voice: 20035060010 仁花子 レンさんが土星で、その輪っかが私たちなら、 形を保つにはやっぱりいるるんが必要なんじゃないかって。

voice: 20035060020 ……。

voice: 20035060030 仁花子 だからやっぱり、戻ってきてほしいです。

voice: 20035060040 仁花子 ……なーんて。

voice: 20035060050 ……仁花子。

voice: 20035060060 voice: 20035060061 仁花子 ちょっとロマンチックすぎますかね!? あはは~。

voice: 20035060070 voice: 20035060071 ……ぷっ、あははっ。 そうかもね~。真剣にこっち見てくるから緊張したよ。

voice: 20035060080 けど……。 今のはグッと来たなぁ。

voice: 20035060090 ……アタシね、普段は周りの世話焼いてばっかだけど、 ずっと自分が輝きたいって思ってたんだ~。

voice: 20035060100 本当は初魅みたいなすごい役者になりたかったし、 主演やって、ダイスターになりたかったの。

voice: 20035060110 でも結局、全ツッパできなかった。 肝心なところで勝負が怖くなって。

voice: 20035060120 そんな人間がダイスターになれるわけない。 自分が情けなくなった。だから、『サロメ』の舞台を降りたんだ。

voice: 20035060130 仁花子 ……いるるん。

voice: 20035060140 でも、仁花子がそう言ってくれるなら、 ずっと脇役でもいいのかな。

voice: 20035060150 仁花子 えっ?

voice: 20035060160 voice: 20035060161 それでみんなを支えて……それがアタシの役割なら。 ……うん。決心ついたよ。

voice: 20035060170 仁花子 ――よくないですよ!

voice: 20035060180 へ?

voice: 20035060190 仁花子 待っているるん。 今話したのがいるるんの本心なら、絶対諦めるのはよくないです。

voice: 20035060200 ……。

voice: 20035060210 voice: 20035060211 仁花子 負けてもいい、諦めてもいい。 前に体育祭でそう言ってくれたのは嬉しかった。

voice: 20035060220 voice: 20035060221 仁花子 けど、本当は自分も輝きたいんですよね? ならまだ、諦めるには早すぎると思います。

voice: 20035060230 ……そうかな。 でもアタシは結構、長く演劇をやってるし、わかるんだよ。

voice: 20035060240 仁花子 サロメはまだ一回しかやってませんよ?

voice: 20035060250 ……そうだけど。

voice: 20035060260 仁花子 何回やったって良いじゃないですか。 たくさん試してみればいつかは……!

voice: 20035060270 でも、望む結果が得られるとは限らないよ。 現にアタシは……。

voice: 20035060280 仁花子 だからって、望み続けるのが悪いなんて誰も思わないです。

voice: 20035060290 仁花子 いるるんは、本当はどうしたいですか?

voice: 20035060300 voice: 20035060301 ……。 アタシは……。

voice: 20035060310 ……。

voice: 20035060320 仁花子 今は、本当の気持ちを聞かせてください。

voice: 20035060330 ……アタシは、 本当は……。

voice: 20035060340 本当は、もう一回、 ……サロメをやりたい。

voice: 20035060350 仁花子 ……。

voice: 20035060360 でも……。 でも、アタシにそんな資格ない……。

voice: 20035060370 初魅は信じてくれたのに、なんであの時、 自分を信じられなかったのか……。

voice: 20035060380 voice: 20035060381 自分が許せない。あの時の自分を殴ってやりたい……! だけどどうしても、失敗するのが怖かったの……。

voice: 20035060390 仁花子 怖いですよね。 ずっと望んでた舞台ならなおさらです。

voice: 20035060400 ……初魅は最初から最後までアタシに賭けてくれてた。 だからこそ本番でセンスを封じたんだ。

voice: 20035060410 voice: 20035060411 アタシに逃げずに立ち向かわせようとした。 だけどアタシは……それを捨てて……。

voice: 20035060420 仁花子 ……。

voice: 20035060430 そんなアタシに、もう一回チャンスをくれなんて言う資格はないよ……!

voice: 20035060440 仁花子 それは違うんじゃないかな。 どうしたいかで行動を決めましょうよ。

voice: 20035060450 仁花子 後悔してるんだったら、なおさらもう一回やったほうがいい。 失敗したってレンさんがなんとかしてくれる。

voice: 20035060460 voice: 20035060461 仁花子 もちろん、私も全力で支えます! 新人だけど、相手役として。だから……。

voice: 20035060470 仁花子 だから私は、いるるんと一緒に演じたいって思いますよ。 今だって。

voice: 20035060480 ……。

voice: 20035060490 ……そう言ってくれてありがとう、仁花子。

voice: 20035060500 仁花子 はい。

voice: 20035060510 ……少し、考えてみる。 ちょっと自信ないけど……。

voice: 20035060520 仁花子 はい! 考えてみてください。 私、いるるんが帰ってくるの、いつまでも待ってますから。

voice: 20035060530 voice: 20035060531 うん。 本当に……ありがとうね。