voice: 20005070010 美兎 (ん……朝?)

voice: 20005070020 voice: 20005070021 美兎 稽古行かなきゃ! って、お休みもらったんだっけ……。ふう……。

voice: 20005070030 美兎 ……さっき見た夢……懐かしいな。 いろはちゃんと、出会った頃の……。

voice: 20005070040 いろは うーん……。

voice: 20005070050 千寿、さっきから何をしてるんだ?

voice: 20005070060 いろは わあっ!

voice: 20005070070 いろは ふたりとも、そこにいたんですね……!

voice: 20005070080 カミラ どーせみとりんの様子が気になって、連絡しようとしてたんでしょ? ふたりはいつもニコイチだもんね。

voice: 20005070090 いろは はい。なんだかみとちゃんがそばにいないの、不思議な感じで。

voice: 20005070100 いろは でも……。 なんてメッセージ送ればいいのか、わかんないんです。

voice: 20005070110 いろは みとちゃん、最近何か悩んでる気がするんですが……。 僕が聞いていい雰囲気でもなくて……。

voice: 20005070120 いろは それに僕は、みとちゃんみたいなセンス、持ってないですし……。

voice: 20005070130 お前たちは、唯一無二の友なんじゃないのか?

voice: 20005070140 その者に問いかけ、手を差し伸べることをなぜためらう必要がある。 センスのあるなし関係なく、お前たちは友になったのだろう?

voice: 20005070150 いろは 友……そうですね。

voice: 20005070160 白丸が自分から話せないのなら、千寿がしつこく聞いてやればよい。 本人が気づいていないだけで、助けが必要なのかもしれないしな。

voice: 20005070170 カミラ 蕾先輩、かっけー。

voice: 20005070180 いろは 僕……なんで悩んでたんだろう。

voice: 20005070190 いろは 今からみとちゃんに電話してきますっ!

voice: 20005070200 カミラ え、電話?  お昼休みもうすぐ終わるよって……行っちゃった。

voice: 20005070210 まあ、上には私たちから言っておこう。

voice: 20005070220 美兎 (よし。『小公女』にまつわる作品は観ておさらいしたし……。  絵本に小説も……図書館で借りてきたから、集まった)

voice: 20005070230 美兎 (まだ、役になりきるための情報が足りないのかも)

voice: 20005070240 美兎 お休みするよう言われたけど、今できることをやらなきゃ、だよね。 ……いろはちゃんのためにも。

voice: 20005070250 voice: 20005070251 美兎 あっ、いろはちゃんから電話だ……。 もしもし?

voice: 20005070260 いろは みとちゃん! 僕ですっ。いろはです。

voice: 20005070270 美兎 稽古中に、どうしたの? 何か……あった?

voice: 20005070280 いろは いえ……。そういうわけじゃないんですけど。 みとちゃんは、今何してますか?

voice: 20005070290 美兎 美兎は……『小公女』について調べてたんだ。 明日には、調子戻せるようにするから。

voice: 20005070300 voice: 20005070301 いろは あの……。 みとちゃんのほうこそ、何かあったんじゃないですか?

voice: 20005070310 美兎 ……えっ?

voice: 20005070320 いろは 前に、学校で落ち込んでるように見えました。 あれからずっと、様子が気になっていて……。

voice: 20005070330 いろは 僕に話せることだったら、何があったか教えてほしいんです。 だって僕たちは、親友なんですから。

voice: 20005070340 美兎 いろはちゃん……。うん、そうだね。

voice: 20005070350 美兎 実は前に、クラスの子が話してるの、聞いちゃったんだ。 美兎が舞台に立つのは意外だって。

voice: 20005070360 美兎 自分でも、そう思う。いろはちゃんに出会うまで、 美兎はもっと暗くて、今より、うまく話せなかったから……。

voice: 20005070370 voice: 20005070371 美兎 電姫に入れたのも、役を下ろせるってセンスを見込まれたからだし……。 わかってることなのに……少しへこんじゃって。

voice: 20005070380 美兎 こんな弱気で、だめ……だよね。

voice: 20005070390 いろは ……いいえ。僕は、センスを持ってないので、 みとちゃんの気持ちの全部はわかりませんが……。

voice: 20005070400 いろは でも、役を下ろしているみとちゃんを見ているとドキドキします。 時には、美しく心優しいレイラ姫、時には、気高く強い小公女セーラ……。

voice: 20005070410 いろは そんな風に違う存在になりきれるみとちゃんを見ていると、 僕はすっごくワクワクして、自分も熱くなれるんです。

voice: 20005070420 美兎 そう、なの?

voice: 20005070430 いろは はいっ。 みとちゃんがそのセンスを持ってるのは、絶対意味があります。

voice: 20005070440 いろは 普段のみとちゃんも、全部込みで僕は大好きです。 だから、自信を持ってほしいです!

voice: 20005070450 美兎 全部、込みで……。

voice: 20005070460 いろは 白丸さんも、映画を観て、こうなれたらいいなって思うんですよね! その気持ちこそ、大切なんですよ!

voice: 20005070470 美兎 そっか、美兎が役を下ろせるのは……。

voice: 20005070480 美兎 (きっと、こうなりたいって強く願うからなんだ)

voice: 20005070490 いろは みとちゃん?

voice: 20005070500 voice: 20005070501 美兎 自分のこと、少しわかった気がする。 美兎、周りの声ばかり気にして、役に向き合いきれてなかったかも……。

voice: 20005070510 美兎 ありがとう、いろはちゃん。 忘れてたこと……思い出させてくれて。