voice: 20014020010 ぱんだ さて、おシズちゃんのことを知っていくには ここちゃんとの出会いからお聞きしなくちゃいけないんですけど……。

voice: 20014020020 ここな え? 私……?

voice: 20014020030 ぱんだ どういう形でおシズちゃんが現れたのか。ここちゃんのセンス発現の根源…… そこが知りたいんですよね。

voice: 20014020040 静香 ここな……。

voice: 20014020050 ここな うーん……。

voice: 20014020060 voice: 20014020061 ぱんだ あ、あれ? あー……無理に話さなくても大丈夫ですよ?

voice: 20014020070 知冴 話したくないことは胸に秘めておく。それも大事なこと。

voice: 20014020080 ここな あ、ううん……大丈夫だよ。 その、ちょっとだけ暗い話になっちゃうかもだけど。

voice: 20014020090 ここな 私、もともとはこの辺りに住んでたの。

voice: 20014020100 ぱんだ ああ、そうでしたよね。

voice: 20014020110 ここな うん。……だけど、お父さんの会社の経営が行き詰まっちゃって……。

voice: 20014020120 ここな それから、遠くに引っ越して……そこでお父さんもお母さんも働き出したの。 だから、学校が終わると夜までひとりのことが多くて……。

voice: 20014020130 ここな 慣れない環境で、最初はなかなか友達もできなくてね、 防波堤を舞台に見立てて、よくひとりぼっちで遊んでたの。

voice: 20014020140 ここな 静香ちゃんは、その時に……。

voice: 20014020150 幼い静香 あなたも演劇が好きなのね! 私も。

voice: 20014020160 幼いここな じゃあ、一緒にやろうよ!

voice: 20014020170 静香 私は目覚めた。ここなのセンスとして。 もうひとりのここなだって自覚はなかったけど。

voice: 20014020180 静香 気づいたら、ここなが防波堤を舞台に見立てて、 ひとり何役も演じているのを見上げてた。

voice: 20014020190 静香 寂しそうに……舞台の上では笑っている芝居をしているのに、 心は泣いていて、全然うまく演じられてなかった。

voice: 20014020200 静香 だから自然に声をかけたの。きっと私たちは純粋に演劇を楽しみたかった。 そのために、私は生まれて。

voice: 20014020210 ここな 私たちは舞台の上で演じあった。今思えば、見よう見まねの幼い演技。

voice: 20014020220 静香 でも、楽しかった。

voice: 20014020230 ここな いつも私が先に来てたよね? 防波堤の上でお芝居を始めると、いつの間にか静香ちゃんが見てるの。

voice: 20014020240 静香 ええ。しばらく見て、ここなの演技があんまりにも拙いから ついつい口挟んじゃって……。

voice: 20014020250 ここな それから、静香ちゃんがお手本を見せてくれたり、 即興芝居をやってみたり……時々、喧嘩したり。

voice: 20014020260 ここな それから、いつも私が帰る時間になるといなくなってた。