voice: 1402220010 voice: 1402220011 リリヤ かみかくし、とこよ……。 響きは美しいけど、少し怖い……。

voice: 1402220020 察しがいいですわね。 常世とは、この世ならざる世界のこと。

voice: 1402220030 voice: 1402220031 その光景は、時にこうも語られますの。 絵にも描けないほどの美しさだと。

voice: 1402220040 リリヤ 見てみたい……。

voice: 1402220050 気に入っていただけたようで光栄ですわ。 ですが、我々が常世を見ることは叶いませんの。

voice: 1402220060 常世は、迷い込んだら最期、戻ることはできない。 美しい異界に囚われ永遠にそこをさまようのです。

voice: 1402220070 リリヤ ごくり……。

voice: 1402220080 ……なあんて、冗談ですわ。 言い伝えに過ぎないおとぎ話です。

voice: 1402220090 リリヤ ……暦、常世についてもっと教えて。 美の楽園を見たい。きっと素敵なところだから。

voice: 1402220100 あの……話を聞いていまして? 根も葉もない嘘だとご説明しましたわよね?

voice: 1402220110 リリヤ 存在しないという証拠はないはず。 入口はどこ? ヒントはないの?

voice: 1402220120 まあ、よく創作物などで言及されているのは ひとけのない広場などですが……。

voice: 1402220130 リリヤ 行ってみよう。

voice: 1402220140 ああちょっとリリヤさん!?

voice: 1402220150 リリヤ 人の気配は……ない。 条件は満たしているはず……。

voice: 1402220160 だから常世はおとぎ話だと――

voice: 1402220170 はっ、誰か来ましたわ。隠れてください。

voice: 1402220180 少年 どうしたんだよ。こんなとこに呼び出して。

voice: 1402220190 少女 ……どうしても、伝えたいことがあって。

voice: 1402220200 ……うふふ。甘酸っぱい気配を察知ですわ。 ふふ、恋する女の子はいいですわね。美しくて。

voice: 1402220210 リリヤ つまり、あの女の子は常世の住民? なら、挨拶に――

voice: 1402220220 邪魔しちゃダメですわよ!? ここは空気を読む場面ですわ!

voice: 1402220230 リリヤ ? 空気には何も書いていないけど。

voice: 1402220240 そうではなく! とにかく見守ってくださいまし!

voice: 1402220250 少女 あなたのことが……好き……。

voice: 1402220260 ふふ、思ったとおりでしたわ。 美しい青春ですわね……。

voice: 1402220270 リリヤ なるほど。夏祭りの告白も、日本の美しさ。 暦、ちょっと私に告白してみてほしい。

voice: 1402220280 なんでですの!?

voice: 1402220290 リリヤ この国の美しさの研究。 暦は教えてくれると言った。ダメ?

voice: 1402220300 うっ、仕方ありません……。一度言い出したことを 反故にするなど、千寿の名が許しませんものね……。

voice: 1402220310 い、一度しか言いませんわよ。リリヤさん。

voice: 1402220320 voice: 1402220321 リリヤさん。私は……。 貴女のことを、愛しています……。

voice: 1402220330 ……こ、これで満足しましたの?

voice: 1402220340 リリヤ ……。

voice: 1402220350 き、聞いてますの、リリヤさん?

voice: 1402220360 少年 あ、ありがとう。 実は俺も……お前のこと、好きだったんだ。

voice: 1402220370 リリヤ あら、ふたりは両想いだったみたい。 暦も見た? 何か独り言を言ってたけど。

voice: 1402220380 は、恥のかき損ですわ……。

voice: 1402220390 リリヤ でも、わかった。ここは常世ではなさそう。 暦、他にヒントは?

voice: 1402220400 だから……。あとはもう、キツネを追うとか 万華鏡に呑まれるみたいな眉唾だけですわよ。

voice: 1402220410 リリヤ キツネはいない。でも万華鏡は買ってある。

voice: 1402220420 リリヤ 覗き込むと……きれいね。 呑み込まれそう……。

voice: 1402220430 リリヤ ……これで、呑み込まれたはず。 ここは常世? あなたは……常世の暦?

voice: 1402220440 ただの千寿暦ですわよ……。

voice: 1402220450 リリヤ そう、常世は遠いのね。 見たいのに見られないなんて、もどかしい。

voice: 1402220460 元来、そういうものかもしれませんわよ。 目には見えない。だからこそ美しいのだと。

voice: 1402220470 リリヤ 違う。そんなもの美しいとは言えない。 目で見て、触れられる。存在こそがすべて。

voice: 1402220480 ですが、リリヤさんも空想なさいましたよね。 絵にも描けない情景を思い浮かべたでしょう?

voice: 1402220490 リリヤ それはそうだけど……。

voice: 1402220500 遠き常世は誰の目にも見ることができない。 ゆえにこそ思い思いの美しい景色となる。

voice: 1402220510 リリヤさんを魅了したこの国の美しさは、 心の中にあるものだったのかもしれませんわね。

voice: 1402220520 リリヤ ……目に見えないけど、美しいもの。 私の心の中にも、ある?

voice: 1402220530 ええ、奥ゆかしい美に気づけたんですもの。 リリヤさんでしたら、すぐにでも会得できますわね。

voice: 1402220540 以上。おとぎ話はおしまい。めでたしめでたしですわ。 お分かりいただけました? 神秘的な美について。

voice: 1402220550 リリヤ ……目に見えなくとも美しいなら、 木々を揺らす風さえも美しいと言える?

voice: 1402220560 ええ。風は木々を、そして風車を回します。 何気ない日々の美しさに、リリヤさんは何を感じました?

voice: 1402220570 リリヤ ……風に呼ばれた気がした。 あっちに常世があるかもしれない。

voice: 1402220580 リリヤさんらしいですけれど、探究心も困りものですわ……。 あんまり遠くへ行っては神隠しに遭いますわよー?

voice: 1402220590 リリヤ だいじょうぶ。晩ごはんまでに帰ってくる。