voice: 20048060010 リリヤ 綺麗な星ね。 都会じゃ見られない。

voice: 20048060020 ラモーナ ああ、そうだな。

voice: 20048060030 リリヤ ……虫の声や、木々のざわめきも美しい……。 東京の夜は忙しくて、少しだけうるさいから。

voice: 20048060040 ラモーナ 寮だと、時々車の音なんかが聞こえてくるな。

voice: 20048060050 リリヤ うん……。

voice: 20048060060 ラモーナ ……。

voice: 20048060070 ラモーナ リリヤはすごいな。暦に並んで、立派に『マクベス』をやり遂げた。

voice: 20048060080 リリヤ 急にどうしたの？

voice: 20048060090 ラモーナ いや……ここに来た時、緋花里が言ってただろう？ その通りだ。リリヤと暦の頑張りがあって、今があると思ってな。

voice: 20048060100 リリヤ ラモだって、『マクベス』でみんなのために熱くなってた。

voice: 20048060110 voice: 20048060111 ラモーナ ……。 ああ。

voice: 20048060120 ラモーナ だが今思えば、それは正しいことだったのかと思ってな……。 誠実と愚直は違う。

voice: 20048060130 ラモーナ 結果的には、暦があの場を収めた。 負担をかけてしまったというわけだ。

voice: 20048060140 リリヤ そう……？

voice: 20048060150 ラモーナ 私はもともと、規律や規範を重んじる人間だった。 だが、私は今の銀河座を良しとできない……。

voice: 20048060160 ラモーナ それが単なる私のわがままなのか、それとも私が成すべき道なのか、 時折わからなくなる時があるんだ。

voice: 20048060170 ラモーナ いや、こんな話をしても仕方ないな。 反応に困るようなことを言って、すまない。

voice: 20048060180 リリヤ ……。

voice: 20048060190 リリヤ よしよし。

voice: 20048060200 ラモーナ ……リリヤ？ 慰めてくれてるのか？

voice: 20048060210 リリヤ ラモはしっかり者で、カッコいいんだと思ってた。 だけど、憂いを帯びたラモも美しい。

voice: 20048060220 リリヤ だから、撫でたくなった。

voice: 20048060230 voice: 20048060231 ラモーナ ……。 お前にここまで気を遣わせて、私は、駄目な奴だな。

voice: 20048060240 リリヤ 暦は、『正しくないものも美しい』って、 前に『マクベス』で言ってた。

voice: 20048060250 リリヤ 正しいが何かはよくわからない。 でもマクベス夫人も、自分の『正しい』のために生きてた。

voice: 20048060260 リリヤ ……自分の道を貫くラモもきっと正しいんだと思う。 それでいて……こんなにも美しい。

voice: 20048060270 ラモーナ ……私は、美しくなんかないさ。

voice: 20048060280 リリヤ 舞台は、己の美学を競いあう場所。 私はたくさんラモを見てる。美しい私が美しいと言うんだから、合ってる。

voice: 20048060290 ラモーナ 自分が正しいなんて思えない。 戦った末に誰かを傷つけて……私自身も、苦しんでばかりだ。

voice: 20048060300 ラモーナ これ以上自分を嫌いになるのは嫌なんだ。

voice: 20048060310 リリヤ ……ラモは、傷ついても美しい。 傷つくほどに美しくなって、たったひとつの芸術品になる。

voice: 20048060320 ラモーナ ……それ、どこかで……。

voice: 20048060330 ラモーナ ……なあ、カトリナ。 日本には、『金継ぎ』という技法があるらしいんだ。

voice: 20048060340 カトリナ キンツギ？　なによ、それ。

voice: 20048060350 ラモーナ ああ。私もまだ実物を見たことはないんだが。

voice: 20048060360 ラモーナ 割れたり欠けたりしてしまった器に漆を塗って、繋ぎ合わせる伝統技術だ。 仕上げに金をまぶして、繋ぎ合わさった部分が世界に一つだけの模様になる。

voice: 20048060370 ラモーナ ……。

voice: 20048060380 リリヤ だから、ラモも戦わなくちゃ駄目。 自分の美しさを、貫かなきゃ。

voice: 20048060390 リリヤ 折れそうな時には、私を頼ってくれたらいい。 その時は、今度は私が故郷のお茶を淹れてあげる。

voice: 20048060400 ラモーナ リリヤ……。

voice: 20048060410 ラモーナ ……ありがとう。 私は本当にいい仲間に恵まれている。