voice: 1402820010 ラモーナ 静かだな。

voice: 1402820020 ……。

voice: 1402820030 ラモーナ 張り詰めた緊張もほぐれたか?

voice: 1402820040 ……そちらは? 2本目を終えて、落ち着けましたの?

voice: 1402820050 ラモーナ 落ち着かんな。むしろ小躍りしたいくらいだ。 仲間と芝居を楽しめた上で、あの高評価だからな。

voice: 1402820060 voice: 1402820061 ですわね。この正念場をよく耐えたものです。 あなたの実力は証明されましたわ、おめでとうございます。

voice: 1402820070 ラモーナ まさか、あの暦にこうも何度もほめられるとは! やはり私の熱意がお前の凍った心を――

voice: 1402820080 凍っていませんし溶けてもいません。いいものはほめるだけですわ。 実際、あなたの操役は見事なものでしたから。

voice: 1402820090 ラモーナ ああ、ともに舞台を作った皆あっての偉業だ。 友情こそが芝居を磨くものなのだ!

voice: 1402820100 ラモーナ なかでも暦、お前は常に私の道を照らし続けてくれた! この恩は必ず返そう。添い遂げる一生涯の友として!

voice: 1402820110 ひとつほめたら倍になって返ってくる…… あと勝手に生涯の友を名乗らないでくださいまし!

voice: 1402820120 ラモーナ ハハハ、手厳しいな。 だが、暦のおかげであることは事実だよ。

voice: 1402820130 ラモーナ 私は、自分の哲学を認めさせたかったのだ。 瓦も磨けば玉となる。切磋琢磨こそが演劇のあるべき姿だとな。

voice: 1402820140 ラモーナ お前も感じただろう? これまでとはひと味違う、観客の反応を。

voice: 1402820150 ……ええ。あの歓声を耳にしてしまえば あなたの哲学も無下にはできませんわ。

voice: 1402820160 ですが……そればかりが正解とも限らない。 私には私の、銀河座を守るという使命があります。

voice: 1402820170 ラモーナ 分かっているさ。何も私に従えとは言っていない。 私に哲学があるように、お前の美学も理解はできるのだ。

voice: 1402820180 ラモーナ 銀河座の看板の重みに、家柄による世間からの期待。 それでも暦は弱さを見せず、舞台に立ち続けている。

voice: 1402820190 …………。

voice: 1402820200 ラモーナ だからこそ、胸を借りて挑めたのだ。 普段以上の力を発揮できたのは暦のおかげだな。

voice: 1402820210 ……あなたを役者として鍛えていたのですわね、私は。

voice: 1402820220 ラモーナ いい友人であり、学ぶべき役者であり、最高のライバル。 お前にもそう思わせることが、今の私の目標だな。

voice: 1402820230 ……まあ、ともかく。

voice: 1402820240 あなたも千秋楽を無事に終えて、 少し気が楽になったのではなくて?

voice: 1402820250 ラモーナ ほう? あなたも、か。 気を揉んでいた者が他にもいるような物言いだな?

voice: 1402820260 揚げ足の取り方まで鍛えた覚えはありませんわよ?

voice: 1402820270 voice: 1402820271 ラモーナ ハハハ、そうだな。お前と話せてようやく落ち着けたよ。 今夜くらいは枕を高くして眠れるな、お互いに。

voice: 1402820280 ……そうさせてもらいますわ。

voice: 1402820290 ラモーナ だがその前に。 我らが仲間たちも安心させてやらないとな?

voice: 1402820300 まーた打ち上げのお誘いですのね…… もう何度もお断りしましたわよ?

voice: 1402820310 ラモーナ 1000回ダメでも1001回目がダメとは限らない。

voice: 1402820320 ラモーナ 雨垂れ石を穿つという諺の通りだ。 私は勝つまで諦めない。鍋パも、銀河座の看板もな。

voice: 1402820330 残念ながら、勝利はまだまだ遠いですわよ。 かぐや姫の待つ月へ届くと思っていまして?

voice: 1402820340 ラモーナ どこまでも追いかけて地上に連れ戻してやろう。 かぐや姫の幸せを、一番近くで願うのも悪くはない。

voice: 1402820350 ああ言えばこう言いますのね……。 あまりの諦めの悪さに言葉も出ませんわ。

voice: 1402820360 ラモーナ ならもっと言葉も語彙も失ってくれるか? 暦、ともに鍋を囲もう。返事はイエスだけで充分だ。

voice: 1402820370 帰りますわ。

voice: 1402820380 ラモーナ ……そうか。引き留めて悪かったな。 また誘うよ、気をつけて――

voice: 1402820390 ラモーナ ――待て。そっちは劇場だぞ? お前の家は反対方向だったはずだが……。

voice: 1402820400 荷物を取りに戻るだけですわ。 ただ、もし……。

voice: 1402820410 もし……私の行く手に火鍋が待ち受けていたら 避けて通ることはできないかもしれませんわね?

voice: 1402820420 ラモーナ ……なるほど。それは大変だ。 偶然、火鍋パーティに襲われてしまうという訳だな。

voice: 1402820430 言っておきますが、私は通りかかるだけ。 あなたの誘いに乗った訳ではありませんので。

voice: 1402820440 ラモーナ そういうことにしておこう。フフ……。