voice: 1308920010 さて……お弁当とひと口に言っても、その中身は千差万別。 まずは献立を考えるところからですわね。

voice: 1308920020 氷川 先ほど申しました通り、栄養バランスを指針とすべきかと。 必須栄養素を摂れる献立でしたら私がご教授を――。

voice: 1308920030 湯島 なりません。それでは氷川さん監修のお弁当となってしまいます。 今、求められているのは暦お嬢様の個性。すなわち『らしさ』なのです。

voice: 1308920040 個性……。

voice: 1308920050 氷川 私は栄養の偏りがない完璧なお弁当をお作りになる方が、 暦お嬢様らしいと思いますが……。

voice: 1308920060 湯島 どうやら氷川さんとは雌雄を決せねばなりませんわね? 完璧なお弁当とは!そもさん!

voice: 1308920070 なるほど。演技と同じく、人それぞれに目指すところは違う。 だからこそ、自身の力で探究せねばならない……。

voice: 1308920080 湯島 その通りです、暦お嬢様!

voice: 1308920090 氷川 ええと……。

voice: 1308920100 voice: 1308920101 では、お弁当の基本……玉子焼きから始めましょう。 レシピを尋ねるくらいは許していただけますわよね?

voice: 1308920110 氷川 畏まりました。が……。 玉子焼きは定番ではありますが、少々……。

voice: 1308920120 問題ありません。定番であれば気も衒わず角も立ちません。 可もなく不可もないお弁当、それこそ私の目指すところですもの。

voice: 1308920130 湯島 あら、向上心に溢れる暦お嬢様らしくもないご返答。 私は独創性に期待しておりましたけれど。

voice: 1308920140 氷川 ……湯島さんの発言はお気になさらず。 では、卵液の作り方はお分かりになりますか?

voice: 1308920150 存じておりますわ、溶き卵とだし汁を混ぜ合わせるのですわよね。 さっそく割りますわね。卵を……!

voice: 1308920160 voice: 1308920161 ぐぬ、ぬ…………!やあっ……! ご覧ください、割れましたわ!

voice: 1308920170 湯島 まあ、叩いてヒビを入れることなく指の力だけで……! これは期待が持てますわね!

voice: 1308920180 氷川 暦お嬢様。落ち着いて、手順通りにまいりましょう。 卵液ができたらフライパンに油を引いて弱火です。

voice: 1308920190 ええ、お任せを!

voice: 1308920200 湯島 ……あらまあ。卵の扱い以外は、順調そのものですね。 看板役者ゆえの適応力とでも申しましょうか。

voice: 1308920210 氷川 ですね。ここまでは順調です、暦お嬢様。

voice: 1308920220 調理実習程度でも、体が覚えているものですわね。 勝手に苦手意識を抱いていただけかもしれません。

voice: 1308920230 あとはいよいよ、この卵液を……あら?

voice: 1308920240 氷川 いかがなさいましたか、暦お嬢様?

voice: 1308920250 このゆるゆるの卵液で綺麗に巻けるでしょうか? とろみをつけた方がよいのでは……?

voice: 1308920260 氷川 !慧眼です、暦お嬢様! 片栗粉を使うレシピもございますよ。

voice: 1308920270 ふふ。では片栗粉を……こちらですわね?

voice: 1308920280 氷川 お待ちを。それは小麦粉――むぐっ!?湯島さん!?

voice: 1308920290 湯島 その通り、まさしく片栗粉にございますよ! とっても『らしさ』が出ております!

voice: 1308920300 まあ、すごい。確かに綺麗に色づいてまいりましたわ。 それに……ご覧ください。私でも玉子焼きを巻けましたわ!

voice: 1308920310 湯島 素晴らしいパンケーキ……もとい玉子焼きです! 氷川さんも惚れ惚れするような出来ではなくて?

voice: 1308920320 氷川 え、ええ……。形はとても美しいかと……。

voice: 1308920330 ふふ。私自身、眠っていた才能に驚いておりますわ! では次は……栄養のバランスを考えて筑前煮にしましょうか。

voice: 1308920340 氷川 でしたら下準備は私もお手伝いを……。

voice: 1308920350 ありがたい申し出ですが、私にお任せいただけませんこと? ひとりでどこまでできるか、試してみたくなりまして。

voice: 1308920360 氷川 そ、そういったお考えでしたら承知いたしましたが……。

voice: 1308920370 湯島 楽しみですねぇ?ふふふ……。

voice: 1308920380 ……筑前煮というと難しいイメージがありましたが、 ひとつひとつこなしていけば簡単なものですわね?

voice: 1308920390 氷川 ええ、鳥と野菜を炒め、調味料と共に煮るだけです。 暦お嬢様、こまめにお味を見た方がよろしいかと。

voice: 1308920400 忘れていましたわ、ありがとう氷川。

voice: 1308920410 湯島 なぁんだ。なんの変哲もない筑前煮になってしまいそうですねぇ。 煮物と言えばお砂糖。であれば……と期待していましたけれど。

voice: 1308920420 氷川 味に期待をなさってください……。

voice: 1308920430 ……うん、お醤油の分量も問題ありません。 根菜類も火が通りましたわ。

voice: 1308920440 氷川 お見事です、暦お嬢様。見た目も美しい琥珀色ですね。 完成と言ってよろしいかと。

voice: 1308920450 …………。

voice: 1308920460 氷川 どうかなさいましたか?

voice: 1308920470 ……いえ。林シェフの筑前煮を思い出しておりまして。 あちらはもっと味に深みがあったのです。

voice: 1308920480 何かが足りない……。

voice: 1308920490 氷川 あの。暦お嬢様……?

voice: 1308920500 湯島 ええ、ええ!現状に満足しない飽くなき探究心! して、味に深みを出すために何をなさいますか!?

voice: 1308920510 煮込み料理に深みを出すには……そうです! 確か、湯島の食材の中に……。

voice: 1308920520 氷川 こ、暦お嬢様……? お尋ねしますが、もしやそれは……。

voice: 1308920530 桃の缶詰とチョコレートです。緋花里さんのご実家では、 カレーに深みを出すために入れると伺いまして。

voice: 1308920540 氷川 それはカレーだからで――!

voice: 1308920550 湯島 まあ、なんと見事な水平思考でしょう! 創造説を否定したダーウィンの進化論に匹敵する発想の大転換です!

voice: 1308920560 ふふ……できましたわ!私の筑前煮です! いかがでしょう、氷川、湯島!

voice: 1308920570 湯島 ブラボー!ブラボーにございます! 暦お嬢様の魅力が詰まった、愛らしい献立となりました!

voice: 1308920580 氷川 暦お嬢様……。 非常に申し上げにくいのですが、その筑前煮は……。

voice: 1308920590 ご心配には及びませんわ。 お弁当に詰める際は、粗熱を取るのですわよね?

voice: 1308920600 氷川 ……その通りです。

voice: 1308920610 ふふ。玉子焼きも筑前煮もうまく作れましたわね。 お二人のおかげで苦手意識が薄れましたわ。

voice: 1308920620 voice: 1308920621 さて、他の品も作ってお弁当を完成させましょう。 ぜひお二人にも感想を伺いたいのですが、よろしくて?

voice: 1308920630 湯島 喜んで、暦お嬢様らしさを堪能させていただきます! ですよね、氷川さん?

voice: 1308920640 氷川 ……ええ。深淵みある美味しさのあまり、 目を回さないようにいたします……。

voice: 1308920650 氷川はお上手ですね。ふふふ。