voice: 1415910010 ……いつまで目を背けているつもりだ。 窓を閉ざして闇に揺蕩い、お前は前に進めるのか。

voice: 1415910020 ならば私が目になろう。お前を照らす光になろう! さあ、見るがいい。これがお前の愛した世界だ! 

voice: 1415910030 ここまでがシュヴァリエ――ラモーナさんの芝居。 ここで窓を開け放ち、場面転換。

voice: 1415910040 窓を開け、シュヴァリエは姫に景色を見せる。 眼下に集った民達は彼女の帰還に歓声を……。

voice: 1415910050 あら?何故稽古場の窓が開いて……。

voice: 1415910060 ……ああ、お芝居に引っ張られて開けてしまったのですね。 集中しすぎて、視野が狭まっているのでしょう。

voice: 1415910070 ふう……。 ……知りませんでしたわ。稽古場の窓から庭が見えるなんて。

voice: 1415910080 この間まで夜桜が明るく照らされておりましたが、 今は灯籠の仄明かりだけ……。

voice: 1415910090 (桜が散ると、ようやく安心できる。 それは千寿家に生まれた者の、宿命とも呼べるものでしょう)

voice: 1415910100 (私にとって花見は、気を張るだけのもの。 満開の桜は、この家で果たすべき役割を思い出させるもの)

voice: 1415910110 (花見を理由に賓客を招き、千寿の者がもてなす習わし。 花見を楽しむ余裕などあるはずもない……)

voice: 1415910120 ラモーナ 暦と桜を見たかったんだ。

voice: 1415910130 桜をただ美しいと喜ぶ、そんな日が私に来るだなんて。

voice: 1415910140 (……嫌ではありませんでした。桜の楽しみ方と、 遠慮する必要のないお花見もあると知れたから)

voice: 1415910150 (団員とお花見だなんて。 これまでの銀河座ではあり得ないことですが……)

voice: 1415910160 ……銀河座は変わり始めましたのね。

voice: 1415910170 (ごく一部ですが、団員の皆さんの意識が変わり始めた。 演劇のみに取り組ませる厳格な方針も軟化した)

voice: 1415910180 (運営の皆さんの意図は理解できる。 伝統も革新も、お客様を呼べないと意味がない)

voice: 1415910190 想定以上に重たいものになりましたわね。 サンクルーガイドは……。

voice: 1415910200 (銀河座は、伝統と革新の両立を評価されてしまった。 それは今後も、危ういバランスを求められるということ)

voice: 1415910210 (銀河座の伝統を守りたい。 そして世間の評価を守りたい)

voice: 1415910220 (これまでは、伝統を守ることこそが評価に繋がった。 だけれど世間はもう、伝統だけでは満足しない)

voice: 1415910230 (銀河座は……私は、どうすべきなのでしょう。 伝統を守りながらも、世間の評価を守る手立ては……)

voice: 1415910240 …………。

voice: 1415910250 ……いいえ。役者としてまだまだ未熟なのに、 運営や世間に口を出すなど言語道断です。

voice: 1415910260 私は為すべきことを為す。重たい看板だろうと守り抜く。 そうお約束しましたものね。

voice: 1415910270 まあ、そう告げると決まって仰りますわよね。 『暦の重責を分かち合えずとも、傍にいることはできる』と。

voice: 1415910280 …よく言えたものです。 貴女のせいで看板がより重くなっているとも言えますのに……。

voice: 1415910290 (それでも、重たい看板は悪いことではないはず。 世間は私以外の方々にも目を向け始めたから)

voice: 1415910300 (ラモーナさんがもたらした変化は、皆さんの意識を変えた。 そして銀河座全体に確実に根付きつつある)

voice: 1415910310 (もしかしたら私もラモーナさんの影響を……)

voice: 1415910320 ……なんて、あり得ない話ですわね。 そこまで考えているようには思えませんもの。ふふ……。

voice: 1415910330 氷川 何があり得ないお話なのでしょう。 失礼ながら、お伺いしても?

voice: 1415910340 voice: 1415910341 !氷川でしたか……。 ええと、何かありました?

voice: 1415910350 氷川 物思いに耽っておられたので控えるべきかと思いましたが、 お風呂が入りましたのでお伝えに。

voice: 1415910360 お風呂の知らせだったのですか? であればいきなり話しかけずともよいのでは……?

voice: 1415910370 氷川 いえ、生まれも育ちも東京の暦お嬢様です。 熱い一番風呂を好まれるかと思ったもので。

voice: 1415910380 それほど江戸っ子でもありませんわよ。

voice: 1415910390 氷川 後片付けは私が行っておきます。 どうぞごゆるりとお寛ぎくださいませ。

voice: 1415910400 ありがとう、氷川。ではお言葉に甘えて。

voice: 1415910410 氷川 ……ふふ。自然に笑みをこぼされるようになりましたね。 暦お嬢様。