voice: 20003040010 八恵 『アメリカンジョーク~これでパーティーの主役!~』『落語百選』…… 『ボケの流儀』『古今東西のダジャレ』……これだけあれば大丈夫そうですね。

voice: 20003040020 八恵 アメリカンジョークは……なんだかぱんださんと流石さんみたいですね。 こういったポンポンとやり取りできる関係、やっぱり憧れます。

voice: 20003040030 八恵 落語は話の流れの面白さで、人を引きつけるということなんでしょうか……。

voice: 20003040040 八恵 それから勘違いボケに……あ、子ども向けのジョークもありますね。

voice: 20003040050 八恵 『ぬいぐるみが喋るなど、絶対にありえないことを真顔で言う』 『相手が笑って否定しても、そのまま真顔で言い続ける』……ですか。

voice: 20003040060 八恵 なるほど、絶対にありえないボケなら子どもにもわかりやすいですし、 何度も繰り返すことで、笑いに深みがでそうですね。

voice: 20003040070 八恵 どれもとっても興味深いですが……。

voice: 20003040080 八恵 問題は、この本の内容をどう会話に役立てるかですね……うーん……。

voice: 20003040090 八恵の母 八恵、今、お勉強中?

voice: 20003040100 八恵 いいえ。どうしましたか?

voice: 20003040110 八恵の母 ちょっと手伝ってもらいたいことがあるんだけれど。いいかしら?

voice: 20003040120 八恵 この箱の中身を確認するんですね?

voice: 20003040130 八恵の母 ええ。今度教会でバザーをするんですって。 うちもお手伝いしたいと思って。もう使わなくなったものを出そうと思うの。

voice: 20003040140 八恵の母 あなたの物もあるから、確認してくれるかしら?

voice: 20003040150 八恵 はい……わあ、懐かしい。おままごとセット!

voice: 20003040160 八恵 たしか、幼稚園の頃に買ってもらったんでしたよね。

voice: 20003040170 八恵の母 ふふ。あなた、よく料理屋さんしてたわ。 昔からごっこ遊びが好きだったわよね。

voice: 20003040180 八恵 そうでしたっけ? あまり覚えてなくて……。

voice: 20003040190 八恵の母 あら、この動物の人形でもよく家族ごっこしてたわよ。 お父さんとお母さんと双子の兄妹って言ってたわね。

voice: 20003040200 八恵の母 ピクニックに行くときも連れて行ったりして……。 ふふ、確かバスケットに隠してたわ。

voice: 20003040210 八恵 あ、それは覚えています。 荷物が増えちゃうからひとつだけって言われたのに、家族全員のほうがって――

voice: 20003040220 八恵 (はっ! 今まさに、さっき本で勉強した成果を  試すチャンスなのでは……!?)

voice: 20003040230 八恵 (わかりやすいボケなら、きっとお母さんも気づいて笑ってくれるはず……!  なら、私が挑戦するボケは……これしかありませんっ!)

voice: 20003040240 八恵 家族を離れ離れにするなんてひどい! それでも人の心を持ってるの!?

voice: 20003040250 八恵の母 え?

voice: 20003040260 voice: 20003040261 八恵 僕たちは仲良し家族! いつでも一心同体! ……って、お人形さんたちに言われたので、仕方なかったんですよ。

voice: 20003040270 八恵 (さあ、どんな反応でしょう……! 勉強の成果はいかに……!)

voice: 20003040280 八恵の母 突然どうしたの。人形が喋るなんて……。 そんなことあるわけないでしょう?

voice: 20003040290 八恵 (ふふふ……ここまでは想定内の反応です。  ですが、このジョークの決め手は相手が否定しても続けること!)

voice: 20003040300 八恵 (ですので、あともう一押し!  お母さんをどっかんどっかん笑わせちゃいます!)

voice: 20003040310 八恵 でも、私が持ってるお人形って、結構おしゃべりだったんですよ。 夕飯のシチューはご飯にかけるか、かけないかで喧嘩したり……。

voice: 20003040320 八恵の母 人形が……夕飯シチューのことで喧嘩……?

voice: 20003040330 八恵 (あ、あれ? お母さん困った顔してます……。まさか、滑ってる?  でも、ここから持ち直さなくては……!)

voice: 20003040340 八恵 そうなんです。仲良し家族がお夕飯のことで喧嘩なんて、面白い……ですよね?

voice: 20003040350 八恵の母 八恵、あなたもしかして……。

voice: 20003040360 八恵 (……! やっと冗談だってわかってもらえた!?)

voice: 20003040370 八恵の母 このお人形、出品したくないの?

voice: 20003040380 八恵 え?

voice: 20003040390 八恵の母 ふふ、大丈夫よ。あなたが渡したくないものまで出品する気はないんだから。

voice: 20003040400 八恵 お母さん?

voice: 20003040410 八恵の母 お喋りする人形じゃなくても、ちゃんとしまっておくからね。

voice: 20003040420 八恵 (あ、あれ……? これって、勘違いされてますか!?)

voice: 20003040430 八恵 違うんです、そういうことじゃなくて……!

voice: 20003040440 八恵の父 どうしたんだい、大きな声を出して。

voice: 20003040450 八恵 あ、お父さん……おかえりなさい。

voice: 20003040460 八恵の母 ふふ、八恵ったらね、 人形を手放したくないから、人形がお喋りするなんて言って――

voice: 20003040470 八恵の父 はは、可愛らしいじゃないか。

voice: 20003040480 八恵の父 それに、八恵が言うことなんだから、本当かもしれないよ。

voice: 20003040490 八恵 お父さん、これは冗談で――

voice: 20003040500 八恵の父 本当に聞こえてたとしたら、その感受性が演技に役に立ってるのかもしれない。 我が娘ながら、素晴らしい才能だ。

voice: 20003040510 八恵の母 ふふふ、確かにこの子はそういうところあるわ。 不思議の国のアリスのウサギ役をする時は、学校のウサギを毎日見てたりね。

voice: 20003040520 八恵の父 ああ。八恵はきっとウサギに話しかけたりして役作りを――

voice: 20003040530 八恵 (い、今さら冗談でしたなんて言えない雰囲気です……!)

voice: 20003040540 八恵 ……やっぱりうまくいきません。 どうして私の冗談は真面目に受け取られてしまうんでしょうか。

voice: 20003040550 八恵 でも皆さんに妙に誤解されてしまったり、 ほめられたりするだけの関係は嫌です……。

voice: 20003040560 八恵 もう少し練習すれば、ちょっとは上手くなるはずです。 よーし、明日も頑張りますよ!