voice: 20007080010 初魅 まさか見送りしてくれるなんてな。

voice: 20007080020 何かおかしいですか?

voice: 20007080030 初魅 いや、素直に嬉しい。自分で言うのもなんだが、 お前は私と肩を並べて演じられる数少ない役者だからな。

voice: 20007080040 初魅 主義は対立しても、仲間のように思っていたよ。

voice: 20007080050 私にとってあなたはライバルです。 挨拶ぐらいはしようと思っただけですわ。

voice: 20007080060 voice: 20007080061 ……本当は行くか迷いました。 てっきり、あなたに嫌われていると……。

voice: 20007080070 初魅 嫌ってないさ。

voice: 20007080080 初魅 お前が根は優しい奴なのを知ってる。 私がいずれこうなることを心配してくれてたんだろ。

voice: 20007080090 だから心配してません。 私は連尺野さんの言うような優しい人間ではありませんわ。

voice: 20007080100 初魅 そうかい。

voice: 20007080110 voice: 20007080111 ただ……あなたが銀河座を辞めてしまうのは、 とても残念です。

voice: 20007080120 初魅 ここに居ても、私のやりたいことはできないしな。

voice: 20007080130 辞めるのなら、綺麗に辞めてください。 客演として呼びづらくなるではないですか。

voice: 20007080140 上を相当怒らせたでしょう。今まで要求に目をつぶって、 あなたを推していた人の顔に泥を塗ったと。

voice: 20007080150 最後までわがままな人ですね。 むやみに敵を増やすのはよくありませんよ。

voice: 20007080160 voice: 20007080161 初魅 私が私である以上しょうがないことだ。 後戻りできない分、自分のなすべきことを行うまで。

voice: 20007080170 初魅 私自身の手で、観る者の心を動かす芝居を作りあげる。 そうすればいつか、敵も味方になってくれるかもしれない。

voice: 20007080180 voice: 20007080181 初魅 どうだ、お前も一緒に……。 なんて誘っても来ないんだろ?

voice: 20007080190 はい。 私は銀河座に残ります。

voice: 20007080200 そしてあなたと違うやり方で、己の演技を磨いて、 銀河座を拡大させます。

voice: 20007080210 初魅 伝統ある芝居を守ったまま、繁栄させる道を探すのか? 辛い道のりが待っていても?

voice: 20007080220 きっとそれが私の役目ですから。

voice: 20007080230 初魅 ならお別れだな。

voice: 20007080240 voice: 20007080241 ええ。 初魅さん、またどこかで。

voice: 20007080250 初魅 やっと私を……下の名前で呼んでくれるようになったか。

voice: 20007080260 初魅 じゃあな暦。 あまり無理をするなよ。

voice: 20007080270 voice: 20007080271 ……さよなら、 初魅さん。

voice: 20007080280 ……懐かしいですね。

voice: 20007080290 voice: 20007080291 もうこんな時間。明日の練習に備えて寝なければ。 薬を……。

voice: 20007080300 (なぐさめ合いもわがままも通じない。  この厳しい環境こそが、銀河座が強大である理由)

voice: 20007080310 (そして私はずっと陣頭に立ってきた)

voice: 20007080320 (私は、『竹取物語』を成功させなければならない)

voice: 20007080330 (千寿家の役者として、  銀河座の看板を背負う者として、理想とされる存在でいなくては)

voice: 20007080340 ラモーナ 私はお前を倒す。千寿暦に比肩する演劇人となって、 孤独なエースの座から引きずり落としてやる。

voice: 20007080350 ……。

voice: 20007080360 voice: 20007080361 私を、倒す? 面白いことをおっしゃる人です。

voice: 20007080370 ここまで来るのに、私がどんな思いで頑張ったのか、 知らないくせに。

voice: 20007080380 ウォルフさん。あなたの考えは、甘すぎますのよ。 そんな甘さじゃ、この劇団で生き残ることは難しい。

voice: 20007080390 でも……。

voice: 20007080400 なぜ、彼女のことを考えてしまうのでしょう。 何を期待しているのでしょうか。

voice: 20007080410 ……ああ、今日は深く眠れるかしら……。