voice: 1409520010 初魅 『モジラVSビジランテ』……なかなか良い映画だったな。

voice: 1409520020 voice: 1409520021 おっ。初魅もそう思った? しっかりエンタメしてて、観てて気持ちよかったよね~。

voice: 1409520030 初魅 怪獣映画というものはほとんど観たことがなかったが、 演出家として学ぶべき点も多かった。

voice: 1409520040 初魅 良いインスピレーションを受けたよ。 次の舞台の参考にさせてもらおう。

voice: 1409520050 『サロメ』が終わったばっかりだってのに、もう次の公演の話? 初魅はやる気まんまんだね~。

voice: 1409520060 初魅 ……いや、よそう。 せっかくのデートだ。水を差してしまっては意味がない。

voice: 1409520070 いやいや、そんなことないでしょ。 初魅が舞台の話しないとか、逆に気になっちゃうって。

voice: 1409520080 初魅 そちらこそ、私のことは気にしなくていい。 今日はお前を楽しませると決めてきたんだからな。

voice: 1409520090 初魅 そうだ。何かプレゼントを買ってやろう。 それもデートの醍醐味だ。

voice: 1409520100 え~? 欲しいものなんて特に無いしな~。

voice: 1409520110 初魅 遠慮するな。私が買ってやりたいんだ。 好きなものを選べばいい。

voice: 1409520120 初魅 悪いが、引くつもりはないぞ? プレゼントが見つかるまで、帰るつもりはない。

voice: 1409520130 ここは強引なんだねぇ……。

voice: 1409520140 (でも、ようやく初魅らしいところを見られた気がする)

voice: 1409520150 (ふふっ……これでホッとしてるアタシも、どうなんだって話だけど)

voice: 1409520160 初魅 どうした? 何か面白いことでもあったか?

voice: 1409520170 いや、こっちの話だから気にしないで。

voice: 1409520180 それじゃお言葉に甘えて、プレゼントしてもらおっかな。 ずっとここにいるわけにもいかないし。

voice: 1409520190 初魅 よし! そうと決まれば、さっそく店を見て回るぞ!

voice: 1409520200 こんな風にショッピングモールをブラつくのも楽しいもんだね。 普段は行かないようなお店にも入れるしさ。

voice: 1409520210 voice: 1409520211 初魅 楽しんでもらえたなら何よりだ。 欲しいものは決まったか? 

voice: 1409520220 うん、ばっちり。この部屋着用のシャツと靴下にするよ。

voice: 1409520230 初魅 それでいいのか? 本当に?

voice: 1409520240 ちょっとちょっと、部屋着をバカにしちゃいけないよ? リラックスするためにも、大切なアイテムなんだから。

voice: 1409520250 初魅 そう言って、こちらに遠慮しているのはわかっているぞ? もっと良いものを選べ。

voice: 1409520260 voice: 1409520261 も~、好きなのでいいって言ったのは初魅じゃん。 アタシはこれがいいんだってば。

voice: 1409520270 voice: 1409520271 初魅 ……そうだったな。口出しが過ぎた。 容が欲しいものが一番だ。

voice: 1409520280 う、うん……。

voice: 1409520290 初魅 包んでもらってくる。少し待っていろ。

voice: 1409520300 さっきと違って、また変に優しい初魅に戻っちゃった……。

voice: 1409520310 初魅 他に、どこか寄りたいところはないか?

voice: 1409520320 いや~、もう充分だよ。

voice: 1409520330 初魅 そうか。では、家まで送る。

voice: 1409520340 うん。ありがと。

voice: 1409520350 初魅 ……………。

voice: 1409520360 ……………。

voice: 1409520370 初魅 …………………。

voice: 1409520380 ……あー、もう無理! 耐えらんない!

voice: 1409520390 初魅 な、なんだ? どうかしたか?

voice: 1409520400 それはこっちのセリフだっての! 今日の初魅、ちょっと変すぎでしょ!? 

voice: 1409520410 いつもの調子と全然違うじゃん! こっちの言う事ばっか聞いて、なんだかずっと優しいし! 

voice: 1409520420 初魅 そんなことは――

voice: 1409520430 初魅 ……いや、確かにお前の言う通りだ。 今日の私は、どこかおかしい。

voice: 1409520440 理由はなんなの? 悩み事なら相談に乗るよ? 

voice: 1409520450 初魅 ふふっ……悩みのタネ本人にそう言われては、 白状するしかないな。

voice: 1409520460 え?

voice: 1409520470 初魅 陳腐な言い方になるが……お前と仲直りがしたかったんだ。

voice: 1409520480 は?

voice: 1409520490 初魅 『サロメ』が最高の千秋楽を迎えたことで、 お前との関係も、今まで通りに戻れると思っていた……。

voice: 1409520500 voice: 1409520501 初魅 だがそうはならなかった。 少なくとも私は、以前のような感覚に戻れていない。

voice: 1409520510 (初魅も……アタシと同じだったってこと……?  ふたりの間に、ぎくしゃくしたものを感じて……)

voice: 1409520520 初魅 だから今日は、きっかけ作りをしたかったんだ。 お前と遊びに出かければ、何かチャンスがあるのではと思ってな。

voice: 1409520530 初魅 だが、逆に気を遣わせてしまっていたようだ。 自分としては、もう少し上手く立ち回れると思っていたんだが……。

voice: 1409520540 今日、初魅が変だった理由って……。 もしかして、柄にもなく緊張してたから……? 

voice: 1409520550 初魅 どうやらそうらしい。 私ともあろうものが、情けない話だ。

voice: 1409520560 ぷっ……! ふふ……ふふふふ……あははははっ! 

voice: 1409520570 初魅 意を決して白状したのに、笑うなんて酷いやつだ。

voice: 1409520580 ご、ごめんごめん! 初魅らしからぬ発言が、なんかツボっちゃって。

voice: 1409520590 そっか。初魅も、そういうこと思うんだ。

voice: 1409520600 初魅 ……だからと言って、気を遣わなくていいからな。 お前は好きなように接してくれ。

voice: 1409520610 voice: 1409520611 それはこっちのセリフ。 変に気を遣うとか、もう勘弁してよ。

voice: 1409520620 いつもの初魅でいてくれたほうが……アタシも助かる。

voice: 1409520630 (初魅がそう思ってくれてるんなら、  アタシも……一歩踏み出さなくちゃね)

voice: 1409520640 初魅 ……そうか。 では、そうさせてもらう。

voice: 1409520650 ちょいちょい! いきなり道曲がって、どこ行くつもり? アタシんち、こっちの方向じゃないんだけど。

voice: 1409520660 初魅 もう少しデートに付き合ってくれ。 このままでは、どうにも消化不良でな。

voice: 1409520670 ……仕方ないなぁ。あと少しだけだよ?