voice: 20069060010 叶羽 ……せっかくだし、アタシの昔話……聞かせてあげる。
voice: 20069060020 いろは 叶羽ちゃんの昔の話を……!?
voice: 20069060030 叶羽 なに、あんま興味ない?
voice: 20069060040 いろは いや、興味はあるのですが! その……良いんですか?
voice: 20069060050 いろは 叶羽ちゃんからそういう話、聞くことってアリスの時以来、 あまりなかったですし、無理して話す必要は……。
voice: 20069060060 叶羽 前に、いろはの過去を話してもらったじゃん?
voice: 20069060070 いろは 『オズの魔法使い』の時の……。
voice: 20069060080 叶羽 そうそう。あの後、暴露大会みたいになってさ。 まぁ、結局アタシは自分のことは話さなかったんだけど。
voice: 20069060090 叶羽 あんな空気で言えることじゃないっていうか……、 アタシとしてもああいう場で言いたい話でもないし?
voice: 20069060100 叶羽 そもそもずっと誰かに話す気だってないっていうか~……。
voice: 20069060110 叶羽 ただ、そんなアタシがいろはの過去は一方的に知ってる。 ……それって、不公平じゃん。
voice: 20069060120 いろは 叶羽ちゃん……。
voice: 20069060130 叶羽 当時のアタシは子役の仕事に、スカウトされたオリンポスの舞台で、 目が回るほど忙しかった。
voice: 20069060140 叶羽 それこそ、今じゃ考えられないくらい。 昼寝する時間も、ゲームする時間だってなかった。
voice: 20069060150 叶羽 けど、忙しいだけならまだよかった。 やってれば終わるし、アタシ天才だし?
voice: 20069060160 叶羽 ……けど、そうやって乗り切れるほど簡単な世界じゃない。
voice: 20069060170 監督 『いや~、叶羽ちゃん良いねぇ~。 それに比べて……はぁ、他の子役はどうなってんの』
voice: 20069060180 スタッフ 『そうっすねぇ……。一人降板でも良いんじゃないすか? あの最年長の……もう落ち目でしょ』
voice: 20069060190 監督 『あ~、それ俺も思ってたわ。 可哀想だけど、ありゃもう終わりだ』
voice: 20069060200 子役A 『アンタが……アンタが居たせいで……。 返してよ! アタシの席!! アタシの、アタシのだったのに!!!』
voice: 20069060210 叶羽 『……それ、監督に言いなさいよ。決めたのはあの人だし。 アタシに言ったところで、どうしようもないでしょ』
voice: 20069060220 叶羽 嫌な物なんていくらでも見てきた。 テレビでも……舞台でも。
voice: 20069060230 オリンポス劇団員 『あぁ、おばあさま。どうしておばあさまの耳はおっきいの?』
voice: 20069060240 演出家 『はぁ……。次、本巣さん』
voice: 20069060250 叶羽 『……はい』
voice: 20069060260 叶羽 『ああ……おばあさま、どうしておばあさまの耳はおっきいの?』
voice: 20069060270 演出家 『……決めたわ。次の赤ずきんは本巣叶羽。 あなただから』
voice: 20069060280 演出家 『他はまったく話にならない。自分でも分かっているでしょう? こんなたわけた演技を続けるなら、役者辞めなさい』
voice: 20069060290 オリンポス劇団員 『……ッッ!! こんなの、ズルいよ。 そんなセンス、勝てっこない……インチキ、インチキだよ!!!!!』
voice: 20069060300 叶羽 『……はぁ。言い訳は済んだ? それじゃ。 ……そんなだから選ばれないのよ』
voice: 20069060310 オリンポス劇団員 『……ッッ、ううっ、ううぅぅぅぅ……!!!』
voice: 20069060320 叶羽 気づけば同い年の子はみんな、役者も子役も辞めていた。 まぁ、アタシのセンスを考えれば当たり前なんだけど。
voice: 20069060330 叶羽 子役としても競争、舞台の上でも競争。 恨まれることは常だった、だってアタシは天才だったし。
voice: 20069060340 叶羽 アタシが潰した。……それを悪いとは思わない。 思う所がないわけではないけど……そういう世界だから。
voice: 20069060350 叶羽 いちいち、こんなことで思い悩んでいられない。
voice: 20069060360 叶羽 踏み台にした側がくよくよ思い悩むなんて、 それこそ今まで潰してしまった子に失礼だから。
voice: 20069060370 叶羽 普通の子供では居られない。アタシには才能がある。 大人にならざるを得なかった。
voice: 20069060380 叶羽 けど……心のどこかでは、同い年の他の子みたいに、 子どもで居たいって……そう思ってた。
voice: 20069060390 叶羽 解き放たれたいって思ってた、このままじゃ潰れちゃうって。 それで、オリンポスを辞めて今に至るってわけ。
voice: 20069060400 叶羽 だからね、アタシは電姫って場所が好きなの。
voice: 20069060410 叶羽 自分らしくあれる、それを許された場所。 好きにやって、楽しく演技をして、ほどよくちやほやしてもらえて。
voice: 20069060420 叶羽 そして……みんなアタシが全力を出しても、潰れずついてきてくれる。
voice: 20069060430 叶羽 アタシのこと、逃げたって言う奴も居るだろうけど、 それでも電姫に来てよかったって思ってる。
voice: 20069060440 叶羽 失った青春を取り戻すってわけじゃないけどさ。
voice: 20069060450 いろは 叶羽ちゃん……。 ……確かに、僕も同じです。