voice: 1410610010 ラモーナ …………。

voice: 1410610020 ラモーナ 和解させたかった。それだけだったんだがな。

voice: 1410610030 ラモーナ (カトリナもクリスも、ドイツ時代とは変わった。  互いに角が取れた今ならばと、そう思ったが……)

voice: 1410610040 クリスティーナ 今日の舞台、主演は良かったわ。 けどあなたの芝居は独りよがり。お仲間が可哀想ね。

voice: 1410610050 カトリナ アンタ、相変わらずなのね。アタシが独りよがりで仲間が可哀想?  性根が曲がってるから、そう見えたんじゃない? 

voice: 1410610060 クリスティーナ ……でもごめん。やっぱり、あの子の顔を見たくない。 カトリナと話すと、冷静でいられない自分を嫌いになりそう。

voice: 1410610070 皆が皆、救いを求めている訳ではありません。 カトリナさんが、そんな風に助けを欲しがっている人だと? 

voice: 1410610080 voice: 1410610081 人は自分の行いに責任を持ちたいからこそ、過去を悔いるのでは?  あなたがかくあるべしと思ったことが正解とは限らない。

voice: 1410610090 ラモーナ (結局、暦や雪の言う通りだった。  復縁どころか、余計に拗らせてしまったのは――)

voice: 1410610100 ラモーナ 私のせいだ。

voice: 1410610110 ラモーナ ……どうすればよかったんだ、私は。 見て見ぬふりをして、触れずに過ごせと言うつもりか……。

voice: 1410610120 ラモーナ …………。

voice: 1410610130 ラモーナ (ふたりにあんな顔をさせたのは、他ならぬ私だ。  今さら言い訳に過ぎないが、謝る他はない)

voice: 1410610140 ラモーナ …………。

voice: 1410610150 ラモーナ せめて通話に出てくれ、クリス……。

voice: 1410610160 ラモーナ ……出ないか。

voice: 1410610170 ラモーナ カトリナは……。

voice: 1410610180 ラモーナ ……出る訳がない。当然の報いか……。

voice: 1410610190 ラモーナ (メッセージ、クリスから。  開くのが怖いな……)

voice: 1410610200 クリスティーナ 『何かあった?』

voice: 1410610210 ラモーナ …………。

voice: 1410610220 ラモーナ 『嫌な思いをさせてしまった。申し訳ない』

voice: 1410610230 クリスティーナ 『先に帰っちゃってごめんね。  また、ふたりで遊び行こ』

voice: 1410610240 クリスティーナ 『オーディション受かったら、ラミーにチケット送るよ。  観に来て』

voice: 1410610250 ラモーナ (カトリナの話はしないんだな……。  あんな別れ方をしたから、とは言え……)

voice: 1410610260 ラモーナ 『カトリナは――』

voice: 1410610270 ラモーナ (……出過ぎた真似だ。  送るべきは、こんなメッセージじゃない……)

voice: 1410610280 ラモーナ 『いい結果を祈っている』

voice: 1410610290 ラモーナ ……今は、クリスにとっても大事な時期だ。 心を乱すようなことを送るべきじゃない、分かっている……。

voice: 1410610300 ラモーナ 分かっているが……。

voice: 1410610310 ラモーナ カトリナにも、謝罪だけでも送っておかねばな……。

voice: 1410610320 ラモーナ 『突然楽屋に押しかけてすまなかった』

voice: 1410610330 カトリナ 『アンタのせいじゃない』

voice: 1410610340 カトリナ 『おやすみ』

voice: 1410610350 ラモーナ 声を聞かせてはくれないんだな。 クリスも、カトリナも……。

voice: 1410610360 ラモーナ (……枕に頭を埋めたって何も解決しないだろう。  なのに何をやっているんだ、私は……)

voice: 1410610370 ラモーナ (天井が滲んでいる……)

voice: 1410610380 ラモーナ ……泣きたいのはふたりの方だろう、お前じゃない。

voice: 1410610390 ラモーナ ヒビの入った皿を、使い続けることはできない。 一度亀裂が走れば、もう元のようには戻らない……。

voice: 1410610400 ラモーナ 私には……カトリナもクリスも救えなかった……。 それどころか壊して、傷つけて……。

voice: 1410610410 ラモーナ ……詫びたところで、済む話ではない。 すまない。すまない……。

voice: 1410610420 ラモーナ ……こんなもの、許してほしいだけだ。 そんなに我が身が可愛いか、ラモーナ・ウォルフ……。

voice: 1410610430 ラモーナ ……ふたりに詫びたい。詫びなければならない。 だが、どんな顔をして会えばいいんだ……。