voice: 20041050010 テトラ にしても驚いたよ。 急に訪ねてくるなんてねぇ。

voice: 20041050020 大黒 ごめんなさい。 けど……どうしてもテトラさんと話したかったんです。

voice: 20041050030 テトラ ったく……あたしの家を教えたのは容かい?

voice: 20041050040 voice: 20041050041 あはは、すみません。 でもそれくらい大黒は本気みたいだから……。

voice: 20041050050 仁花子 私たちも気になって、ついてきちゃいました。

voice: 20041050060 しぐれ しぐれは止めたんですけどねぇ?

voice: 20041050070 大黒 教えてほしいんです。 我が主について、テトラさんが知っていること。

voice: 20041050080 テトラ あたしもそこまで知っているわけじゃないさ。 それに他人のことを勝手に話すのは気が引けるよ。

voice: 20041050090 大黒 そうですよね……でも私は、我が主のことをもっと知りたくて。 そうしなきゃ、目指す道を一緒に歩く資格がないと思うんです。

voice: 20041050100 大黒 我が主のことを一番よく知ってるのはテトラさんだと思います……。 だから……。

voice: 20041050110 テトラ ……はぁ。 前に話した時、こうなる予感もしていたが。見事に的中したね。

voice: 20041050120 テトラ まあ、あんたたちがあたしを頼る気持ちもわかる。 本人が話すとは思えない。

voice: 20041050130 テトラ 初魅は敵も多いし……。 なら、あたしから話したほうが良いのかもね。

voice: 20041050140 大黒 じゃあ……。

voice: 20041050150 テトラ あんたたち、晩飯はまだかい?

voice: 20041050160 仁花子 そうですけど……。

voice: 20041050170 テトラ 出前を取るから、好きなのを選びな。 話はそれからだ。

voice: 20041050180 しぐれ いいんですか?

voice: 20041050190 そんな気を遣わなくていいのに……。

voice: 20041050200 テトラ 違うよ。 酒のはずみってことにしたほうが、都合が良いだろう?

voice: 20041050210 テトラ さて……料理は揃ったね。 あたしも一杯いただくよ。

voice: 20041050220 大黒 はい……。

voice: 20041050230 テトラ なあに、そう身構えないでおくれ。 今からあたしは、つい口がすべっちまうだけだ。

voice: 20041050240 voice: 20041050241 テトラ ……何から話すかね。 ああそうだ、出会いについてが良いか。

voice: 20041050250 テトラ その頃にはあたしはもう、身体の具合が悪くてね。 Edenを不在にすることが多かった。

voice: 20041050260 テトラ 劇団の運営は他人に任せていてね。暗黒期、とでも言うのか。 良い指導者がいるわけでもない……。

voice: 20041050270 テトラ 廃れたEdenは、常連客の評判ばかりを気にして、 公演後の交流が本番と言われるくらい、つまらない劇団になってしまった。

voice: 20041050280 テトラ 舞台の内容も常連客の機嫌とり。大事にするものを間違えたまま、 小さなサイクルを繰り返す……これは容も知るところだろう。

voice: 20041050290 テトラ もちろんそうなったのは、あたしが至らないせいだ。 だが身体は思うようにならなくてね、どうしたもんかと悩んでいた。

voice: 20041050300 テトラ 設立から時が経った。あたしもいい年だ。諦めるのもひとつの答えか―― そう考えていた矢先、あいつに出会ったんだよ。

voice: 20041050310 テトラ 連尺野初魅に。