voice: 20036030010 いろは ええと、『最も優れた役者になる方法』……。 も、も……まみむめも、だからこのあたりに……。
voice: 20036030020 暦といろはの祖母 あなたの一挙手一投足が、千寿につながっている自覚を持ちなさい。 千寿の名に恥じぬ役者になることが、あなたの使命です。
voice: 20036030030 暦 はい。 ……申し訳ございません。
voice: 20036030040 いろは 千寿の名、かあ……。
voice: 20036030050 いろは ……僕は、千寿につながれてるんでしょうか。 姉さんが背負うものの少しでも……。
voice: 20036030060 voice: 20036030061 いろは ……いえ、僕が言えることではありませんよね。 はぁ……。
voice: 20036030070 voice: 20036030071 いろは って、いけないいけない。 無理せず、楽しく。……僕は、劇団電姫の役者なんですから。
voice: 20036030080 voice: 20036030081 いろは 本、ないなあ。このコーナーじゃないのかな? 演劇コーナーじゃなければ、ええと……。
voice: 20036030090 ラモーナ おや?
voice: 20036030100 voice: 20036030101 いろは あれっ? ラモーナさん! こんにちはっ! お買い物ですか?
voice: 20036030110 ラモーナ ああ、偶然だな。 日本文化に関する面白い本でもないかと思って見に来たところなんだ。
voice: 20036030120 いろは 日本文化ですか……! 確かに、この前のお泊まり会でもラモーナさんが 楽しそうにうちの庭を見ていたと氷川も……。
voice: 20036030130 ラモーナ はは、そう言われると恥ずかしいが、 確かにあれ以来、改めて日本庭園の魅力にハマってしまってな。
voice: 20036030140 ラモーナ いろはは? なにか探し物か? 私でよければ付き合うよ。
voice: 20036030150 voice: 20036030151 いろは そんな! 少し探している本があっただけですから! それにこのあたりにはなさそうでして……。ですから、大丈夫です。
voice: 20036030160 voice: 20036030161 ラモーナ まあまあ、せっかくここで出会ったんだ。協力させてくれ。 名前は? ふたりで探せば早いかもしれない。
voice: 20036030170 いろは ですが、甘えるわけには……。
voice: 20036030180 ラモーナ ほら、遠慮しなくていい。 私が手伝いたいと言ったんだから、いろはの甘えにはならないさ。
voice: 20036030190 voice: 20036030191 いろは ……。 探しているのは、『最も優れた役者になる方法』という本でして……。
voice: 20036030200 ラモーナ 『最も優れた役者になる方法』? それって、このくらいの大きさの本か?
voice: 20036030210 いろは ああいえ、僕も実物は見たことがないんです。 ただ、姉さ――暦さんが、おすすめの教則本だと。
voice: 20036030220 いろは 暦さんも、もうどなたかにあげてしまったそうでして、 ですからこうして探しに来たんです。
voice: 20036030230 voice: 20036030231 ラモーナ そうだったのか。 ……その本、よければ私が貸そうか?
voice: 20036030240 いろは えっ、お持ちなんですか?
voice: 20036030250 ラモーナ ああ! だって、何を隠そう、暦が言うその『どなたか』が私だからな!
voice: 20036030260 いろは ついラモーナさんのペースに乗せられて、 ここまでついてきてしまいました……。
voice: 20036030270 いろは いけませんね、なんだかラモーナさんといると ついつい心を開いてしまうと言いますか、甘えたくなってしまいます。
voice: 20036030280 いろは だからって、まさか今日ここに来るなんて思いもしなかったですけれど。
voice: 20036030290 いろは (姉さんに甘えるのはよくない、と思ったばかりなのに、 結局姉さんに関係する方に甘えてしまいました)
voice: 20036030300 いろは 僕がここにいて、姉さんの迷惑にならないでしょうか……。 ……誰かに見られたりしないといいんですけれど……。
voice: 20036030310 ラモーナ お待たせ、いろは。 所属が違うなんて気にせず、中に入って待っていてくれてよかったのに。
voice: 20036030320 いろは い、いえっ! その、セキュリティとかも色々大変な時代ですからっ……。
voice: 20036030330 voice: 20036030331 ラモーナ 暦の妹であるお前を拒むものもいないと思うが……。 おっと、そうだ。これが先ほどの、暦から譲り受けた教則本だ。
voice: 20036030340 voice: 20036030341 いろは わあ、すっごい使い込まれてますね……。 よかったんですか? こんな大事に使われた本をお借りしてしまって。
voice: 20036030350 voice: 20036030351 ラモーナ ああいや、その傷のほとんどが元からついていたものなんだ。 ふふ、暦が昔から真面目だったのがよくわかる。
voice: 20036030360 ラモーナ 私自身はなるべく汚さないようにしたつもりなんだが、 もしなにかあったら、遠慮なく言ってくれ。
voice: 20036030370 いろは 大丈夫ですっ。 ありがとうございます、大事に読みます。
voice: 20036030380 ラモーナ ついでと言ってはなんだが、 いろは、この後少し時間はあるか?
voice: 20036030390 いろは えっ? はい。 今日はお稽古もないですし……。
voice: 20036030400 ラモーナ じゃあ、少しお茶でもしないか? ずっと歩いていたら喉が渇いてしまったんだ。
voice: 20036030410 いろは すみません、ごちそうになってしまって。 なんだか、ラモーナさんの前だとつい甘えてしまいますね。
voice: 20036030420 ラモーナ 私が言い出したことなんだから、そうかしこまらないでくれ。 前にも言っただろう? 暦の妹なら私の妹と言っても過言ではないんだから。
voice: 20036030430 いろは えへへ……ありがとうございます。 じゃあ、お言葉に甘えて、いただきます。
voice: 20036030440 ラモーナ ああ。召し上がれ。 しかし、しっかり者の姉妹だな。
voice: 20036030450 いろは えっ? そんなそんな! 暦さんがそうなのはわかりますが、僕は全然ですよっ!
voice: 20036030460 ラモーナ 今日だってずっと礼儀正しいじゃないか。 千寿家の教育の賜物なんだな、と改めて思ったよ。
voice: 20036030470 いろは ……ありがとうございます。嬉しいです。
voice: 20036030480 ラモーナ うん。 しかし、こうしていろはとじっくり話すのは初めてかもしれないな。
voice: 20036030490 ラモーナ どうだ、暦は。この前は私たちの世話ばかり焼かせてしまったが、 あいつは家でちゃんとリラックスできているのか?
voice: 20036030500 いろは 暦さんは……どうでしょう。 家では稽古場にいらっしゃることも多いですし。
voice: 20036030510 いろは あっ、でも、最近は銀河座の皆さんと鍋パをしたとか、 楽しそうに話してくれることも増えました。
voice: 20036030520 いろは ……だから、僕なんかよりきっと 銀河座の皆さんの方が姉さんをリラックスさせられていると思います。
voice: 20036030530 ラモーナ そんなことない。 あんなに仲がいいんだ、いろはだって暦の力になれてるはずだろう。
voice: 20036030540 いろは ……いえ、姉さんは僕よりもずっと立派な方ですから。 僕なんかが何かをやっても、姉さんの力にはなれないですよ。
voice: 20036030550 ラモーナ どうしてそんなことを言うんだ? 暦は確かにすごい役者かもしれない。だが、いろはも千寿家の一員じゃないか。
voice: 20036030560 ラモーナ お前の演技だって、立派なものだし、 暦も、電姫でのお前の活躍を誇りに思ってくれているはずだ。
voice: 20036030570 いろは ……。
voice: 20036030580 ラモーナ それに家族というのは、そばにいるだけで安心するものだ。 暦だってお前のことを話すときは嬉しそうな顔をするしな。
voice: 20036030590 ラモーナ いろはからも暦を誇らしく思っているのが伝わってくる。 あたたかくて、ほほえましい姉妹だな、と常々思っていたんだ。
voice: 20036030600 いろは そう、ですか。 ならよかったんですけれど……。