voice: 20048040010 アビゲイル はー、楽しかった。 モナってば全然ポーカーフェイスできないじゃん。

voice: 20048040020 ラモーナ うーむ。どうにもブラフ系のゲームは苦手だな。

voice: 20048040030 クレア 先輩、舞台上ではスマートなのに、意外でした。 でも、おかげで楽しかったです。

voice: 20048040040 アビゲイル モナがみんなから愛されるワケだよね。 っと、そろそろ夕食の時間じゃない?

voice: 20048040050 ラモーナ そうだった、急いで戻らないと。 それじゃあ皆、またな。

voice: 20048040060 ラモーナ さて……部屋はどっちだ? 同じような扉ばかりで迷いそうだな……。

voice: 20048040070 ……。

voice: 20048040080 銀河座広報 どうしたんですか、千寿さん? 食が進んでいないようですが……。

voice: 20048040090 ああ、いえ……。 少し、稽古の疲れが出たのかもしれません。気になさらないでくださいな。

voice: 20048040100 銀河座広報 そうですか。 もし緊張させてしまっていたらごめんなさい。

voice: 20048040110 執行役員 悪いね。せっかくの慰労会なのに食事に呼んでしまって。 理事会の連中に囲まれて、気分良く食事しろという方が酷だな。

voice: 20048040120 銀河座OG 今日はお休みなんだし、そんなに気を遣わないでね。 道中、チーフがあんまりにも貴女をほめるから、どうしても会いたくて。

voice: 20048040130 演出チーフ 千寿は『マクベス』において偉大な功労者です。 それをぜひお伝えしたく。

voice: 20048040140 おほめにあずかり光栄ですが、過分な評価ですわ。

voice: 20048040150 此度の『マクベス』の成功は、皆で勝ち得たもの。 銀河が数多の星々で形作られるのと同じように、皆がいてこそなのです。

voice: 20048040160 皆というのは、もちろん、先代の方々も含めてです。 積み上げた歴史こそ銀河座が誇るべきものですから。

voice: 20048040170 執行役員 ……ふむ。その若さで随分謙虚だ。 さすがはあの千寿家の当主様が手塩にかけているだけある。

voice: 20048040180 銀河座OG おばあ様には私たちも随分お世話になったのよ。 跡継ぎがここまでわきまえているなんて、将来は安泰ね。

voice: 20048040190 ……ありがとうございます。

voice: 20048040200 演出チーフ 私は銀河座の星を守るため、これまでにない手段を取りました。 ……それがリリヤ・クルトベイの起用と、それに伴う演出プランの変更です。

voice: 20048040210 演出チーフ 伝統が危ぶまれるのではないかと、 皆様にご懸念を抱かせてしまったことは申し訳ない。

voice: 20048040220 演出チーフ しかし、千寿は私のやり方に従いながら、伝統を守ろうと尽力し、 皆を導いた。彼女は銀河座の伝統を最も体現する役者です。

voice: 20048040230 執行役員 そうだね。君がリリヤ・クルトベイ以上に評価されなかったことは 惜しいけれど、今後の課題としようか。

voice: 20048040240 銀河座OG OBOG会でも様々な意見があるけれど…… 私たちは実際、あなたに期待しているわ。

voice: 20048040250 銀河座OG 『銀河座のあるべき伝統』を体現できる若手は、貴女しかいないとね。 聞けば、星を求めるあまり革新に逸ろうとする役者も多かったのだろう?

voice: 20048040260 執行役員 ああ、中には衝突を起こした役者もいるとか……。

voice: 20048040270 ……っ。

voice: 20048040280 彼女たちの行動は、すべて熱意あってのことです。 それだけ皆がよりよい舞台を目指していた。

voice: 20048040290 ただ、諍いを起こしてしまったのは私の不徳の致すところです。 ですから、どうか……。

voice: 20048040300 銀河座OG ……わかった。千寿さんがそう言うのなら、 これ以上は口を噤むわ。今日は祝いの席だしね。

voice: 20048040310 執行役員 これからも役者たちの監督を頼むぞ。

voice: 20048040320 もちろんですわ。 これからも全身全霊を持って、務めさせていただきます。

voice: 20048040330 銀河座広報 やはり千寿さんは頼もしいですね。 私たちも応援していますよ。

voice: 20048040340 ……ありがとうございます。

voice: 20048040350 失礼。 少し……席を外させていただきますわね。

voice: 20048040360 (……ああ、息苦しい)

voice: 20048040370 (周りに目を配り、わだかまりを解いて、各方面の圧力に気を遣う――  そうして、組織の内部のバランスを保つ)

voice: 20048040380 (家の中でも心がけていたことではありますが。  人との関わりとは、なんと億劫なものでしょうか)

voice: 20048040390 (……いえ、そんな歪んだ考えはよくありませんね。  銀河座の看板を背負うものとして、私は……)

voice: 20048040400 ラモーナ 暦?

voice: 20048040410 ……ラモーナさん? どうしてここに?

voice: 20048040420 ラモーナ ああ、私は後輩たちの部屋に顔を出していたんだ。 ボードゲームをするとかで呼ばれてな。

voice: 20048040430 ラモーナ 暦こそ、先ほど出てきたのは……、 特別室か?

voice: 20048040440 ええ。 理事会の方々の食事の席に呼ばれまして。

voice: 20048040450 voice: 20048040451 ラモーナ 用事というのはそれだったか。 ……何か言われたか?

voice: 20048040460 ……。

voice: 20048040470 ラモーナ すまない。 無理に話してほしいわけじゃないんだが、気になってな。

voice: 20048040480 『マクベス』では星を求めるあまり、 革新に逸る方が見られたのはあなたもご存じでしょう。

voice: 20048040490 voice: 20048040491 ラモーナ ……っ! ……ああ。私も、それで衝突を起こしてしまった者のひとりだ。

voice: 20048040500 あなたを責めている訳ではありません。

voice: 20048040510 演出の先生もそうです。権威の維持を考えてのことではありますが……、 これまでと異なる『マクベス』を良しとしないお偉方がおりました。

voice: 20048040520 ですから、運営と裏方、役者含め、 皆で規範を今一度浸透させなければならない。そういう意図でしょう。

voice: 20048040530 ラモーナ ……規範。

voice: 20048040540 役者代表が私という位置づけなのでしょうね。 ……ああ、この件はくれぐれも他言無用でお願いします。

voice: 20048040550 ラモーナ 暦がそう言うなら、心得た。 だが……。

voice: 20048040560 ラモーナ すまない……。 元を辿れば、私のせいかもしれないな。

voice: 20048040570 ラモーナ 規範が乱れた、というのが上の評価なら、理由があるはずだ。 『マクベス』の時の私の振る舞いも、銀河座の規範には背くものだった。

voice: 20048040580 ええ。ですが、あなたは自分の成すべきことを成そうとしただけでしょう。 役者たちを守りたいと、私に言ったではありませんか。

voice: 20048040590 ラモーナ だが……もっとうまいやり方だってあったはずだ。 今だって、こうしてお前の負担を増やしてしまっているんだろう?

voice: 20048040600 ラモーナ 私の勝手な行動で……。

voice: 20048040610 voice: 20048040611 ……。 ラモーナさんが謝ることではありませんわ。これは私の役目なのです。

voice: 20048040620 ラモーナ しかし……。

voice: 20048040630 ご心配には及びません。広大な銀河は、異なる輝きの集まりなのです。 銀河座は、皆が常に気持ちをひとつにする場所ではありません。

voice: 20048040640 そのために、厳粛な規範があり、確固たる方針があるのです。 私は劇団を背負うものとして、成すべきことを成しているだけです。

voice: 20048040650 voice: 20048040651 ラモーナ ……。 そう、か。

voice: 20048040660 ……はぁ。 本当にあなたは、時々幼子のような顔をしますわね。

voice: 20048040670 ラモーナ すまない……。

voice: 20048040680 そんなに不安な顔をされては、戻りづらくなってしまいます。 まあ、少し休憩したかったので、構いませんが……。

voice: 20048040690 ラモーナ 休んでいたのか?

voice: 20048040700 ええ。さすがに、長時間気を張るとなると……。 お偉方を前にうかつなことはできません、言葉の端々にも気を配らなければ。

voice: 20048040710 voice: 20048040711 ラモーナ ……。 ……なあ、暦。

voice: 20048040720 なんです?

voice: 20048040730 ラモーナ もし食事会が疲れるなら、私と一緒に抜け出さないか? 温泉もまだ入ってないんだろう?

voice: 20048040740 ……何をおっしゃって?

voice: 20048040750 ラモーナ いいじゃないか。今日は本来、慰労会という名目でここに来てる。 舞台の成功を労う場だというのに、負担を強いるのは間違いだ。

voice: 20048040760 はあ……。

voice: 20048040770 ラモーナ 適当にあしらって切り上げて来られないのか? 緋花里も暦がいなくて寂しがっていたぞ?

voice: 20048040780 そんなことできるわけがないでしょう……。 子どもでもあるまいし。

voice: 20048040790 ラモーナ ハハハ……違いないな。

voice: 20048040800 ラモーナ だが、暦は……、 あの部屋に戻りたいのか?

voice: 20048040810 ……。

voice: 20048040820 (そんな道は、存在するのでしょうか)

voice: 20048040830 (私がここから逃げたいと言えば、誰かが連れ出してくれるんでしょうか。  絵本の中のお姫様のように――)

voice: 20048040840 ラモーナ ……。

voice: 20048040850 ……ラモーナさん。

voice: 20048040860 お気遣いありがとうございます。 あなたの冗談で、少し息抜きができましたわ。

voice: 20048040870 もう戻ります。 温泉は戻ってから浸かりますから、あまり心配なさらないでくださいな。

voice: 20048040880 ラモーナ あ……。 ああ。

voice: 20048040890 ラモーナ さっきのは別に冗談じゃないぞ。 お前が帰ってくるのを待っているよ、暦。

voice: 20048040900 ……それでは。

voice: 20048040910 (……何を甘い夢を見ているのでしょう)

voice: 20048040920 (与えられた役割から逃げ出すなんて。  そんな考えは、私には許されません)