voice: 20060060010 (今回の演目は『海妖観測』。脚本の内容は、  1900年代の幻想小説群から着想を経たものと聞きました)

voice: 20060060020 (私に求められるのは神秘的かつ、退廃的な魅力。  目の前のラモーナさんを破滅へと誘わなければ……)

voice: 20060060030 『母なる海からの囁きが聞こえるでしょう?  さぁ、こちらへどうぞ』

voice: 20060060040 ラモーナ 『囁き?……ふふっ、詩的だな。  確かに、潮騒を聞いていると心が安らぐ……』

voice: 20060060050 『いいえ、あなたはまだ聞き取れていませんね。  さぁ、目を閉じて……』

voice: 20060060060 『大丈夫よ。それでも聞こえないなら私の手を取って。  音すらも忘れて、手の感触のみに意識を向けて……』

voice: 20060060070 ラモーナ 『こう、かな……。……っ!  本当だ。波の音に紛れて……声が、聞こえる。ずっと絶えず……』

voice: 20060060080 演出家 そこまで。いったん演技を中止してくれ。

voice: 20060060090 ラモーナ・暦 はい!

voice: 20060060100 どうかなさいましたか、先生? 何か、先ほどの演技で問題がありましたでしょうか……?

voice: 20060060110 演出家 いや、おおむね悪くない。 悪くはないんだが……。

voice: 20060060120 ラモーナ だが?

voice: 20060060130 演出家 ……もっと、芝居に海を感じさせてほしい。

voice: 20060060140 海、ですか……?

voice: 20060060150 演出家 そうだ。たとえば、千寿。 お前は今、海底からの声を聴かせようと促すような演技をしていたな。

voice: 20060060160 演出家 だが、今回の演目的に望ましいのはあくまで声を意識させることだ。 聞かせようとするのではなく、存在を示唆すること。

voice: 20060060170 演出家 囁きは波音から絶えず聞こえているんだ。 その音を相手が自分へ抱く想いを利用して、気づかせる。

voice: 20060060180 演出家 お前の母が舞台の上で見せた芝居だ。

voice: 20060060190 お母様が……。

voice: 20060060200 演出家 そうだな……実際に海に行ってみるのも良いだろう。 感覚をつかみやすくなる。

voice: 20060060210 ラモーナ・緋花里 ……!

voice: 20060060220 演出家 夏の海の雄大さと活気を肌で感じれば、必ず演技の糧となるだろう。

voice: 20060060230 演出家 まだ私が銀河座で若手役者だった頃、千寿の母……千寿さんに、 お供して、海に赴いたこともあったものだ。

voice: 20060060240 お母様がそのようなことを……、 はっ……!!

voice: 20060060250 (背中に、視線を感じますわ……。  この感じ、十中八九……!)

voice: 20060060260 緋花里 (暦さん……!)

voice: 20060060270 ラモーナ (暦……!)

voice: 20060060280 (やっぱり……! ラモーナさんと緋花里さんが、  期待の目線を向けてきますわ。)

voice: 20060060290 それこそ、海に行くことが演劇で得られるものが示されない限り、 私は同行するつもりはありませんので。そのおつもりで。

voice: 20060060300 (あんなことを言った矢先、海に行くことの利点が示されてしまった。  しかも演出家の先生の口から直々に……なんてタイミングの悪い)

voice: 20060060310 (ラモーナさんと緋花里さんからすれば、  私を海に連れていく口実が出来たといったところでしょうか……)

voice: 20060060320 (うぐっ、すごく断りづらいですわ……。)

voice: 20060060330 ラモーナ 暦! 暦も共に私達と海へバーベキューをしに行こうじゃないか!

voice: 20060060340 ラモーナ 演出家もああ言っていたんだ。海を感じさせる演技をする為にも、 実際に行ってみる必要があるんじゃないか?

voice: 20060060350 それは……。

voice: 20060060360 リリヤ 暦、言ってた。 演技に役立つなら、一緒に行くって。

voice: 20060060370 いや、そこまではっきりと行くと言ったわけでは……。

voice: 20060060380 voice: 20060060381 緋花里 えへへ~、良いタイミングさ~! 暦さん! これなら海で楽しみながら、次の公演のお勉強もすることが出来るよ!

voice: 20060060390 ぐうぅ……、分かりました。 同行はします、あくまで次の公演のために。

voice: 20060060400 くくっ、口は災いの元って感じか。 下手なこと言うもんじゃないな暦サン?

voice: 20060060410 他人事だと思って……。

voice: 20060060420 リリヤ 雪は来るの?

voice: 20060060430 あ? まぁ、演出家先生がそう言うなら、 従った方が良いだろうしな。

voice: 20060060440 その代わり、わざわざバイトを入れずにお前たちの頼みを聞いてやるんだ。 準備はお前らに任せるぞ! いいな?

voice: 20060060450 ラモーナ ああ、任せてくれ!

voice: 20060060460 緋花里 それじゃあ、みんな参加するってことだよね? やったー! 今から楽しみー!

voice: 20060060470 ラモーナ ああ! そうだな、緋花里! それじゃあ明日から準備を始めるとしよう!

voice: 20060060480 はぁ……結局こうなるんですのね。

voice: 20060060490 リリヤ ふふっ。