voice: 20011050010 ――で、ラモーナさんがふさぎ込んでいる様子だ、と。

voice: 20011050020 リリヤ そう。『すまない』なんて謝って、フラフラ行っちゃった。

voice: 20011050030 あれだけ周囲に絆がどうのと言っておきながら、 当の本人が孤立しようとするとはな。

voice: 20011050040 緋花里 ラモさん、大丈夫かねえ……。

voice: 20011050050 あいつと真逆のザネリもこなしたくせに、 こんなところでつまづくなんて、あいつらしくもない。

voice: 20011050060 緋花里 やっぱり、そろそろ皆でラモさんがんばれ友情火鍋パとか、 やったほうがいいのかな……?

voice: 20011050070 リリヤ 誘っても、来てくれなそう。 ラモ、私との裸の付き合いすら断ったし。

voice: 20011050080 ですが、あれほど周囲に言う方なのですから、 相応に自己管理もされていらっしゃるのでは?

voice: 20011050090 緋花里 うーん、でも……。

voice: 20011050100 ここは銀河座ですし、ラモーナさんも子どもではありません。 誰しも、ひとりで考えたいときだってあるでしょう?

voice: 20011050110 緋花里 それは……そうかもしれないけど……。

voice: 20011050120 ラモーナ 皆で集まって、なんの話だ? もう稽古も終わっただろう?

voice: 20011050130 緋花里 ラモさん……!

voice: 20011050140 リリヤ ラモが心配だって話。

voice: 20011050150 リリヤさん!

voice: 20011050160 ラモーナ なんだ、皆で集まって心配してくれていたのか? それも、暦までいるなんて珍しいこともあるものだな。

voice: 20011050170 いえ、私はそんな……。

voice: 20011050180 ラモーナ はは。まあ、楽しみにしていてくれ。 必ずいいマーロウを披露してみせる。

voice: 20011050190 ラモーナ そう……。 絶対に、いいものを見せるから。

voice: 20011050200 ラモーナ (……そう、しなければ)

voice: 20011050210 おい、ドイツ――

voice: 20011050220 雪さん。

voice: 20011050230 どうして止める? お得意の『ここは銀河座だから』か?

voice: 20011050240 voice: 20011050241 ええ。ここは銀河座です。そして、あなたも銀河座の一員。 ですから、あとは言わなくてもお分かりでしょう?

voice: 20011050250 ……。

voice: 20011050260 『銀河座は強い者が生き残る場所』。 それはそうだろうな。

voice: 20011050270 ……ええ。

voice: 20011050280 ですから、私はただ、他人のやり方に不用意に口をはさむのは、と 申し上げたいのであって――

voice: 20011050290 それで、見放すのか?

voice: 20011050300 voice: 20011050301 見放すだなんて、人聞きの悪い……。 私は、人の事情に土足で踏み込むなと言っているんです。

voice: 20011050310 緋花里 ちょ、ちょっと、ふたりとも……!

voice: 20011050320 弱いものは排除する、銀河座らしい考え方だな。 さすが、銀河座のトップは言うことが違う。

voice: 20011050330 voice: 20011050331 むしろ、そこまで雪さんがおっしゃる方が珍しいのではなくて? いつも『自分は銀河座でトップになる』なんて息巻いてらっしゃるのに。

voice: 20011050340 ああ、そうだな。 ワタシは銀河座のトップになる。

voice: 20011050350 でしたら――

voice: 20011050360 だが、ワタシが戦う相手は常に自分と、自分より強い者だ。 ワタシは蹴落とすのではなく、のし上がる。

voice: 20011050370 お前がどうやってトップにのし上がったのか知らんが、 いつまでも胡坐をかいていられると思うなよ。

voice: 20011050380 ……なにをおっしゃりたいのですか。

voice: 20011050390 お前は、ドイツが銀河座にやってきてから、 何も感じていなかったのか?

voice: 20011050400 ……。

voice: 20011050410 ドイツがどれだけお前に心を砕いたと思ってるんだ。

voice: 20011050420 それは……。

voice: 20011050430 ドイツも、ワタシも、緋花里も、フィンランドも、 お前にとってはその程度の相手ってことなんだな。よくわかった。

voice: 20011050440 お前がドイツに踏み込まないならワタシがやる。

voice: 20011050450 お前はそこにずっと座っていればいい。 進まなければ、置いて行かれるだけだ。

voice: 20011050460 『銀河鉄道の夜』で、少しはお前を知れたと思ったのに。 ……ワタシの思い違いだったようだな。

voice: 20011050470 緋花里 ちょっと、雪! 暦さん、すみません! 雪! 待ってよ!

voice: 20011050480 リリヤ ……行っちゃった。

voice: 20011050490 ……。

voice: 20011050500 リリヤ 雪、アツかった。

voice: 20011050510 ……私が、間違っているのでしょうか。

voice: 20011050520 リリヤ 正しいとか間違ってるとか、 私が決めた方がいい?

voice: 20011050530 voice: 20011050531 ……いえ。 ただ、……時々、わからなくなるんです。

voice: 20011050540 何が正しくて、……何が間違っているのか。

voice: 20011050550 リリヤ 正しいか間違いか、……決めなきゃだめなこと?

voice: 20011050560 ……。

voice: 20011050570 リリヤ もう稽古も終わったけど、これからどうするのが正しい?

voice: 20011050580 どうって……。

voice: 20011050590 リリヤ 雪の言った通り、座ってる? ずっとここにいたら、お尻が痛くなっちゃいそう。

voice: 20011050600 ……だからって、私は私を曲げません。 誰だって、ひとりになりたいときぐらいあるでしょう?

voice: 20011050610 リリヤ ラモーナのそれが、今?

voice: 20011050620 それは……。

voice: 20011050630 リリヤ ラモと暦は違う。雪と暦も違う。 私も、緋花里も、みんな違う。

voice: 20011050640 リリヤ 私は、暦の意見でも、雪の意見でも、どちらでもいいけど。 でも、ラモがいなくなったら、さみしい。

voice: 20011050650 リリヤ 暦は?

voice: 20011050660 ……。

voice: 20011050670 リリヤ お尻、痛くなってきた。

voice: 20011050680 ……それでも、私は私を曲げるつもりはありません。