいやいや。そんなにかしこまる必要はないぞ。 肩の力を抜いてリラックスしてくれ。リリヤのようにな。
voice: 1305920030 リリヤ モーイ。
voice: 1305920040 voice: 1305920041 いろは ありがとうございます。 リリヤさんもあの本、お読みになったんですね。
voice: 1305920050 リリヤ ? ヒマだったから来ただけ。
voice: 1305920060 ラモーナ 一応、読んではいるから安心してくれ。 リリヤの解釈もまた独特だが、膝を打ってしまう部分もある。
voice: 1305920070 いろは そうなんですね。
voice: 1305920080 リリヤ 美しくあれ、と説くところはなんとなく分かる。 美味しいコロッケを作るには、風を感じる。
voice: 1305920090 いろは コロッケから、風、ですか。
voice: 1305920100 リリヤ 教えてあげる。体の隅々まで。
voice: 1305920110 いろは あわわわわわわわわっ!?
voice: 1305920120 ラモーナ こらこら、やめないか。 いろはが困ってしまっているじゃないか。
voice: 1305920130 ラモーナ 本当は、暦を招いて質問すれば済む話なのだろうがな。 この本の性質上、それではあまり意味がない。
voice: 1305920140 いろは 『考えるな、感じ取れ』、ですよね。
voice: 1305920150 ラモーナ うむ。我々はまだ、本に学び、守りを固める入門者だ。 暦のように型を破り、離れる段階までは辿り着いていない。
voice: 1305920160 いろは (ラモーナさんにそこまで言ってもらえるなんて……。 やっぱり姉さんは凄いです)
voice: 1305920170 ラモーナ ハハ、深刻に考える必要はないぞ。 なぜならこれは、暦が与えたもうた試練だからだ。
voice: 1305920180 いろは 試練ですか?
voice: 1305920190 ラモーナ この本は、ともかく会得が難しいからな。 人によっては千尋の谷へ突き落とされたようにすら感じるだろう。
voice: 1305920200 ラモーナ だが、身につければ確実に表現力に厚みが増す。つまり暦は、 いろはの成長に期待し、泣く泣く試練を課したに違いない。
voice: 1305920210 リリヤ 泣いてはないと思う。
voice: 1305920220 いろは あはは。そんな姉さんの姿なら、ちょっと見てみたいですね。
voice: 1305920230 ラモーナ いろは。我々の研究の成果を見せてやろう。 師を超えることが、弟子にできる唯一の恩返しだ!
voice: 1305920240 voice: 1305920241 いろは 勉強させてもらいます。 じゃあええと、どの章から始めましょうか。
voice: 1305920250 リリヤ いろは、そっちの席から私を撮って。 窓際の席から外を見つめる姿を研究したい。
voice: 1305920260 voice: 1305920261 いろは え、っと。それも研究会に関係あるんですね? わかりました、誠心誠意撮らせていただきますっ。
voice: 1305920270 ラモーナ いや、今は本の研究会なのだがな……。
voice: 1305920280 ラモーナ ……なるほど、そう言った解釈もできるな。 私の考えとは遠いが、大切にすべき答えだろう。
voice: 1305920290 voice: 1305920291 いろは 恐縮です。 ではええと、次はここなんですけど。
voice: 1305920300 ラモーナ ふむ。どう思う、リリヤ?
voice: 1305920310 リリヤ ……ラモの肩、ちょうどいい。 温かくて、よく眠れそう。
voice: 1305920320 voice: 1305920321 ラモーナ 今日はこの辺りにしておこうか。 いろはのおかげで視野が広がったぞ、礼を言う。
voice: 1305920330 voice: 1305920331 いろは そんな。お礼を言わなきゃいけないのは僕の方ですよ。 見てください、ノートが真っ黒になっちゃいましたっ。
voice: 1305920340 ラモーナ いいぞ! 次は学びを実践する番だな。 次回公演で成果を披露し合おう。お互いにな。
voice: 1305920350 いろは はい、少しでも、身につけられるようがんばりますっ。
voice: 1305920360 リリヤ ……終わった?
voice: 1305920370 ラモーナ まだまだ完全な理解からはほど遠いがな。 暦に追いつくためには、精進を続けねば。
voice: 1305920380 いろは ……皆さんから見ても、姉さんはそんなにすごいんですね。
voice: 1305920390 ラモーナ ハハ。今さら気づいたのか。 千寿暦は銀河座を支える看板役者だ。
voice: 1305920400 ラモーナ あいつの待つ頂によじ登り、手を取りたい。 彼女に並び立つことが、私を含めた団員たちの目標になるほどのな。
voice: 1305920410 いろは ラモーナさん。
voice: 1305920420 リリヤ 私は別にいい。並んで立つだけならどこでもできる。
voice: 1305920430 voice: 1305920431 ラモーナ いや、並び立つというのはものの喩えであってだな……。 リリヤも暦には思うところあるだろう?
voice: 1305920440 リリヤ ……。
voice: 1305920450 リリヤ ……暦は、演劇にすごくストイック。 寮暮らしでもないのに、最後まで稽古場に残ってる。
voice: 1305920460 リリヤ あと、壁がある。とても硬い壁。
voice: 1305920470 いろは 壁、ですか……。
voice: 1305920480 リリヤ あんまり自分のことを話してくれないから。 初魅も気にしてるみたい。会うたびに元気か聞かれる。
voice: 1305920490 いろは ……。
voice: 1305920500 いろは (姉さん……やっぱり、ひとりで抱え込んでいるんですね……。 ……なのに、僕ばかり楽しんでいる)
voice: 1305920510 リリヤ でも、暦はちょっと変わった。ラモが入団してから。
voice: 1305920520 リリヤ 雪の火鍋にも少しずつ顔を出したり、緋花里の質問に答えたり。 この間は、家で合宿もした。
voice: 1305920530 リリヤ 最近は、笑顔が増えた気もする。ラモの影響。
voice: 1305920540 ラモーナ フフ、照れるな。
voice: 1305920550 いろは そうです……。
voice: 1305920560 いろは (銀河座の皆さんを、家にお招きしたり……)
voice: 1305920570 いろは (今はまだ少しずつですけれど。 きっと、姉さんも……)
voice: 1305920580 リリヤ ……安心した? いろは。
voice: 1305920590 いろは えっ、あ……な、何がですか……?
voice: 1305920600 ラモーナ 『表出する感情に細心の注意を払え』。 あの本の教えの通りだな?
voice: 1305920610 いろは うう、バレバレでしたか……。
voice: 1305920620 voice: 1305920621 ラモーナ まあ、私も最近の暦には安心しているよ。 ただ、たまに気を揉む時があるんだがな……。
voice: 1305920630 リリヤ 病院に運び込まれてた。ラモが雪と揉めて大変。
voice: 1305920640 ラモーナ あの時はどうにか事なきを得たが、暦のことだ。 次がないとは言えない。
voice: 1305920650 ラモーナ いろは。家族であるお前だからこそ分かることもある。 どうか暦を、変わらぬ愛で支えてやってくれるか?
voice: 1305920660 いろは ……はい。僕にとっても大事な姉さんですから。
voice: 1305920670 ラモーナ ……ありがとう。安心できたよ。
voice: 1305920680 リリヤ 暦のお世話が大変なら、私でもいい。 いろはが妹なら嬉しい。
voice: 1305920690 ラモーナ おっと、それなら私も歓迎だぞ。 一気に姉が3人に増えたな!
voice: 1305920700 いろは あはは。それも楽しそうですけれど……。
voice: 1305920710 いろは 僕の姉さんは、たったひとりだけですっ。