voice: 20031040010 講師 では次、ふたり一組でかけあいの即興劇を行いましょうか。 周りの人とペアを組んでくださいね。

voice: 20031040020 カトリナ ひとり余っちゃうけどどうする?

voice: 20031040030 知冴 私、ひとりで来てる他の人と組むよ。 せっかくだし。

voice: 20031040040 voice: 20031040041 静香 ありがとう流石。 じゃあ私とカトリナがペアね、よろしく。

voice: 20031040050 カトリナ ええ。

voice: 20031040060 講師 皆さんペアを組めましたか? それでは新しいお題を出します。

voice: 20031040070 講師 お題は、『とある理由で喧嘩中の夫婦』です。 喧嘩の理由や、夫婦の行く末は皆さんの想像にお任せします。

voice: 20031040080 講師 それと。今回はキャラクター設定も自由です。 年齢も職業も世界観も、自由に決めちゃってくださいね。

voice: 20031040090 カトリナ 自由……!?

voice: 20031040100 講師 私が思っているよりずっと、皆さん想像力が豊かなようですから。 ふふふ。存分に見せてください。

voice: 20031040110 カトリナ ……。 流石みたいなのを期待されてたりしないわよね……?

voice: 20031040120 静香 へえ、楽しそう。

voice: 20031040130 カトリナ 何喜んでるのよ。なんでもしていいってことは、 なにが正解か分からないってことでしょ……。

voice: 20031040140 静香 そんなこと気にしてたの? 先生もうまくやろうとしなくていいって言ってたじゃない。

voice: 20031040150 講師 ああそうだ、夫と妻どちらを演じるかは決めていいですが、 それ以上の打ち合わせはNGです。

voice: 20031040160 講師 考えた設定は、相手に伝えず、劇の中ですり合わせていってください。

voice: 20031040170 静香 へぇ、正真正銘の即興劇ってことね。 なら私は夫役を演じたいわ。

voice: 20031040180 カトリナ いいけど……宇宙人とか、妙な設定つけてこないでよ。

voice: 20031040190 静香 それも面白そうね。 どうしようかしら?

voice: 20031040200 カトリナ ちょっと……!

voice: 20031040210 静香 あはは、冗談だってば。

voice: 20031040220 カトリナ もう……。

voice: 20031040230 講師 では順番にやっていきましょうか。 そちらのお二方、舞台上に来てください。

voice: 20031040240 講師 次は静香さんとカトリナさんの番ですね。 カトリナさんは先ほども良い演技を見せてくれましたから、楽しみです。

voice: 20031040250 カトリナ ありがとうございます。

voice: 20031040260 静香 良かったわね。

voice: 20031040270 講師 みなさんも気づかれていると思いますが、掛け合いのエチュードでは、 互いの世界観や設定をうまく伝え、壊さず対処しあうことが要です。

voice: 20031040280 講師 ですが、それに気をとられて表現の幅を狭めることはしないよう、 気をつけてくださいね。では始めてください。

voice: 20031040290 カトリナ 『……』

voice: 20031040300 カトリナ 『今日も遅い。あの人はまだ帰ってこないの……』

voice: 20031040310 静香 (カトリナは、帰りの遅い夫を待っている設定か)

voice: 20031040320 静香 (なら私は慎重にノック、  恐る恐るノブを引く演技で、帰宅したことを表現して――)

voice: 20031040330 静香 『――やあ、久しぶり』

voice: 20031040340 カトリナ 『あなた……!』

voice: 20031040350 静香 『本当にごめんよ。  顔を見せるのが数か月ぶりになってしまった』

voice: 20031040360 カトリナ (数か月……静香の設定はわからないけど、  出張とか多い職業なのかしら?)

voice: 20031040370 カトリナ 『いい加減にして。いつも仕事仕事って、  私のことはどうでもいいのね』

voice: 20031040380 静香 『そんなことない……! 連絡もろくに返せずごめん。  だけど、これには事情があるんだ』

voice: 20031040390 カトリナ 『連絡のひとつも返せないなんて、いったいどこで何をしてるの?  私に隠し事してるんでしょ』

voice: 20031040400 静香 『それは……』

voice: 20031040410 静香 『すまない、仕事のことは話せない。  けど僕は君と別れたくないんだ』

voice: 20031040420 カトリナ (よりを戻したい設定なのね……ならアタシは)

voice: 20031040430 カトリナ 『財産分与の件、先週までに返信してって言ったわよね』

voice: 20031040440 静香 『待って、早まらないでくれ!』

voice: 20031040450 カトリナ 『……もういい。私がどれだけ辛いかわかる?  あなたはいつも私をひとりにして……何一つ尊重してくれな――』

voice: 20031040460 カトリナ !?

voice: 20031040470 静香 『ごめん』

voice: 20031040480 カトリナ 『ちょ、ちょっと……はなしてよ……!』

voice: 20031040490 静香 『君を怒らせているのも、悲しませているのも  よくわかってる。それでももう一度話したい』

voice: 20031040500 カトリナ 『……私たち、何のために一緒にいるの?  あなたのこと、全然わからないし』

voice: 20031040510 静香 『……』

voice: 20031040520 静香 『君に話すべき時が来たのかもしれない』

voice: 20031040530 カトリナ 『え?』

voice: 20031040540 静香 『実は僕の仕事は諜報活動なんだ』

voice: 20031040550 カトリナ 『へ?  諜報活動……スパイってこと?』

voice: 20031040560 静香 『ああ。これは本来君にも言えないことだが……。  僕は組織を抜けたいと考えている。使命に殉じて君を失うなんて嫌だ』

voice: 20031040570 カトリナ 『それは私に話していいことなの?  あなたの命が狙われたりは……』

voice: 20031040580 静香 『……さあね。でも、今この場で君に嘘をつくことのほうが、  僕にとっては死ぬよりも辛いことだ』

voice: 20031040590 カトリナ 『あなた……』

voice: 20031040600 静香 『いけない、時間だ』

voice: 20031040610 カトリナ 『もう行ってしまうの?』

voice: 20031040620 静香 『一緒にいられなくてごめん。  でももう一度許してくれるなら、僕のことを待っていてほしい』

voice: 20031040630 静香 『今度こそ君のそばにいられるように変わってみせるから』

voice: 20031040640 カトリナ 『そんな……。  私は……』

voice: 20031040650 講師 ――それまで。

voice: 20031040660 講師 あはははっ、急に夫の職業に突飛な設定が出てきましたね! ふたりの真剣な駆け引きは見応えがありました。

voice: 20031040670 静香 ふふふっ。 喜んでもらえたならよかった。

voice: 20031040680 カトリナ ちょっと……! 急に変な設定差し込まないでよ! 困ったじゃないの!

voice: 20031040690 静香 あら? 先生は自由にしていいって仰ったのよ?

voice: 20031040700 知冴 カトリナ、上手く対応できてたよ。 戸惑いの演技とか。

voice: 20031040710 カトリナ あれは本当に戸惑ったのよ……!

voice: 20031040720 静香 はははっ、ごめんごめん。 でもカトリナがうまく対応してくれたのは本当。すごく楽しかったわ。

voice: 20031040730 静香 昔を思い出して、つい調子に乗っちゃった。 ありがとうね。

voice: 20031040740 カトリナ 昔……?

voice: 20031040750 カトリナ まあ、終わったからもういいけど……。