voice: 1307620010 voice: 1307620011 カトリナ ここなが姉で、新妻が妹なのね。 で、主人公役の静香は間違えて妹にプロポーズするんだっけ? 

voice: 1307620020 voice: 1307620021 ぱんだ ええ、ええ。考え抜いた末の配役です!  お三方、心の準備はよろしいですか!? 

voice: 1307620030 八恵 ここなさんに甘えられるのが楽しみです♪

voice: 1307620040 ここな そっか、八恵ちゃんが妹なんだ!  どうしよう、ものすごく可愛がっちゃうかも……! 

voice: 1307620050 八恵 ふふ。ここなお姉ちゃん♪

voice: 1307620060 ここな かっ、かわいい~っ……!

voice: 1307620070 静香 ……ねえ。本当に、私が主人公なの?  カトリナとか流石でもいいじゃない……。

voice: 1307620080 voice: 1307620081 ぱんだ この即興劇はおシズちゃんじゃないと成立しないんです!  ですからぱんだの顔を立てるためにもどうか……! 

voice: 1307620090 知冴 ふむ。ぱんだ監督には考えがあるらしい。 聞かせて貰おうじゃないか。

voice: 1307620100 ぱんだ そうとも! 即興劇の舞台は仮面舞踏会!  でも小道具の仮面はたった1枚しかないんです! 

voice: 1307620110 ぱんだ けどおシズちゃんなら関係ない!  新妻っちが付けた仮面を再現できますよね!? 

voice: 1307620120 ここな あ、そっか。着替える時と一緒なんだ!

voice: 1307620130 カトリナ 確かにアタシや流石じゃ務まらない大役ね。 楽しみに見物させてもらうわ。

voice: 1307620140 知冴 チケット代はどこに振り込めばいい?

voice: 1307620150 静香 振り込まなくていいから!  そんな理由で主役なんて納得できないわ! 

voice: 1307620160 voice: 1307620161 ここな 大丈夫だよ、静香ちゃん。私と八恵ちゃんでサポートするから!  ね、八恵ちゃん……八恵ちゃん? どうしたの? 大丈夫? 

voice: 1307620170 八恵 ……あっ、すみません。役作りに集中していました。 静香さんのプロポーズを受けてどう動くべきかと……。

voice: 1307620180 voice: 1307620181 ここな わっ、もう!? 私も演技方針考えなきゃ!  ねえぱんだちゃん、幼馴染の設定なんだけど! 

voice: 1307620190 voice: 1307620191 ぱんだ いやいや、即興劇なんだから準備しちゃダメですって。 その時その時の流れを楽しんでくださいね。おシズちゃんも。

voice: 1307620200 ここな 楽しみだね、静香ちゃん!

voice: 1307620210 静香 ぐうぅ……。なんでふたりとも乗り気なの……。

voice: 1307620220 知冴 なら、私は舞踏会を開いた国王の役やるね。 ちなみに、数年後に起こる市民革命に斃れるって裏設定がある。

voice: 1307620230 voice: 1307620231 ぱんだ はいはい、裏設定のままにしとけー。 じゃ、ぱんだはナレーターってことで。カトりんはどうします? 

voice: 1307620240 voice: 1307620241 カトリナ ま、ここなを踊りに誘う役でもやろうかしら。 主役を食ってもいいんでしょ? 

voice: 1307620250 静香 他人事だと思って……!

voice: 1307620260 voice: 1307620261 ぱんだ バチバチは劇中で思う存分お願いしますね!  ではでは即興劇……スタートです! 

voice: 1307620270 ぱんだ ――むかーしむかしのとある国。 煌びやかな仮面舞踏会を控えた前夜のことでした。

voice: 1307620280 ここな 『ふふっ、楽しみだね。明日の舞踏会。  ちゃんと仮面もお揃いにしたし』

voice: 1307620290 静香 『え、ええ……。どんな仮面を付けてるか分かってたら、  仮面舞踏会の意味なんてない気もするけど……』

voice: 1307620300 ここな 『いーの。私はあなたと踊りたいんだもん』

voice: 1307620310 ぱんだ おやおや、仲睦まじいご様子のおふたりですね。 その片割れはまだすこーし、照れ臭いようですが? 

voice: 1307620320 静香 『……!』

voice: 1307620330 ぱんだ さてさて。 そんなおふたりは、ある約束をすることにしました――

voice: 1307620340 voice: 1307620341 ここな 『……私ね、決めたんだ。  明日の舞踏会で私を踊りに誘ってくれたら、結婚してあげる』

voice: 1307620350 静香 『お揃いの仮面だって分かってたら、探しやすいと思うけど……』

voice: 1307620360 voice: 1307620361 ここな 『だって、そうでもしないと私を見つけられなさそうだもの。  明日は絶対、一番に私を見つけて。これならお父様も説得できるから』

voice: 1307620370 ぱんだ ――身分差のあるふたりの結婚には、真実の愛の証が必要でした。

voice: 1307620380 ぱんだ そう。惹かれ合うが故に巡り会う、運命という名の証人が!  有象無象が入り乱れる仮面舞踏会で出逢うという必然が! 

voice: 1307620390 知冴 『ククク……。  集ったな、真実を仮面に隠した者どもよ』

voice: 1307620400 ぱんだ 今ぱんだが影ナレ入れてるところだろ!  もうちょっと我慢しろ! 

voice: 1307620410 ぱんだ ――というわけで翌日。 仮面がひしめく妖しくも煌びやかな一夜を迎えました。

voice: 1307620420 知冴 『偽り謀り、誠を見透かす。仮面の宴の始まりじゃ!』

voice: 1307620430 ぱんだ ――そして、王様の挨拶を待ちくたびれた弦楽隊の、 厳かな音色が場内に響き渡ります。

voice: 1307620440 ぱんだ さあ、いよいよ仮面舞踏会の幕開けです!

voice: 1307620450 知冴 じゃじゃじゃじゃじゃーん。

voice: 1307620460 ぱんだ ……なんだそれ。

voice: 1307620470 知冴 あ、弦楽隊の演奏ね。

voice: 1307620480 ぱんだ 急にBGM入れんな! 自由すぎるだろ!

voice: 1307620490 ぱんだ ――こほん。さて。昨晩の約束を果たしたい片割れは、 お揃いの仮面をつけた意中の人を探していました。

voice: 1307620500 静香 『……こ、この仮面と同じ人を探せばいいだけ。  きっと簡単に見つかるはず……』

voice: 1307620510 ぱんだ ふふふ。緊張していますねぇ。無理もありません。 何故ならこれからプロポーズしようと考えているのですから! 

voice: 1307620520 八恵 『…………』

voice: 1307620530 ぱんだ そしてとうとう、お揃いの仮面に巡り会いました。 昨晩、将来を約束しあったお相手に疑いようもありません! 

voice: 1307620540 静香 ……影ナレが無理筋すぎるでしょ。

voice: 1307620550 ぱんだ ああっ! 緊張して心の声がダダ漏れています。 一世一代の大勝負。落ち着いて、深呼吸して――

voice: 1307620560 静香 はあ……。

voice: 1307620570 静香 『……ずっと、あなたの側にいると約束します。  どうか私と……け……結婚……してください』

voice: 1307620580 八恵 『えっ……?』

voice: 1307620590 ぱんだ あっと! 聞こえていないようだ、もう一度!

voice: 1307620600 静香 ああもう……!  『あ、あなたでないとダメなんです! 私の手を取って!』

voice: 1307620610 ぱんだ 決まったッ! さあ、お相手の反応やいかに!

voice: 1307620620 八恵 『……ずっと、密やかにお慕いしておりました。  嬉しい、です』

voice: 1307620630 八恵 『ですが……本当に、私でよろしいのですか?   お姉様ではなく……』

voice: 1307620640 静香 『……!』

voice: 1307620650 ぱんだ そう、ここで気づいてしまったのです!  なんと、幼馴染だと思っていた者の正体は――! 

voice: 1307620660 voice: 1307620661 ここな 『……プロポーズしたの? 私以外の人に。  それもよりにもよって、妹に……』

voice: 1307620670 静香 『いや、これはその……間違えて……』

voice: 1307620680 voice: 1307620681 カトリナ 『ふーん? アンタの愛とやらも所詮はその程度なのね。  ま、妹君とよろしくやって。さぁ、向こうへ行きましょ』

voice: 1307620690 ここな 『……信じてたのに』

voice: 1307620700 静香 『あ、え、あっ……!』

voice: 1307620710 静香 ……ちょ、ちょっと待って!  やっぱりこの設定おかしいわよ! 

voice: 1307620720 ぱんだ むう。神にも等しいぱんだに逆らうおつもりですか?  あらゆる不条理を降らせることができるのですよ――

voice: 1307620730 静香 ナレーションはもういいから!  仮面で隠したって、姉妹を間違えるはずないでしょ!? 

voice: 1307620740 ぱんだ いやいや。そこは物語を面白くするための大きな嘘なんですから、 ツッコむのは野暮ですよ。

voice: 1307620750 知冴 姉妹が見た目そっくりの双子だったことにする?

voice: 1307620760 ぱんだ その方が丸いか。じゃあここちゃんと新妻っちは、 双子って設定で、プロポーズからやり直しを――

voice: 1307620770 静香 プロポーズからとか絶対に無理!  私は絶対、ここなと八恵ちゃんを間違ったりしない! 

voice: 1307620780 カトリナ アンタじゃなくても間違えないわよ。 ていうかまるで役に入ってないじゃない。

voice: 1307620790 静香 設定に無理があるんだから入るにも入れないでしょ!?

voice: 1307620800 voice: 1307620801 ぱんだ ええっ、プロポーズしてようやく即興劇が始まるんですよ!?  こうなったら影ナレで無理やり展開を作って――

voice: 1307620810 ここな 静香ちゃん。

voice: 1307620820 静香 ここな、ごめん……。やっぱり私、この芝居は――

voice: 1307620830 voice: 1307620831 ここな 『……分かってるよ。間違った相手にプロポーズなんてしない。  それが真実の愛ってことだよね! 信じてた……!』

voice: 1307620840 静香 待って、もう即興劇は終わってて……。

voice: 1307620850 voice: 1307620851 八恵 『悲しいですが……きっと、これでよかったんです……。  私、涙を堪えておふたりを祝福します!』

voice: 1307620860 静香 ここな……八恵ちゃん……!

voice: 1307620870 静香 そ、そうよ……!  それなら3人で手を繋いで踊ろう! これでハッピーエンド! 

voice: 1307620880 ここな・八恵 あはははは……!

voice: 1307620890 ぱんだ ちょっとちょっと、勝手に進めないでくださいよ?  ぱんだが筋書き作ったじゃないですか!? 

voice: 1307620900 voice: 1307620901 静香 即興劇はその時その時の流れを楽しむものでしょ?  だったら何も問題ないはず! 

voice: 1307620910 ぱんだ いやいやこの後、カトりんには昼ドラ並におシズちゃんとやり合う、 手に汗握る展開を考えてたんですよ~! 

voice: 1307620920 voice: 1307620921 カトリナ ぱんだ、これ以上は無粋よ?  これは真実の愛。アタシは敗北を認めるわ。

voice: 1307620930 ぱんだ そんな簡単に諦めていいんですか、カトりん!?

voice: 1307620940 知冴 うんうん。めでたしめでたし。

voice: 1307620950 ここな じゃあみんなで踊ろう!  仮面舞踏会はハッピーエンドがいいよね! 

voice: 1307620960 voice: 1307620961 静香 そ、そうそう! みんなで踊れば無理矢理終われる!  あはっ……あはは……! あはははは……! 

voice: 1307620970 ここな・静香・カトリナ・八恵・知冴 あはははは……!

voice: 1307620980 ぱんだ なんだこれ……?