voice: 20036080010 いろは だから……僕が、姉さんを苦しめているんです。
voice: 20036080020 いろは 僕が、姉さんを責めたから。 姉さんに……すべてを背負わせたから。
voice: 20036080030 ラモーナ ……。
voice: 20036080040 いろは あの日、あんなこと言わなきゃよかったって……ずっと後悔してるんです。 姉さんは、僕を最後まで応援してくれていたのに。
voice: 20036080050 voice: 20036080051 いろは あっ、ご、ごめんなさいっ! 急にこんな思い出話をして。 ラモーナさんといると安心するからですかね……。
voice: 20036080060 ラモーナ ……今は?
voice: 20036080070 いろは えっ?
voice: 20036080080 ラモーナ いろは自身は、もう演じていてつらくないか?
voice: 20036080090 voice: 20036080091 いろは ……つらくないです。 こんなの、ずるいですよね。
voice: 20036080100 いろは 中学生になってから、舞台以外のことに目を向ける時間ができて、 アニメや漫画、たくさんのものに出会うことができました。
voice: 20036080110 いろは それに今は、劇団電姫に入ってみとちゃんたちとも 毎日楽しく舞台をすることができています。
voice: 20036080120 いろは ……姉さんは、今でも銀河座でがんばっているのに。 ひどいのは『私』の方です。
voice: 20036080130 ラモーナ そんなことない。 暦は絶対に、そんなこと考えていない。
voice: 20036080140 いろは ……。
voice: 20036080150 いろは ……あの、ラモーナさん。 お願いがあるんです。
voice: 20036080160 ラモーナ いいぞ。どんなお願いでも聞こう。
voice: 20036080170 いろは 姉さんをひとりにしないであげてください。
voice: 20036080180 いろは 『私』は……もう、『お姉ちゃん』の隣に立つことはできないですから。 だから、どうか舞台の上で姉さんの隣にいてください。
voice: 20036080190 voice: 20036080191 いろは お姉ちゃん、寂しがり屋で、優しくて、仲間想いで……。 ……私はお姉ちゃんが大好きなんです。
voice: 20036080200 いろは だから……。
voice: 20036080210 ラモーナ ああ。わかった。
voice: 20036080220 ラモーナ きっと助ける。 暦のために、いろはのために、そして、私自身のために。
voice: 20036080230 ラモーナ だから、信じて待っていてくれ。
voice: 20036080240 いろは ……はい。ありがとうございます。
voice: 20036080250 いろは ラモーナさんからお借りした本は、沢山の付箋が貼られ、 あちこちに日本語とアルファベットで書き込みがされていました。
voice: 20036080260 いろは 姉さんの字だ、と直感的にわかる細くしなやかで、美しい文字と、 ラモーナさんらしい、力強く流れるような筆記体。
voice: 20036080270 いろは 『最も優れた役者になる方法』……かあ。 ……姉さんらしいタイトル。
voice: 20036080280 いろは そうだ。 僕は……また、自分のことばっかり。
voice: 20036080290 いろは 電姫のモットーは『楽しむこと』。 一度演劇をやめた僕も、電姫でとっても楽しくやらせていただいてます。
voice: 20036080300 いろは でもそれは、今に満足するってことじゃない。 もっと素晴らしい演技をして、もっと役に立ちたい。
voice: 20036080310 いろは 僕だからこそ輝ける舞台もきっとあるって信じています。
voice: 20036080320 いろは 今はまだ、それを証明できるかわからない。 でも、僕が電姫でもっと評価されれば、いつか……。