voice: 20028040010 『人間というものは少しでも気を緩めると妖怪変化の虜になってしまう。  あの許仙とかいう男がいい例だ』

voice: 20028040020 ラモーナ 『どのような女であっても、  決して心を緩めてはならないということですね』

voice: 20028040030 『これは蘇州の者たちに限ったことではない。お前さんのことでもある。  色恋などというものに惑わされず、その日その時を慎ましく送るように』

voice: 20028040040 voice: 20028040041 ラモーナ 『心得ました。  それで法海様は、このまま許仙と妖怪を探しに?』

voice: 20028040050 『ああ。  すぐにでも出る』

voice: 20028040060 ラモーナ 『であれば、私も連れて行ってはいただけないでしょうか。  あの程度の妖怪であれば、法海様のお手を煩わす必要もありませんよ』

voice: 20028040070 ラモーナ どうだった? 先ほどよりも粋がった青年らしさを意識してみたんだが。

voice: 20028040080 ドイツにしては、珍しい生意気さが出てたんじゃないか? 悪くはなかった。

voice: 20028040090 ええ。 けれど、わかりやすく『小者』として振る舞いすぎにも見えますわね。

voice: 20028040100 原作から脚色されたオリジナルキャラクターですから、 観客たちも期待感を持ってあなたをみるはず。

voice: 20028040110 もちろん、わざとそう見せるというやり方もあるでしょうけれど。 銀河座の演出としてはあまり好まれないのも確かですわね。

voice: 20028040120 ラモーナ ふむ。これでは、やりすぎというわけだな。

voice: 20028040130 ラモーナ ……解釈を変えてみる。少し時間をくれ。

voice: 20028040140 そろそろ時間も遅くなりますし、続きは明日にしましょうか。

voice: 20028040150 そうだな。 このまま続けていたら緋花里なんか、本気で体を動かしかねないくらいだしな。

voice: 20028040160 voice: 20028040161 緋花里 今回の役はそんなことしないよ! 妖艶にちょっぴりセクシー! ミステリアス!

voice: 20028040170 voice: 20028040171 リリヤ ラモ、お茶飲む? ……ラモ?

voice: 20028040180 ラモーナ ……。

voice: 20028040190 緋花里 すごい集中力さー……。

voice: 20028040200 ラモーナ ……であれば、このセリフは……。

voice: 20028040210 ラモーナ ……あっ、すまない。 呼んだか?

voice: 20028040220 voice: 20028040221 リリヤ ううん。今日は終わりだって。 役のイメージは? なんとかなりそう?

voice: 20028040230 ラモーナ ああ。原作とされる中国の伝承には登場しない役どころだから、 少し迷いがあったんだが、なんとかなると思う。

voice: 20028040240 ラモーナ 暦の言う通り、オリジナルキャラクターだからこそ 観客の興味を引く、銀河座の『白蛇伝』としてのトリガーになる必要がある。

voice: 20028040250 ラモーナ ただ、同時に暦演じる法海の残忍さや強さを際立たせるための 対比役でもあるから、親しみやすくもありたい。

voice: 20028040260 ラモーナ このふたつを両立させられるか、が要だな。

voice: 20028040270 ラモーナ 週明けの顔合わせで、演出家たちを唸らせるようなものを見せたい。 こうして意見を聞きながら役作りができるのは助かるよ。

voice: 20028040280 私も、有意義な時間になりました。 では本日は解散ということで、私は自室に戻らせて――

voice: 20028040290 緋花里 えっ! 暦さん、自分の部屋で寝るの……?

voice: 20028040300 えっ? ええ。 寝具もそちらにありますし……。

voice: 20028040310 voice: 20028040311 ラモーナ そうなのか!? 『コイバナ』とやらを楽しみにしていたんだが……。

voice: 20028040320 緋花里 私も、みんなでやろうとおもってトランプとか、 いろいろ持ってきちゃった……。

voice: 20028040330 お前ら、本読みしに来たんじゃないのか……。

voice: 20028040340 緋花里 だってだって、そのあとにお楽しみタイムが絶対あると思って! 暦さん、一緒にトランプタワー作ろう……?

voice: 20028040350 よりによってお前に一番向いてない遊びだな……。

voice: 20028040360 ……。

voice: 20028040370 ……暦サンだって、寝る時くらい静かに過ごしたいんだろ。 お前らと一緒に居たら、一晩中騒がれそうだからな。

voice: 20028040380 だろ? 暦サン。

voice: 20028040390 ええ、……ただ、少しくらいなら構いませんよ。 寝る時には部屋に戻らせていただきますが。

voice: 20028040400 ……いいのか?

voice: 20028040410 一度お誘いをお断りすると、 何百回も電話される方がいらっしゃるものですから。

voice: 20028040420 voice: 20028040421 ラモーナ ふふ、せっかく親睦を深める機会を、私が逃すわけがあるまい。 よし! では我々の記念すべき一夜の幕開けだな!

voice: 20028040430 緋花里 やったー! なにやる? なにやる?

voice: 20028040440 リリヤ ラモ、盛り上がってるけど、もう寝る時間だって。

voice: 20028040450 氷川 ご歓談中申し訳ございません……。 寝室の方にご案内させていただきたく。

voice: 20028040460 voice: 20028040461 ラモーナ ああ! すまない。 そんな時間まで稽古をしてしまっていたんだな。

voice: 20028040470 緋花里 寝室、ってみんな別々かな? みんなで雑魚寝みたいなこともしてみたいさ。

voice: 20028040480 緋花里 あっでも、せっかく用意してもらったのに迷惑かな……?

voice: 20028040490 ラモーナ 布団くらい、私たちでやればいいんじゃないか? 氷川さん、どうだろう? もし稽古場に布団を敷いてよければなんだが。

voice: 20028040500 氷川 ええと、お嬢様、どうされますか……?

voice: 20028040510 客人側からの申し出ですから。 おばあさまたちには私のほうからご説明しておきますわ。

voice: 20028040520 氷川 承知いたしました。 では、稽古場に布団の用意をさせていただきますね。

voice: 20028040530 せっかくなら、ワタシたちでやるか? わがままを言っているのはこっちなんだ。

voice: 20028040540 緋花里 うんうん! 寮でもいっつも自分たちでシーツ交換とかしてるし! 氷川さん、任せて!

voice: 20028040550 氷川 しかし……。

voice: 20028040560 やりたいようですから、やらせてあげてくださいな。 遅くまでありがとう、氷川。

voice: 20028040570 氷川 ……はい。 では、少々お待ちください。

voice: 20028040580 voice: 20028040581 ラモーナ ではいくぞ……。 『ラモーナさん。そのお願いはもう128回目です』。

voice: 20028040590 雪・リリヤ・緋花里 ふふっ……。

voice: 20028040600 ラモーナ ど、どうだった? けっこう似てただろう……?

voice: 20028040610 似てるような、似てないような……。

voice: 20028040620 リリヤ ラモ、もういっかいやって。

voice: 20028040630 緋花里 リリヤさん……笑いすぎ。

voice: 20028040640 voice: 20028040641 ラモーナ 任せろ。いくぞ……。 『ラモーナさん。演劇以外に現を抜かしておりませんこと?』。

voice: 20028040650 さっきから私の真似ばかり……いったいなんなんですの……!

voice: 20028040660 ラモーナ もう暦だって笑ってるじゃないか。 よし、これは本人公認ということで決定だな。

voice: 20028040670 voice: 20028040671 はぁ、まったくもう。 私はもう寝ますから、みなさんも早くおやすみになってくださいまし。

voice: 20028040680 ラモーナ ちょっと待ってくれ暦。寝るにはまだ早い。 まだ『コイバナ』だってやってないんだぞ。

voice: 20028040690 する『恋バナ』もないでしょうに……。

voice: 20028040700 (それに、明日も早朝のランニングですから。そろそろ眠らないと)

voice: 20028040710 (……そろそろ、眠らないと?)

voice: 20028040720 (いつもなら眠りたくても眠れないのに、  いまの私は眠りたくても寝かせてもらえない……)

voice: 20028040730 (なんだか、不思議な気持ちですわね)

voice: 20028040740 ラモーナ 暦、もしかして眠いのか? まだお前を部屋に返したくないんだ。 あと5分でいいから、私と夜をともにしてくれないか?

voice: 20028040750 voice: 20028040751 私は眠りたいとさっきから言ってますの。 それと、もう少し離れてくださいまし……か、顔が近いですわ!

voice: 20028040760 (……いいえ)

voice: 20028040770 (そもそもいまの私は、  本当に眠りたいと、そう思っているのでしょうか)