voice: 20028060010 『すまない……!  僕は用事が、帰らないと!』

voice: 20028060020 緋花里 『あら。こんなに早く?』

voice: 20028060030 緋花里 『西湖には月が映え、湖底を月が照らし、  中には私たちふたりきり……最高の雰囲気でしょ?』

voice: 20028060040 『相手を間違えてるよ!  キミのようなきれいな女性が、僕なんかと……』

voice: 20028060050 (自宅の稽古場に銀河座の皆さんがいて、読み合わせをしている。  ……不思議な光景ですわね)

voice: 20028060060 (誰かと一緒に、なんてやめにしたはず)

voice: 20028060070 (周りに流されず練習に励むこと、  更なる成長を求めろ。現状に甘んじるな)

voice: 20028060080 (両親の教えに背いてはいない。  ……これまでになかったことをしているのは確かですけれど)

voice: 20028060090 (自宅で稽古、それも私の方から誘うだなんて。  私もラモーナさんの友情ごっこに毒されてきたのでしょうか)

voice: 20028060100 緋花里 『なぜ私を避けるの? 私のどこがいけないの?』

voice: 20028060110 voice: 20028060111 『そうじゃない。  ただ、その……』

voice: 20028060120 (断ることも、できたはずですのに)

voice: 20028060130 リリヤ しだいに雨音が大きくなり、場面転換。

voice: 20028060140 ラモーナ 一度ここまでにしよう。

voice: 20028060150 緋花里 どうだった? うまくできてた?

voice: 20028060160 voice: 20028060161 リリヤ もう少し、つよく誘惑してもいいと思う。 雪がドキドキして、演技なんか忘れちゃうくらい。

voice: 20028060170 voice: 20028060171 忘れるわけないだろ。 まあただ、確かに思ったほど来なかったな。

voice: 20028060180 緋花里 なるほど……。もっと踏み込んで、 セクシー、ミステリアス……。難しい……。

voice: 20028060190 voice: 20028060191 そうですわね。もう少し、引き込む妖艶さは欲しいかと。 一度、休憩にお茶をお持ちしましょうか。

voice: 20028060200 ラモーナ 手伝おうか?

voice: 20028060210 いえ。お休みになられていてください。 お気持ちだけ頂戴いたしますね。

voice: 20028060220 氷川 ……お嬢様? こんなところで、なにかお探しでしたか?

voice: 20028060230 ああ、氷川。 ただ皆さんにお茶でもと思いまして。

voice: 20028060240 氷川 えっ!

voice: 20028060250 ごめんなさい。 勝手にいろいろお借りしてしまいました。

voice: 20028060260 voice: 20028060261 氷川 それはお気になさらないでください! ただ、お声がけくだされば、ご用意いたしますのに……。

voice: 20028060270 このくらい、私だってできますのよ。 わざわざ氷川たちの手を煩わせることでもありませんし。

voice: 20028060280 ……それに、私が持っていきたかったんです。 氷川たちが叱られるようなことはないようにいたしますから。

voice: 20028060290 氷川 ……。

voice: 20028060300 氷川 かしこまりました。 ですがせめて、片付けくらいは私のほうで。

voice: 20028060310 ……そこまでおっしゃるのでしたら。 お願いいたしますね。

voice: 20028060320 voice: 20028060321 ……すごいな。暦サンの家は茶まで美味いのか。 こんな贅沢な味を知ったら不幸になる……。

voice: 20028060330 リリヤ これ、暦が淹れたの?

voice: 20028060340 え? ええ。 お口にあったのなら何よりですわ。

voice: 20028060350 リリヤ そう。 料理、得意?

voice: 20028060360 いえ、あまり経験はありませんわね……。

voice: 20028060370 リリヤ ……そう。

voice: 20028060380 ラモーナ まあまあ、そう露骨に残念そうな顔をしてやるな。 今日こうして千寿家の味わいを知れただけでも十分だろう?

voice: 20028060390 ラモーナ これで暦とも『同じ釜の飯』というやつをやれたわけだし。

voice: 20028060400 ワタシの火鍋なら皆でさんざん一緒に食ってるくせに、 ドイツもフィンランドも欲張りだな。

voice: 20028060410 リリヤ 緋花里なんか、さっき 『朝ごはんは毎日暦さんの家で食べたい……!』って言ってた。

voice: 20028060420 voice: 20028060421 それほどお気に召していただけたならなによりですわね……。 それで、その緋花里さんは? 先ほどから姿が見えないようですが。

voice: 20028060430 ラモーナ ああ、暦が戻ってくるまでにお手洗いに行ってくると言っていたんだが。 確かに、随分遅いな。

voice: 20028060440 あいつは方向音痴だから、暦サンの家の中で迷子になってたりしてな。

voice: 20028060450 いくらなんでも、そこまでの広さはありませんわよ……。