voice: 1425020010 帰っていたのですね。 稽古に集中していて、気づきませんでしたわ。

voice: 1425020020 いろは い、いえ、僕もさっき帰って来たばかりだったので……! それよりも、お稽古の邪魔しちゃってすみません……。

voice: 1425020030 いいんですよ、気にしないで。 むしろ、稽古場を使うのでしたら言って下されば良かったのに。

voice: 1425020040 いろは いや、あの……僕はたまたま通りかかっただけで……。 それに、練習はお部屋でやるつもりでしたから。

voice: 1425020050 部屋で、ですか……。

voice: 1425020060 ねえ、いろはさんさえ良ければ、私の稽古に付き合って貰えませんか? お互い、ひとりで練習するよりも身になるでしょう?

voice: 1425020070 いろは 僕が姉さんと一緒に……ですか!? でも、僕なんかが相手では、姉さんの足を引っ張ってしまうんじゃ……。

voice: 1425020080 まさか、そんなこと……だっていろはさんは、 あんなに素晴らしい演技ができるではありませんか。

voice: 1425020090 きっと私にとっても、良い刺激になりますわ。

voice: 1425020100 いろは 『あんなに』って……僕の舞台、観に来てくれたんですか?

voice: 1425020110 えっ!? あっ、いえ……それは、ですね……。

voice: 1425020120 (……どうしましょう。  ここで正直に言ってしまって良いのかしら……)

voice: 1425020130 (もし私がこっそり、いろはさんの舞台を観劇していたと知って、  それでいろはさんは、嬉しいと思ってくれるでしょうか……?)

voice: 1425020140 …………。

voice: 1425020150 (そういえば以前……電姫の美兎さんから、  『直接感想を』と、言われたことがありましたね……)

voice: 1425020160 (『きっと喜ぶから』と……)

voice: 1425020170 (これまで私は、いろはさんの事に干渉するべきではないと、  演技についての感想なども、あえて伝えずにいましたが……)

voice: 1425020180 (おばあさまに対して、電姫の持つ力を示してみせると言い切った、  今のいろはさんに……きちんと本心を伝えなくて、本当に良いの……?)

voice: 1425020190 いろは 姉さん……?

voice: 1425020200 いろはさんの仰る通り、ですわ……。 私はいろはさんたち、電姫の舞台を観ました。

voice: 1425020210 『オズの魔法使い』の演目で、 いろはさんがオズ役を演じて輝いている姿を……。

voice: 1425020220 いろは え…………ええーっ!?

voice: 1425020230 あの舞台は本当に素晴らしかったです。 役者の演技も、脚本も演出も、全て……。

voice: 1425020240 ……今まで私は、姉としていろはさんに何もしてあげられなかった。 支えになってあげることも、守ってあげることも……。

voice: 1425020250 いろは そんなことないです……っ! 姉さんは……っ!

voice: 1425020260 ……ありがとう、いろはさん。 でも、事実だと思うの。……だから。

voice: 1425020270 だからこそ、今は……あなたの背中を押すことで、 少しでも力になりたいと思っているのです。

voice: 1425020280 いろはさん、あなたは自分で思う以上に、素晴らしい役者ですわ。 私にも、この家にも気負う必要などないくらい。

voice: 1425020290 でなければ、ダイスターと同じ舞台には立てていない。 そうでしょう?

voice: 1425020300 いろは ……!

voice: 1425020310 いろは (……そっか。僕はもうダイスターと一緒の舞台で演技をしてるんだ。  みとちゃんと、一緒に……)

voice: 1425020320 それに、おばあさまに実力を認めて貰いたいのであれば、 私の足を引っ張る、なんて……謙遜していてはいけませんわ。

voice: 1425020330 いろは 確かに……そうですよね! 姉さんの言う通りです! 役者として褒めていただいて……ありがとうございます!

voice: 1425020340 いろは お稽古、ぜひ一緒にやらせて下さい!

voice: 1425020350 ええ、もちろん。 ……では、さっそく準備を。

voice: 1425020360 いろは はいっ! あっ、そうだ……ダイスターの祭典の公演、 台本を僕が見ても大丈夫なんでしょうか……?

voice: 1425020370 あら、知りませんでしたの? いろはさん。 ダイスターの祭典で使用される台本は例外的な扱いになっているのです。

voice: 1425020380 審査員だけでなく、観客も対象の役者の表現力を正確に感じる為、 そして台本自体の質を皆様に保証するという目的で公開されているのです。

voice: 1425020390 いろは あ、ほんとだ……調べてみたら公式サイトに載ってます! 知りませんでした……でも、それなら安心ですね!

voice: 1425020400 いろは それじゃ、少しだけ待ってください。 内容に目を通しますから……!

voice: 1425020410 ええ、お願いしますね。 いろはさん。

voice: 1425020420 いろは 『どうやらゼウス様はあの少女のことを勘違いしているご様子。  これを利用して、ゼウス様をからかってやるのはどうでしょう?』

voice: 1425020430 『ほう……? ヘルメス、君は何を企てるつもりだい?  詳しく教えてくれないか』

voice: 1425020440 いろは 『なに、簡単なことです。  何も知らぬふりをして、ヘラ様とゼウス様を引き合わせてやるのです』

voice: 1425020450 いろは 『お前の望んでいた巫女とやらを連れて来たぞ……と言ってね。  ゼウス様はさぞ大喜びするでしょう! 若い姿のヘラ様を見て』

voice: 1425020460 『はっはっはっ! なかなか面白いことを考える。  いいだろう、話に乗ろうじゃないか』

voice: 1425020470 いろは (姉さんとのお稽古……久しぶりだけど、やっぱり楽しいな。  こうしてるとまるで、銀河座にいた頃みたい……)

voice: 1425020480 ……ほら、言ったでしょう? あなたはもう私にも負けない、ひとりのれっきとした役者。

voice: 1425020490 何も気負う必要はありませんよ。 周囲の目など気にせず、この稽古場だって自由に使うべきです。

voice: 1425020500 ここはあなたの家……あなたも立派な千寿家の役者なのですから。

voice: 1425020510 いろは 僕もれっきとした、千寿家の役者……。 まだあまり実感は湧きませんが……。

voice: 1425020520 いろは でもさっきのお稽古で、少し自信が出たような気がします! 僕ももっと、堂々としていても……いいんですよね?

voice: 1425020530 当然ですわ。私が認めた役者なのですから。

voice: 1425020540 voice: 1425020541 いろは ありがとうございます、姉さん! ……はぁ、思いきりお稽古したら、なんだか汗かいちゃいました。

voice: 1425020550 いろは 僕、お先にお風呂に入ってきますね!

voice: 1425020560 (そういえば……最近おばあさまは、稽古場の近くをあまり通りませんね。  もしや、いろはさんが稽古場を使っても、顔を合わせないように……?)

voice: 1425020570 (いえまさか、おばあさまに限って、それは……――)

voice: 1425020580 ……。

voice: 1425020590 (おばあさまも、いろはさんの演技を見定めるつもりなのでしょう。  ……世界演劇リーグ、楽しみですわね)